カテゴリ「テレビ」の記事 (10)

 ある農家の畑を子鹿が荒らした。それを知った農夫は銃で撃ち殺そうとしたが、息子に止められて見逃してやった。

 後日、成長した鹿が、今度は屋根にのぼって糞をしていた。今度はさすがに我慢できずに、農夫は撃ち殺してしまった。少年は泣いて鹿の墓を作った。それを見ていた馬が、鹿の角を自分の頭につけてくれと頼んだ。少年が馬の頭に鹿の角をつけてやると、馬は「おかげでよく見えるようになった」と言って喜んだ。

 数日後、農夫の家の屋根に、変な角が生えてきた。どうやら鹿の糞から芽が出たようだ。近所の人たちは「あの家は屋根に変なものが生えているし、鹿の角を生やした馬もいる。馬鹿が伝染るから近づかんほうがいい」と噂した。それを聞いた馬は、こう言った。「伝染るんではなくて、映るんです」

 この話は、鹿の角を生やすと馬鹿が映るものがよく見えるようになると言いたいようである。


※都合により、予定していた内容を変更してお届けしました。なお、「白雪姫と四十人の盗賊」は5月10日(日)午前7時に公開します。

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 昔、むかし、ある国に、伏姫という姫君がおりました。蝶よ花よと育てられた伏姫はすくすくと成長し、あっと言う間に婚活を考える年齢になりました。

 ある日、伏姫は、八房という犬を連れて来ました。部屋に通された八房は、殿様の前にかしこまって座っています。
 「して、今日は何の用じゃ?」と殿様が水を向けると、八房はひときわ緊張した面持ちで、こう答えました。
 「お父さん。お嬢さんと結婚させてください」
 これを聞いた殿様は、激怒しました。
 「お前にお父さんなどと呼ばれる覚えはないっ!」
 そう怒鳴った殿様は、尻尾の毛を逆立てて部屋から出ていってしまいました。

 数分後、殿様が戻ってきました。
 「いや、先程は失礼した」と、殿様が言いました。「この頃、どこへ行っても『お父さんだ』『お父さんだ』と言われるもので、ついカッとしてしまった。許してくれ」
 八房は真面目な顔をして聞いていましたが、伏姫は笑いをこらえているようです。
 「では、一つ条件を出そう。敵の大将の首を取って参れ。さすれば、そちを伏姫の婿として認めてやろう。どうじゃ、これでよいか?」
 「ははっ。しかと承りました。必ずや敵の大将の首を取って参ります」
 八房は、さっそく敵陣を目指して突っ走って行きました。

 数分後、八房が戻って来ました。口には包みをくわえています。
 「取って参りました」
 「早いな」
 殿様は包みの中身を確認しました。
 「うむ。敵の大将に相違ない」
 「それでは、お約束通り…」
 「分かっておる」
 殿様は莞爾として、こう言いました。
 「ここで約束を違えたりすると、この後が大変だからな」

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 昔、むかし、ある山に、禁太郎という男がいた。禁太郎は、小屋に籠ってゲームをやったりテレビを見たりして暮らしていたが、さすがに退屈になってきた。

 ある日、ビンテージ物の真っ赤な腹掛けを着た禁太郎が久しぶりに小屋の外に出たところ、どこからか「ケシカラン、ケシカラン」という野太い声が響いてきた。あたりを見回すと、目の前の地面に大きな穴があいている。どうやら、この穴の中で誰かが叫んでいるようだ。

 禁太郎が恐る恐る覗き込んでみると、穴の底に大きな熊が座っていて、映りの悪いテレビに向かって罵声を浴びせていた。
 「まったくケシカランやつだな、この鹿野郎!」
 何だよ、このタイミングでその話かよと思ったが、こうなったら仕方がない。禁太郎は、穴の底にいる熊に向かって声をかけた。
 「おーい、熊くーん」
 しかし、熊は急に黙り込んでテレビをじっと見ているだけだ。
 「そのケシカラン鹿を、やっつけに行こうよー」
 しかし、熊は無視し続けている。そこで、禁太郎は腹掛けの中から取り出した棒を熊に向かって投げ落とした。棒は熊の頭に命中し、熊は思わず「痛いな!」と叫んで上を睨んだ。
 「ごめーん。それはー、僕が作ったー、禁太郎飴だよー」
 熊はそっぽを向いた。
 「その切り口をー、よく見てごらーん。僕の顔が描いてあるだろー? ほっぺたのところにはねー、ハチミツが入っているんだよー」
 「それを早く言えよ」
 熊は、急いで禁太郎飴を拾って、口に入れた。
 「どうだーい、ほっぺたがー、とろけるだろー?」
 ガリガリと噛み砕いてあっと言う間に平らげた熊は、禁太郎を見上げてこう言った。
 「おまえはー、いいやつだなー。もう一本くれーっ」

