エピローグ
やっと仕事から解放された犬刑事が酒場に入ってきた。
「遅かったじゃないか」
持ち込んだ酒をカウンターで飲んでいる検死官が声をかけた。
「参ったよ。まさかこんなオチだったとはね…」
「報告書をちゃんと読まないから、そういうことになるんだ」
検死官の隣の席に犬刑事が飛び乗ると、店の奥から店主が現われた。
「どうだい、月末までにエピローグを書いたぞ」
店主は犬刑事の大好物の蓋を開けた。
「約束通り、このハーゲンダッツは俺がいただくよ」
「そんな約束してたっけ?」
「とぼけたって駄目だよ。事件の前に、ここで打ち合わせをしたときに…」
「なるほどね、そういうことになってるんだ」
「何なら、この後にプロローグを書こうか?」
「いいから、それ、早く食べてしまいなよ」
こうして、一つの事件が残念な結末を迎えてしまったらしい。結末を省略してエピローグを書いてしまうところが、この馬鹿ミステリの馬鹿なところである。重要な部分を太字にして、もう一度書いておく。
結末を省略してエピローグを書いてしまうところが、この馬鹿ミステリの馬鹿なところである。
念のために言っておくが、「省略して」というのは「後回しにして」という意味ではない。完璧な結末ができあがっているのに、敢えてそれを書かないのだ。
つくづく思う。本当に馬鹿な話だ。

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