カテゴリ「洋画」の記事 (5)

 ある農家の畑を子鹿が荒らした。それを知った農夫は銃で撃ち殺そうとしたが、息子に止められて見逃してやった。

 後日、成長した鹿が、今度は屋根にのぼって糞をしていた。今度はさすがに我慢できずに、農夫は撃ち殺してしまった。少年は泣いて鹿の墓を作った。それを見ていた馬が、鹿の角を自分の頭につけてくれと頼んだ。少年が馬の頭に鹿の角をつけてやると、馬は「おかげでよく見えるようになった」と言って喜んだ。

 数日後、農夫の家の屋根に、変な角が生えてきた。どうやら鹿の糞から芽が出たようだ。近所の人たちは「あの家は屋根に変なものが生えているし、鹿の角を生やした馬もいる。馬鹿が伝染るから近づかんほうがいい」と噂した。それを聞いた馬は、こう言った。「伝染るんではなくて、映るんです」

 この話は、鹿の角を生やすと馬鹿が映るものがよく見えるようになると言いたいようである。


※都合により、予定していた内容を変更してお届けしました。なお、「白雪姫と四十人の盗賊」は5月10日(日)午前7時に公開します。

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 長い冬の間に、アリたちが溜め込んだ食糧がとうとう底をついてしまった。巣の外へ出てみると、キリギリスの死体がみつかった。キリギリスのおかげで、アリたちは飢え死にせずにすんだ。

 ホトトギスが鳴いていると、アリがこう言った。
 「働きもせず鳴いているだけなんて、いい身分だね」
 すると、ホトトギスはこう答えた。
 「いい身分だなんて、とんでもない。鳴かないと信長に殺されてしまうのです」

 ナイチンゲールが鳴いていると、ホトトギスがこう言った。
 「あなたも信長に殺されないように鳴いているのですか?」
 するとナイチンゲールはこう答えた。
 「殺されるなんて、とんでもない。私は王様が死なないように鳴いているんです」

 グンタイアリが通過すると、その後には王様の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ナイチンゲールが鳴いていると、負傷兵がこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、早く治療してくれ」
 するとナイチンゲールは負傷兵の傷口にくちばしを突っ込んで、弾丸を取り出した。

 負傷兵が泣いていると、上官がこう言った。
 「これくらいの傷で泣くんじゃない」
 すると負傷兵は上官の立てた作戦に首を突っ込んで、ダメ出しをした。

 グンタイアリが通過すると、その後には負傷兵と上官の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ホトトギスが鳴いていると、ウグイスがこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、卵を温めろよ」

 ウグイスが平安京で鳴いていると、エイリアンがやって来た。

 ウグイス嬢が泣いていた。たぶん事情があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 ホトトギスを鳴かせてやろうと、山猿があれこれと挑んでいた。

 アリがナシにたかっていた。これってアリ、それともナシ?

 アリクイとアリジゴクが睨み合っていた。双方、何もできず、勝負にならない。

 アリがこう言った。
 「さあ、立ち上がってかかって来い」

 ミツバチが毎週泣いていた。脚が二本足りないのが、たぶん悲しかったのだろう。

 ハチミツをクローバーにかけて食べる。これってアリ、それともナシ?

 カレーをナシにつけて食べる。これってアリ、それともナン?

 アリクイがバクにこう尋ねた。
 「夢なんか食って、うまいのか?」
 するとバクがこう答えた。
 「頼むから、蟻を食ってる夢を見るのはもうやめてくれ」

 その夜、アリクイは夢の中でバグを食っていた。
 結局、虫じゃないかとバクは思った。

 シロアリは、クロアリから届いた手紙をうっかり食べてしまった。
 クロアリは、「何か用?」と訪ねて来たシロアリをうっかり食べてしまった。
 すると、グンタイアリが通過して、後には何も残らなかった。