 こうして、禁太郎は熊にまたがって、ケシカラン鹿を退治する旅に出た。はたして、禁太郎は、ケシカラン鹿を打ち倒すことができるのだろうか? はたまた、今ごろ出発して本当に間に合うのだろうか? 次回、「禁太郎と岩山の猿」に続く。

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 熊にまたがって、ケシカラン鹿退治の旅に出た禁太郎。その行く手にいきなり立ち塞がったのは大きな岩山だった。その岩山を見上げていると、こんな声がした。
 「おーい。オレをここから出してくれー」
 しかし禁太郎は、その声を無視して岩山を避けて通ることにした。
 「出してくれたら、すっげえジーンズをあげちゃおうかなー」
 禁太郎は、思わず熊から飛び下りて岩山を駆けのぼった。
 「どこ、どこ?」
 声の主は、岩山の中ほどから顔を出している一匹の猿だった。

 「いやあ、これ、前から欲しかったんだよ」
 すっげえジーンズをはいた禁太郎は、上機嫌。
 「それにしても、熊くんは穴掘りが上手だよなあ」
 熊は何も言わずに禁太郎飴をガリガリと貪り食っている。
 「うまそうだな、それ。オレにもくれよ」
 猿がそう言うと、禁太郎が腹掛けの中から禁太郎飴を一本取り出して猿に渡した。
 「ほら、この切り口のところに僕の顔が描いてあるだろ? ほっぺたのところにはマヨネーズが入っているんだよ」
 猿は禁太郎飴をちゅうちゅう吸い始めた。

 「それは、ケシカランな」
 禁太郎の話を聞いた猿はこう言った。
 「よーし。おれもなまかに入るぞ」
 こうして、ケシカラン鹿退治の旅に猿が加わった。

 熊にまたがった猿と禁太郎は、とりあえず西へと向かった。こんなことで本当に大丈夫なのだろうか? しかし、このときはまだ、背後から忍び寄る影に誰一人として気付いていないのであった。次回、「禁太郎と角のある馬」に続く。

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 熊にまたがり、西への旅を続ける猿と禁太郎。四方山話で道中の退屈を紛らわせている。

 「猿くん、このあいだ、生最中って言ってたけど、それ、おいしそうだね」
 「生最中? おれ、そんなこと言ったっけ…」
 「最中の中に生クリームが入ってるのかな。それとも生キャラメル?」
 「ああ、生最中じゃないよ。“なまか”だよ、“な・ま・か”」
 熊はのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。

 「じゃあ、僕と猿くんと熊くんは“なまか”ってこと?」
 「そう。みんな“なまか”だ」
 「そういうの、何だか楽しいね」
 「うん。何だかよく分かんないけど、妙に懐かしい響きだね」
 熊がのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。

 「さっきから、誰かついてきてるぞ」
 「そうだね。犬だったらいいな」
 「何で?」
 「犬と猿と雉がそろったら、桃太郎と同じになるなって思ったんだ」
 「ふーん」
 「猿くんは、誰がいい?」
 「そうだな、あとは猪だな」
 熊がのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。

 「えーっ、禁太郎って河童じゃなかったの?」 
 「失礼だな。僕は人間だよ」
 「でも、頭にお皿があるんだろ?」
 「違うよ。これは、こういう髪型なの」
 「あ、ほんとだ」
 熊がのっしのっし、その後ろからぽっくりぽっくり。

 「あのー、お話し中、すいませんが…」
 これまでずっと黙ってついてきていた馬が、ついに禁太郎たちに声をかけてきた。熊が足を止め、猿と禁太郎が振り向いた。すると、そこにいたのは、犬でもなく、雉でもなく、猪でもなく、ぽっくりぽっくりと歩く、あの馬だった。そして、その馬の頭には、あのケシカラン角が生えていた。

