滑って転んだ猿の事件(急転直下篇)

エピローグ

 やっと仕事から解放された犬刑事が酒場に入ってきた。
 「遅かったじゃないか」
 持ち込んだ酒をカウンターで飲んでいる検死官が声をかけた。
 「参ったよ。まさかこんなオチだったとはね…」
 「報告書をちゃんと読まないから、そういうことになるんだ」
 検死官の隣の席に犬刑事が飛び乗ると、店の奥から店主が現われた。
 「どうだい、月末までにエピローグを書いたぞ」
 店主は犬刑事の大好物の蓋を開けた。
 「約束通り、このハーゲンダッツは俺がいただくよ」
 「そんな約束してたっけ?」
 「とぼけたって駄目だよ。事件の前に、ここで打ち合わせをしたときに…」
 「なるほどね、そういうことになってるんだ」
 「何なら、この後にプロローグを書こうか?」
 「いいから、それ、早く食べてしまいなよ」

 こうして、一つの事件が残念な結末を迎えてしまったらしい。結末を省略してエピローグを書いてしまうところが、この馬鹿ミステリの馬鹿なところである。重要な部分を太字にして、もう一度書いておく。

結末を省略してエピローグを書いてしまうところが、この馬鹿ミステリの馬鹿なところである。

 念のために言っておくが、「省略して」というのは「後回しにして」という意味ではない。完璧な結末ができあがっているのに、敢えてそれを書かないのだ。

 つくづく思う。本当に馬鹿な話だ。

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このページは、かみ かずしげが2009年8月31日 23:46に書いたブログ記事です。

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