若者と荒馬と茨姫

若者

 ジョナサンは若者になっていた。生い茂った茨の森の奥深くの古城の中で百年間眠り続けているという伝説の茨姫を起こすことのできる勇敢な若者に。ジョナサンは思った。とうとうここまで来たぞ。二度にわたって俺の夢の中にいきなり現われて何もかもめちゃめちゃにしてくれたあの小生意気な娘に今度こそ一矢報いてやる。その憤怒なのか倒錯した欲情なのか分からない青黒い感情は馬の背中から伝わってくる振動とともにジョナサンの股間にあるものを刺激し続けている。

荒馬

 ジョナサンは荒馬になっていた。生い茂った茨の森の奥深くの古城の中で百年間眠り続けているという伝説の茨姫を起こすことのできる勇敢な若者を背に乗せて駆ける荒馬に。ジョナサンは思った。なんでよりによってヤフーなんかが俺の背中に乗っているんだ。こんな愚かな家畜なんか振り落としてやる。ジョナサンは背中にかかる体重に向かって激しい怒りをぶつけると同時に太股ではさんだ馬の背が激しく揺れるのを感じている。俺を振り落とそうとしているな。このじゃじゃ馬め。そうはさせるもんか。怒りのためか嗜虐的な妄想のせいか単に揺れに刺激されただけなのかジョナサンの股間にあるものが次第にいきり立ってきた。

茨姫

 ジョナサンは茨姫になっていた。生い茂った茨の森の奥深くの古城の中で百年間眠り続けているという伝説の茨姫を起こすことのできる勇敢な若者を背に乗せて駆ける荒馬の蹄の音をまどろみの中で聞いている茨姫に。ジョナサンは思った。ああ、とうとう今度こそ本当に白馬に乗った王子様が私の眠りを覚ましにやってくるんだわ。胸のときめきが全身に響き渡っていくのと同時にジョナサンはいきり立ってきたもののある股間に激しい揺れを受けながら得も言えぬ甘美な陶酔感が広がっていくのを感じていた。このじゃじゃ馬め。何をそんなに興奮しているのだ。このあばずれ娘め。何を勘違いしていやがるんだ。このヤフーめ。俺の背中で妙な動きをするんじゃない。ああ。王子様。今に見ていろ。振り落としてやる。早く口づけを。もうすぐそこだ。ただじゃおかないぞ。何だこいつは。ええい気持ち悪い。何なの。この感じは。私はどうなっちゃったの。ヤフーめ。じゃじゃ馬娘め。ああ。早く来て。おかしくなってしまいそう。そこで大人しく待っていろ。もう我慢ならん。

 勇敢な若者を乗せた荒馬の蹄の音が生い茂った茨の森の奥深くの古城の中で眠り続けている茨姫に刻一刻と近づいている。

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このページは、かみ かずしげが2009年7月14日 00:00に書いたブログ記事です。

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