 ここまでは予定通りの展開だったが、現実の方が全く進展しないという予想外の危機的状況に追い込まれた作者は、ここでついにネタを水増しして話を引き伸ばすという暴挙に出た。次回、「馬になった殿様の話」に続く。

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 熊の話が終わると同時に、禁太郎たちの周囲に白いものが漂ってきた。それは、霞のようでもあり靄のようでもあり霧のようでもあった。山々が消え、道筋が消え、木々が消え、あっと言う間に四方八方が白い空間に飲み込まれてしまった。もちろんお互いの顔も姿も見えない。
 「おいおいおいおい」「何も見えんな」「うわあ、すげえな」「何ですかこれは」
 禁太郎も熊も猿も馬も身動きできなくなり、声を出すだけだ。
 「おい、あれは何だ」「何だろうな」「どこどこ」「何ですかあれは」
 前方から、何かが近づいてくる。
 「あれは…」「こっちに来るぞ」「あの姿は…」「鹿だ!」
 見覚えのあるシルエットだった。

 禁太郎は、その鹿の影に向かって、禁太郎飴を差し出した。
 「見えないかもしれないけど、切り口のところに僕の顔が…」
 しかし、鹿の影は反応しない。
 「ほっぺたのところにはポッキーが…」
 すると、鹿の影は「それを早く言えよ」と言うが早いか禁太郎飴にかぶりついた。

――その後、鹿の影は、「お前たちは、ちゃんと原作を読んでいるようだから特別に話してやるが」と前置きをして、次のように語った。

 つい最近――といっても二年ほど前のことだが――、“運び番”と“使い番”が、デジクラとかプリカメとかいうものには鹿の姿が写ると言っていた――何? 「デジカメとかプリクラとかだろう」だと? 分かっているなら黙って聞け――そうそう、そのデジタルとかいうものを人間が使うようになったせいで、印を付けた運び番と使い番の正体が暴かれる危険が出てきたわけだ。これは次回までに対策を立てておかなくてはならない。それで、デジタルに詳しくて使えそうな人間を捜していたのだが、まあ百八十年後までに間に合えばいいからと、ついそのままにしておいた。

 ところが最近、地下のなまずが急に怪しい動きを始めた。“鎮め”の儀式が終わったばかりだというのに…。こんなことは、これまでの千八百年間、一度もなかったことだ。そこで、急遽、デジタルなんとかかんとかという役職についている真面目そうな人間を臨時の“運び番”に指名した。毎度のことだが、その人間もなかなか本気にしなかったので、印を付けてやった。
 それがどうもいかんことになったらしくて、人間たちは大騒ぎだ。まったく何がどうなっとるのかさっぱり分からんが、なんでもテレビとかいうのもデジタルだからそれに鹿の姿が写ると仕事ができなくなるという話で、しばらくの間、何か別の理由をでっちあげて休暇を取ったらしい。しかし、休んでいる間に鹿の姿がデジタルに写らないようにする技が編み出されたということだから、結果的には良かったのではないかと思う。その人間には“運び番”を断られてしまったが…。

 ところで、お前たちがケシカランと言っているあの妙な角をつけた鹿は、我々とは一切無関係だ。退治したければすればよい。しかし、あんな雑魚を退治しても何の意味もないだろう。
 そんなことよりも、今は地下のなまずの方が大問題だ。何らかの原因で地下の水脈に異変が起きて、そこからなまずが力を得ているような気配がある。あんな雑魚を退治するよりも、こっちの方がやりがいがあるぞ。どうだ、やってみないか?

――これで、鹿の影の話は終わった。

 禁太郎たちは、鹿の影の尻からポロポロと落ちている鹿の糞の影を眺めながら、さてこれからどうしようかと考えていた。この続きはあるかもしれないし、ないかもしれない。

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作者からの残念なお知らせ
 続きを思い付いてしまいました。もう飽き飽きしているかと思いますが、今しばらく御辛抱ください。


