あけお あけおめー。
ことよ ことよろー。
あけお そんなわけで、ぼくが新年あけお。
ことよ そして、わたしはあけおの嫁のことよちゃんです。ウサギ年生まれの12歳です、びょん。
あけお そうそう、ことよちゃんは今年、年女ですねー。
ことよ あけおさん、あけおさん。
あけお はいはい、何ですか。ことよちゃん。
ことよ あなた、また突っ込み忘れてますよ。
あけお ああっ、しまった。そうでしたか。
ことよ もう、しっかりしてくださいよ。
あけお ごめん、ごめん。すぐに突っ込みますから、ちょっと待っててくださいね。
あけお いくら何でも、12歳はないでしょう、ことよちゃん。
ことよ 遅いですっ。
ことよ こう見えてもわたし、本当は24歳なんです。
あけお そうそう、ぼくと同い年なんですよ。
ことよ わたしがウサギ年で。あけおさんがタヌキ年。
あけお 同級生なんですけど、僕の方が早生まれで、干支が違うんですよ。
あけお おいおい。来年は、タヌキ年じゃないよ。
ことよ 遅すぎますっ。
あけお 遅いといえば、あのカメっていうやつは足がのろいですね。
ことよ どうしてそんなにのろいのかー、ぴょん。
あけお あーっ、ことよちゃん、どうしたのその頭。長ーい耳が生えてるよ。
ことよ 今ごろ気付いたの、あけおさん。最初っから、ずっとつけてたでしよ。これはウサギさんの耳です、ぴょん。
あけお ウサギさん、ウサギさん、どうしてそんなにお耳が大きいの。
ことよ それはね、赤頭巾ちゃんの声がよく聞こえるようにだよ。
あけお さてはこいつ、オオカミだな。よーし、こうなったら頭に葉っぱを乗せて猟師に化けて鉄砲でズドーン。
ことよ うわっ、こういうときだけめちゃめちゃ早いわ、このひと。
(短い間)
ことよ タヌキのやつめ、覚えてろよー。
あけお そんなわけでウサギは、タヌキに仕返しをしようとたくらみました。
ことよ よいしょ。よいしょ。あー疲れた。
あけお どうしたんですか、ウサギさん。
ことよ リュックが重くて、もう歩けません。
あけお あーっ、ことよちゃん、どうしたのその目。真っ赤になってるよ。
ことよ 大晦日からずっとテレビを見てたから寝不足で、じゃなくて、これはカラーコンタクト入れてるの。
あけお なんだそうだったのか。
ことよ なんで今まで気づいてくれなかったの、あけおさん、話すときには、ちゃんとわたしの目を見て。
あけお ごめん、ことよちゃん…。
ことよ そんなことよりタヌキさん、この荷物を運ぶの、手伝ってください。
あけお こりゃあ、ずいぶん大きな荷物ですね。どっこいしょと。予想以上に重いぞ、これは。
ことよ 大丈夫ですか、タヌキさん。
あけお なあに、これくらいへっちゃらです。どこまで運べばいいんですか。
ことよ この山の麓にあるブックオフまで。
あけお こんなにたくさん本を持ってるなんて、
ことよ カチカチ。(と、チャッカマンで火を付けようとする)
あけお ウサギさんは読書家なんですね。
ことよ カチカチ。
あけお あれっ。さっきから背中の方から「カチカチ」って音が聞こえるけど。何だろう。
ことよ タヌキさん、それはカチカチ山のカチカチ鳥の鳴き声ですよ。
あけお おいおい、このへんにそんな山はないし、そんな鳥もいませんよ、ウサギさん。
ことよ あのー、そこには突っ込まないでください、あけおさん。
あけお ごめん、ごめん。また突っ込むところを間違ってしまいました。
ことよ もう、しっかりしてくださいよ、あけおさん。
あけお はい。次はもう間違いません。
あけお なんだ、そうでしたか。
ことよ カチカチ。
あけお カチカチ山のカチカチ鳥だから「カチカチ」と鳴くんですね。
ことよ そうですよ、タヌキさん。よーし、火がついたわ。
あけお おや、何だか背中が熱くなってきたぞ。
ことよ そうですか。
あけお それに、何だか背中の方から今度は「ボーボー」という音が聞こえてきたぞ。
ことよ それはきっと、ボーボー山のボーボー鳥の鳴き声ですよ。
あけお なんだ、そうでしたか。ボーボー山のボーボー鳥だから「ボーボー」と。熱い。熱いっ。あちちちちちち。(と、リュックを投げ捨てる)
ことよ 大丈夫ですか、タヌキさん。
あけお あーっ、ことよちゃん、どうしたの、その服。なんで網タイツなんかはいてるの。
ことよ 今ごろ気づいたの、あけおさん。
あけお ごめん、ごめん。
ことよ どう、色っぽいでしょう。
あけお わかった、わかった。すぐに突っ込みますから。ちょっと待っててくださいね。
ことよ 今はだめ。あ・と・で。
あけお むふふふふふー。
ことよ うふふふふふー。
二人、無言のまま深々と御辞儀をした後、いちゃつきながら退場。

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