シンプルなパズルの表記法

 ――現実の仕事から戻るなり、店主はルービックキューブをパッケージから取り出していじり始めた。どこかに寄り道して買って来たのだろう。誰もいない店内で、店主は何やら独り言をぶつぶつとつぶやいている。

 赤の面を「右へ1/4回転」すると、キューブの状態は前回書いた(図2)から(図3)のように変化します。このときの操作を、「Red」の頭文字をとって「R」と書くことにしましょうか。ついでに、他の面についても、同様に「W」・「G」・「Y」・「O」・「B」と書くことにします。このときに変化する部分を(図4)に示します。

 こうすると、「白・緑・赤・黄・橙・青の各面の右への1/4回転」は、「W,G,R,Y,O,B」という6個のアルファベットで表わせるようになります。そして、驚くべきことに(別に驚かなくてもいいですけど)、ルービックキューブに対する全ての操作(ただし分解と組み立てを除く)は、この6文字の並びだけで記述できることになります。つまり、ルービックキューブの取り得る状態は、全部、(図4)の変化の組み合わせで実現可能なのです。

 例えば、「Rの面を右へ1/4回転した後、Yの面を右に3/4回転する」は、

R+Y+Y+Y

のように書きますが、さすがにこのままでは面倒です。「右へ3/4回転」は「左へ1/4回転」と同じことなので、「Y+Y+Y」を「-Y」にして、

R-Y

と書いた方がシンプルだし、実際の手順も簡単になります。これを21回繰り返す場合は、

21(R-Y)

と書くことにします。この後に「Rの面を左に1/4回転した後、Yの面を右に1/4回転する」を21回繰り返す操作を付け加えると、

21(R-Y)+21(-R+Y)

となります。これを実際にやった結果は(図5)のようになります。

 ちょっと脱線しますが、この「2個のコーナーキューブの向きを変えるための84ステップの手順」は、恐らくどの攻略本にも掲載されていないでしょう。
 自慢ではありませんが、この手順はキューブを適当に(ある程度は規則的に)回しているうちに偶然見つけました。そのころ見つけた手順のうち、覚えているのはこれだけですが、先にエッジを完全に揃えておいて最後にコーナーの向きを合わせるという、これまた攻略本には載っていないやり方でした。
 脱線したついでに言っておきますが、最短の手順をマスターして6面揃えるスピードを競っているのを見ると、確かに凄いなーとは思うけれども、面白がるポイントがずれているように感じてしまいます。考案者のルービックさんも、それを見て、つい「リベンジ」したくなったんではなかろうかなどと、勝手な妄想をしています。

 「Rの面を右へ1/4回転する」を2回続けるときは「2R」と書くことにします。

2R+2O+2G+2Y+2W+2B

 この「R・O」、「G・Y」、「W・B」は、それぞれ反対側の面のペアになっているので、さらに以下のように簡略化することにします。

2RO+2GY+2WB

 この結果がどうなるかを想像してみてください。

 ――ここで店主は、午後の光が傾き始めているのを見て、口を噤んだ。


 

(図4:各面を右に1/4回転したときに変化する部分)

  g3 g2 g1       o9 o6 o3       g9 g6 g3  
r1 w7 w4 w1 o3   b7 g7 g4 g1 w1   b1 r7 r4 r1 w7
r2 w8 w5 w2 o2   b4 g8 g5 g2 w4   b2 r8 r5 r2 w8
r3 w9 w6 w3 o1   b1 g9 g6 g3 w7   b3 r9 r6 r3 w9
  y1 y2 y3       r7 r4 r1       y7 y4 y1  
                                 
  r9 r6 r3       y9 y8 y7       g7 g8 g9  
b3 y7 y4 y1 w9   b9 o7 o4 o1 w3   o9 b7 b4 b1 r7
b6 y8 y5 y2 w6   b8 o8 o5 o2 w2   o8 b8 b5 b2 r8
b9 y9 y6 y3 w3   b7 o9 o6 o3 w1   o7 b9 b6 b3 r9
  o7 o4 o1       g7 g4 g1       y9 y8 y7  

 

(図5:21(R-Y)+21(-R+Y)の結果)

      w1 w2 w3
      w4 w5 w6
      w7 w8 y1
g1 g2 g3 r1 r2 w9 r3 y2 y3 o1 o2 o3
g4 g5 g6 r4 r5 r6 y4 y5 y6 o4 o5 o6
g7 g8 g9 r7 r8 b3 r9 y8 y9 o7 o8 o9
      b1 b2 y7
      b4 b5 b6
      b7 b8 b9
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 その後、ルービックキューブについてあちこち検索していて、こんなサイトにたどり着きました。

Rubik's Cube Solver

 画面に表示された展開図に色を設定して〔Solve〕ボタンを押すと解法を表示してくれます。

 ちなみに、84手で作った2個のコーナーの向きがずれたパターンは、わずか16手で元に戻りました。

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このページは、かみ かずしげが2009年9月26日 14:15に書いたブログ記事です。

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