 白い空間に新たな影が現われた。それは大きな犬にまたがった姫のシルエットだった。この姿は、どこかで見たことがあるぞ。さては、かの有名な姫だな、と禁太郎たちは思った。
 大きな犬の影から降り立った姫の影は、鹿に一礼した後、禁太郎たちのいる方を向いた。凛とした気を放っている。
 鹿の影が紹介した。
 「こちらは、犬神とその“使い番”の御方だ。我々だけでは力が及ばないので、犬神に助力をお願いしたのだ」
 姫の影は、無言で禁太郎に歩み寄った。幣を両手で掲げ持ち、禁太郎の前で深々と御辞儀をする。禁太郎は、お祓いをするのだろうと思い、御辞儀を返した。すると、姫の影は右肩の上に構えた幣をほぼ水平に激しく一振りしたかと思うと、すぐさま両手両足を互い違いに振りながら大きく飛び上がり、着地した。同じ動作をもう一回した後、深々と御辞儀をした。(これと同じ一連の動作は、以下〔お祓い〕と略記する)
 禁太郎が御辞儀を返すと、姫の影は腹掛けをつかんで奪い取った。呆気にとられて見ていると、姫の影は、禁太郎の腹掛けを鹿の影の腹部に付けて、鹿の影の前脚を持ち上げた。そして、厳かな声を発した。
 「××ジカ!」
 そのまましばらく間をおいて、姫の影は鹿の影の前脚を下ろして腹掛けを外した。次に、腹掛けを自分の腰に巻きつけて、鹿の影の角の部分を両手でしっかりと持ち、自分の体を水平に浮かせた。腰に巻きつけた腹掛けがはためいている。そして、厳かに一言。
 「××シカ!」

 次に、姫の影は馬の前に立ち、〔お祓い〕をした。馬が御辞儀を返すと、姫の影は馬の頭の角をつかんで奪い取って、自分の頭に付けた。そして、厳かに一言。
 「×んとくん!」
 そのまましばらく間をおいて、頭から角を外し、角の先を組み合わせて顔の前にかざした。そして目の高さで前後にゆっくりと動かした。そして、厳かに一言。
 「×ントくん!」

 ここまで見た禁太郎は、こう思った。「たぶん、かの有名な姫の名をもじった姫なのだろう」

 さらに、姫の影は、猿と熊にも〔お祓い〕をしたが、奪い取る物が何もなかったためか、禁太郎の腹掛けと馬の角を使って、無言劇を演じた。

 まず、腹掛けを地面に敷いて、四角いエリアを作った。次に鹿の影を招き寄せて、そのエリアの周囲をゆっくりと歩かせた。一歩、二歩、三歩。そして後退。一歩、二歩。その繰り返しを延々と続けた。すると、腹掛けの四隅のあたりから芽が出て、葉を広げ、花が咲き、萎れていった。ここで、鹿の影を退場させ、犬神の影を呼び寄せた。
 犬神の影が腹掛けの周囲をゆっくりと歩き、隅のあたりに来ると地面の匂いを嗅ぎ、ここを掘れという素振りをする。姫の影は、馬の角を使って地面を掘り、茎を引く。里芋が二個実っている。これを繰り返し、四本の茎にそれぞれ二個ずつ実っている里芋が引き上げられた。姫の影は、掘り出した里芋を、鹿の影の背中の上に並べた。そして、厳かに一言。
 「掘った芋!」
 そのまましばらく間をおいて、里芋を腹掛けの上に並べた。そして、猿と熊と馬と禁太郎を招き寄せた。姫の影を見ると、手でつかんで持ち上げる身振りをしている。どうやら、収穫物を分け与えようということらしいと思って、各自、目の前にある里芋に手を伸ばすと、ひときわ厳かな声が響いた。
 「いじるな!」

 しばらく後、腹掛けの四隅を持ち上げて里芋を包めという意味だと分かって、その通りにした。すると、腹掛けの中の里芋はまぶしい光を放ち始めた。そして突然、四つの光がはじけ飛び、空の彼方へと四散した。腹掛けの中に残った四つの光は次第に弱まっていった。
 姫の影に促され、禁太郎たちが恐る恐る腹掛けに近づいて見ると、そこには四つの玉があった。手に取って見ると、透き通った玉の中には「禁」の文字が浮かび上がっていた。