 オウムが富士山麓で鳴いていると、機動隊がやって来た。

 ナイチンゲールが泣いている横で、負傷兵がこう言った。
 「ごめん」
 たぶん情事があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 どうやっても鳴かないホトトギスに、山猿が困り果てていた。そういう無理強いは、もうよした方がいいと思う。

 ナイチンゲールがぐったりしている横で、アリクイが泣いていた。
 「嘘つき」
 たぶん何か行き違いがあったのだろうが、これ以上詳しいことは、もう語らない方がいいと思う。

 作者が弱音を吐いた。
 「この形式でひねったストーリを書くのは、もうこのへんが限界っす」

 キリギリスが鳴いていると、マツムシとスズムシとクツワムシとウマオイがやって来て、セッションが始まった。演奏が終わると夜が明けていた。
 「また来年もやろうな」
 そう言い合って、彼らは去って行った。


※スケジュールの都合により、「地底の大王と底なしの穴」の続編「地底一族の陰謀」は、明日の18:30に公開します。

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 彼ら四人は、ドラキュラ城に滞在して、のんびりとした日々を過ごしていた。雨に降り込められて、ドイツ語で書かれた怖い本などを読んでいたが、どうもやはり外国語ではピンと来ない。そこで、ゴダルミング卿(アーサー)が、こんなことを提案した。
 「みんなで、怖い話を書いてみましょうよ」

 そこへ、セワード医師が顔を出した。
 「皆さんお揃いで、何を考え込んでるんですか」
 ルーシーが答えた。
 「この人が、みんなで怖い話を書こうなんて言い出したものだから…」
 「なるほどね。それじゃあ、私は吸血鬼の話でも書くとするか」
 乗り気になったセワード医師は、自室に戻ってタイプライタを打ち始めた。

 セワード医師の部屋から聞こえるタイプの音は、途切れることなく続いている。
 「あの先生に、こんな才能があったとは知りませんでした」
 ルーシーがそう言うと、アーサーが心配そうな顔をした。
 「それにしても、これは尋常ではないな。ちょっと様子を見て来よう」
 数分後、彼は真っ青な顔で戻ってきた。
 「まあ、そんなに怖い話だったんですか?」
 クレアが尋ねると、バイロン卿はこう言った。
 「いや、ジャックのやつ、話なんか何も書いてなかったよ」

 ははあ、今回はこういう趣向なのかとジョナサンが思っていると、突然、ミナが天啓を受けたように立ち上がった。
 「これだわ!」
 そう言って、メアリーは一心不乱にモンスターの話を書き始めた。


【誤記訂正】(2009/08/09 20:20)
(誤)ナンシーが答えた。/ナンシーがそう言うと、

(正)ルーシーが答えた。/ルーシーがそう言うと、

人名をすり替えるネタで、元の名前を間違ってしまいました。謹んでお詫びします。

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 ジョナサンは、しばらく一人で考えていたが、怖い話なんか、全然思い付かない。あきらめて図書室を出ようと扉を開けると、ハンプティとダンプティが並んで立っていた。女装して、無言でこっちを見ている。ジョナサンは、そのまま扉を閉めて元の椅子に戻った。すると、いきなりジャックが飛び込んできた。目は血走り、手には斧を持っている。ジョナサンは思わず叫んだ。
 「もう、そのネタはいいですよ!」
 「何だ、もうバレてしまったのか…」
 ジャックは、残念そうな顔をしていた。
 「あんまりこのネタをやってると、モダン・ホラーの王様に呪われますよ」
 ジョナサンがこう言うと、ジャックはニヤリと笑った。
 「な、やっぱり怖いだろ?」

 「ところで、バイロン卿とクレアは?」
 「さっき出て行きましたよ。トカゲをもう一回見ようとか言って」
 「メアリーは?」
 「自分の部屋で何か書いてるようです」
 「そうか。君しか残っていなかったとはな…」
 「ハンプティとダンプティに女装させたのも無駄になりましたね」
 すると、ポリドリは怪訝そうな表情を浮かべた。
 「それは一体、何のことだ?」
 結局、あの二人が一番怖いというオチなのか、とジョナサンは思った。しかし、本当に怖いオチは、この後に待ち構えている。

