無名の怪物の容疑

 無名の怪物は、以前と変わらず毎朝早起きをして、薪を割ったり木の実を拾ったり煮炊きをしたり洗濯をしたりしながら、二人の家族が帰って来るのを笑いながら待っていた。その様子を酒場の奥で見ていた作者が言った。
 「そろそろウィリアムたちを帰してやった方がいいんじゃないか?」
 ジョナサンがそれに答える。
 「そうかな。あの怪物は、絶対何か企んでいるはずだ」
 「なぜそう思うんだ?」
 「ヴィクターの父親と婚約者が行方不明じゃないか」
 「うーむ…」
 「実は、もう殺されてるのかもしれないぞ」
 「あの怪物が殺したという証拠がどこにあるんだ?」
 「証拠はないが…」
 「ウィリアムを殺したのも別人じゃないのか?」
 「あんな罪もない幼い子供を、ほかの誰が殺すというんだ」
 「世の中には、いろんな人間がいるからな」
 「あんた、話の続きを書くのが面倒になったんじゃないのか?」
 「そんなことはない」
 そのころ、ヴィクターの父親と婚約者は、アムステルダムに匿われていた。二人の身に危険が迫っていることを察知したヘルシング教授が密かに連れ去ったのだ。それを聞いたジョナサンが言った。
 「やはりあの怪物に命を狙われていたんだな」
 すると、ヘルシング教授が現われた。
 「それは違いますよ。ウィリアムの首筋をよく見てみなさい」
 店主がウィリアムの首筋を見た。
 「可哀想に、手で締められた痕が残っているな」
 「そのほかに何か傷痕がありませんか」
 「あっ、こんなところに咬まれた痕が」
 「犯人は、ドラキュラ伯爵だったのか!」
 「いや、君の鼻血を吸っていた吸血女ですよ」
 「それじゃ、あの怪物は…」
 「もちろん犯人ではありません。パスタ脳というだけで疑ってはいけませんな」
 「よし、その線で行こう」
 こうして、無名の怪物の容疑は晴れた。しかし、カウンターに座って黙々と原稿を書いていたマーシャル・フランス(またの名をマルティン・フランク、本名ヴィクター・フランケンシュタイン)が言った。
 「それじゃ、これから僕はどうすればいいんですか?」
 「うーむ…」
 作者はくしゃみをした。すると、鼻からパスタが出てきた。

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このページは、かみ かずしげが2009年8月21日 06:52に書いたブログ記事です。

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