 ここで禁太郎は、真相に思い至った。「ということは…。そっちの姫のもじりだったのか!」

 こうして禁太郎たちは、空の彼方に飛び散った四つの玉を捜す旅に出ることになってしまった。


作者からの余分な補足説明
 もう、お気付きかと思いますが、文中の「かの有名な姫の名をもじった姫」の名は、「もの×け姫」です。しかし、このもじりは既にいくつも前例があることが分かったため、没にしました。
 ちなみに、「そっちの姫のもじり」というのも文中には書きませんでしたが、もちろん「伏せ×姫」です。こちらも前例があることが分かったため、没となりました。今後は「×××姫」という名前で活躍することになると思います。

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 「今日からあんたが乗せてくれよ」と熊が言うと、馬は「別に構いませんよ」と快諾した。
 そんなわけで、禁太郎と河童の姫は馬の背に仲良くまたがっている。ぽっくりぽっくり。
 熊には猿が乗っている。のっしのっし。犬神の背には×××姫。すたすたすた。

 道中、河童の姫がいろんな話をした。自分が姫と呼ばれているのは大金持ちの娘として生まれたせいであり、河童の社会は王制ではないこと。河童は衣服を着ないこと。河童の雌が気に入った雄を追いかけて抱きつくのは普通だということ。などなど。
 ぽっくりぽっくり。のっしのっし。すたすたすた。

 猿は、河童の次になまかになるのは、やっぱり猪だろうなと予想していた。しかし、あの鹿の話から、あの勇敢な姫の話につながらなかったことが、どうも腑に落ちない。伏線が何本も張ってあったんだけどな。今こうして俺が考えているということは、このネタは没になったということか。残念だなあ。
 ぽっくりぽっくり。のっしのっし。すたすたすた。

 夜になった。

 ぐーぐーぐー。すやすやすや。むにゃむにゃむにゃ。
 もぞもぞもぞ。はあはあはあ。あっあっあっ。
 こそこそこそ。ちくちくちく。あっ、いたいっ。

 夜が明けた。禁太郎は目を覚ました。きれいに畳んだジーンズはあったが、腹掛けが見当たらない。河童の姫は静かな寝息を立てている。ジーンズをはいて、あたりを捜していると、朝もやの中から×××姫が現われた。禁太郎の腹掛けを持っている。禁太郎は、×××姫が黙って右手で差し出した腹掛けを受け取った。
 綻びたポケットが、不器用に繕ってあった。
 「直してくれたんだね。ありがとう」
 そう禁太郎が言うと、×××姫は右手を差し出した。
 「そういえば、禁太郎飴をまだあげていなかったよね」
 ×××姫は何度も頷いた。
 「でも、困ったことに、何が好物なのか全然見当もつかないんだよ…」
 すると×××姫は、こう言った。
 「××××××!」
 「あっ、そうか。その手があったか」

 禁太郎は、腹掛けから禁太郎飴を取り出した。
 「ほっぺたのところには、××××××が入ってるよ」
 ×××姫は喜んで、禁太郎飴を食べ始めた。よほど××××××が好きなのだろう、夢中になって、ずっと背後に隠していた左手を出している。その指には包帯が不器用に巻いてあった。
 ×××姫が繕ってくれた腹掛けを見ながら、今までよく分かんない人だと思ってたけど、いいとこあるんだな、と思っていると、×××姫が腹掛けの下の方を指差して、厳かにこう言った。
 「禁×袋!」
 やっぱりよく分かんないな、と禁太郎は思った。


“他一篇”は、18:30頃から、適当なBGMを思い浮かべながらお読みいただくと、気分が出ます。


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放映前のシナリオ(想像)

老作家: えっ、じゃあ「犬をけしかける少女」は? 映画にもなったんだけど…。

土曜日の原作者(偽文士日碌

原作者: 〔…〕何しろ七瀬のお手伝いに行った先が作家の家で、この作家先生がぼろくそに書かれていた。「犬をけしかける少女」というのを書いて没になるなど、ひどいものだ。「先生のことではありません」と抗弁してきたものの、作家の権威を守るのは長老の義務である。撮り直しと決ったものの、どうしていいかわからなくなったらしいので「作家」を「脚本家」にすればいいと入れ知恵して、〔…〕

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 昔、とてもアホな娘がおりました。びっくりすると、じょじょじょーっとおもらしをしてしまいます。

「そうや、海の中ならバレへんやろ」

 その日から娘は海の中で暮らすことにしました。

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