Picasso [1] (開発方針と特徴)

(2007-10-14)

どんなキー操作にするか

 “速記入力”の操作方法が煩雑では本末転倒になってしまいます。例えば、

などという面倒なやり方は避けたいところです。そこで、まだ使われていない簡単なキー操作を捜してみたところ、変換操作に使うキー[*1]にはまだ機能を追加する余地があることに気付きました。

 ここで、〔変換〕を押してから離すまでの間のキー操作を、少し詳しく見てみます。

 この「」と「」の部分をあえて詳しく書くと、

となります。これを、 に変えてやれば、新たな機能を追加することができます。

 つまり、〔変換〕を押している間に(それを一種のシフト状態とみなして)文字キーを打つと、それだけで“速記入力”ができることになります。もともと変換操作のために押したキーなので、シフト操作のための新たなコストは発生しません。

 しかも、〔変換〕を押してから離すまでという条件があるので、通常のシフト操作中の逐次打鍵とは違って、

というメリットも出てきます。これならば、充分、実用になるでしょう。

割り当て方の問題

 ここまでは、主に入力の仕組みの話でした。それだけなら今までに何度か[*3]考えてみました。

 問題は、変換結果に追加する文字列[*4]をどこで区切ってどのキーに割り当てるか、ということです。ここから先は、考えるだけでなく実際に試してみなくては分かりません。

 入力の仕組みをある程度作ったところで、とりあえず頻度の高そうな送り仮名を適当なキーに割り当てました[*5]。いろんな文章を入力してみて、どんなパターンが快適かを確かめながら、少しずつ変更したり追加したりしていきます。

 主な仮り仮名を追加していくうちに気付いたことが、いくつかあります。

 (1)は、予想していたことですが、キーの組み合わせが爆発的に増えてしまって、割り当て作業が事実上不可能になりました。割り当て作業を中断して、同じパターンをまとめて定義できるように入力ソフトの方を改良しました。

 (2)は、はっきりとは覚えていないキーでも割り当て方に矛盾があれば気付くということです。なんとなく試し打ちをするだけでチェックできるのは有り難いことです。

 (3)は、頻度の高い送り仮名と交換したり、別のパターンに合わせたりするために移動した場合です。新しいキーやパターンを何度か打って覚えてしまえば、とりあえず古い記憶は上書きされるようです(記憶が定着した後で変更するのは避けた方がいいかもしれません)。

 こんな感じで、手さぐりしながら割り当てを続けていきます。時間のかかる作業ですが、機械的に一気に処理するより試行錯誤の過程を楽んだ方がいいような気がしています。

覚えやすい仕組み

 そんなに多くのパターンをどうやって覚えるのかと心配する必要はありません。送り仮名の打ち方をひとつ覚えるたびに応用範囲が爆発的に広がるだけのことです。

 打ち方を調べるために何か特別な操作をする必要はありません。〔変換〕を押したときに、仮装鍵盤の表示を見るだけです。

 仮装鍵盤には、送り仮名の候補が表示されます。その中に入力したい送り仮名があれば(〔変換〕を押したままで)表示された位置のキーを打ち、なければいつも通りに〔変換〕を離すだけです。

 実際にやってみて分かったことですが、1打鍵するごとに送り仮名が入力されていくのは、予想以上に快適です。一度これを知ってしまうと、1字ずつ入力するのが億劫になります。ローマ字入力で「ja」と打てば「じゃ」と入力されることを知っていながら、わざわざ「zya」などと打つ気になれないのと同じような感じです。

 覚えようと努力しなくても、楽なやり方を選んでいくだけで自然に覚えてしまいます。

打ち方が予想できる

 いくつかの送り仮名の打ち方を覚えると、まだ一度も入力したことのない送り仮名の打ち方が予想できるようになります。

 例えば「入力」の送り仮名のうち、

これだけ覚えた段階で、「+しました」の打ち方が予想できるのです。

 さらに「+できる」を覚えると「+できた」「+できます」「+できました」も予想通りに入力できます[*6]。この調子で送り仮名を一つ覚えるたびに応用範囲が広がっていくわけです。

 連想式でないことは確かですが、無想式ともかなり違った感じになりました。それでは一体何式なのかというと、ピカソだけに“類推式”[*7]なのです。


[*1] 【変換操作に使うキー】
仮名から漢字に変換するときは、普通、スペースか変換キーを押します。以下、このキーを〔変換〕と書くことにします。

[*2] 【すると、変換結果が表示される。】
厳密には、
〔変換〕を押すと、変換結果が表示される。その後、特に何もせず〔変換〕を離す。
と書くべきですが、分かりやすく説明するために順序を入れ替えました。

[*3] 【今までに何度か】
以下のページにあれこれと書きましたが、今とはかなり内容が違っているので、あくまでも参考程度にしてください。
「G-Quick」(2001)、「G-Code」で速記を(2000)、「漢ナビ2」(2000)

[*4] 【変換結果に追加する文字列】
たいていは数文字程度の活用語尾や助動詞や助詞などです。以下、これを「送り仮名」と呼ぶことにします(文法的には適切ではないかもしれませんが、ほかに簡潔な用語を思い付かなかったので)。

[*5] 【適当なキーに割り当てました】
適当とはいっても、次のようなルールに沿って割り当てています。

[*6] 【予想通りに入力できます】
もちろん、そのためには予想を裏切らない割り当て方をしておく必要があります。今のところ基本的な送り仮名は全て予想通りの入力が可能です。

[*7] 【ピカソだけに“類推式”】
分かる人には分かると思いますが、実際はその逆で、“類推”→“ピカソ”という言葉遊びです。ついでに、辞書にちょとした企みを仕掛ています。

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