 その夜、ジョナサンは、メアリーが書きかけている怖い話を読んでみた。

 ロバート・ウォルトンという海洋冒険家が、ロンドンからはるばるロシアまでやって来た。彼は、北極探検の夢を実現させようとしているのだ。ペテルブルクからアルハンゲルスクへ行き、そこで船を借りたり乗組員を雇ったりして準備万端整えて、北極海に向けて出航した。
 ところで、その頃、ペテルブルクの街には異様な怪物が出現していた。それは、人間の鼻のような姿をした巨大なモンスターだった。そのモンスターは馬車に乗ってアルハンゲルスクへと続く街道を物凄いスピードで走って行った。その馬車を必死で追いかけている一人の男がいた。その男の顔には鼻がなかった。
 ウォルトンの船が流氷に取り囲まれて身動きできなくなっていたとき、猛スピードの犬橇が氷原を駆け抜けていった。その犬橇に乗っていたのは例のモンスターだ。翌朝、同じような犬橇が大きな流氷に乗って流れ着いた。その犬橇に乗っていたのは、例の鼻のない男だった。救出して名前を尋ねると、その男は、コワリョフだと名乗った。

 これは怖い話じゃなくて、コワリョフの話だよな、とジョナサンは思った。この程度のネタをオチに持ってくる作者の安易な発想が怖い。
 しかし、この後ジョナサンの身に降りかかる不幸な出来事を、まだ誰も予想すらしていなかった。(ただし、作者を除く含む)


【修正】(2009/08/11)
この話の続きが予想外の展開になったので、本文の一部を以下のように修正しました。

(ただし、作者を除く)→(ただし、作者を含む)

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 メアリーは、少年の死体が温かいうちにと急いで話を書き始めた。

 昔、昔、あるところに、心優しく見た目も美しい天使のような少年がいました。実は、この少年の頭の中には脳味噌のかわりに、こんがらがったパスタが詰まっているのですが、少年の家族にはそのことは内緒です。

 これを読んだジョナサンは、なぜ小型トラックやアイスクリームやマッド・サイエンティストの兄を使わなかったのだろうと思った。

 少年には両親と兄がいました。兄は難しい病気にかかっていたので、両親はもう助からないものと思い、少年を可愛がってくれました。ところが兄の病気が治ったとたん、両親は兄を可愛がるようになりました。

 おやおや、これはどこかで見たような話だぞ、とジョナサンは思った。

 ある冬のこと、少年は家族と一緒に山奥のホテルに行きました。雪に閉ざされたホテルの中で、父親はなぜか次第に恐ろしい存在になっていきました。そこで、少年は森の中へと逃げ出しました。

 これも何だかどこかで読んだような話だな、とジョナサンは思った。

 森の中には、少年の本当の生みの親のマッド・サイエンティストが住んでいました。少年の話を聞いたマッド・サイエンティストは、少年の母親の髪の毛からクローン人間を作って、新開発の蟹味噌を入れてやりました。こうしてパスタ脳の少年と蟹味噌脳の母親は、いつまでも幸せに暮らしました。

 やっとマッド・サイエンティストが登場したかと思ったら、この結末はひどい。せめて、母子の幸せが続くのは蟹味噌が腐るまでに限定すべきだろう。いや、母親の記憶が何の説明もなく蟹味噌に転写されているところがどうも気になるぞ。こんな穴だらけの話で感動の涙を誘えるなんて考えるのはどうかしている。それに、そもそも怖い話を書こうとしていたのではなかったのか?

 ジョナサンはメアリーにそう話した。するとメアリーは、こう言い返した。
 「じゃあ、あなたが自分で書けば?」
 確かにそれは、もっともな話だな、とジョナサンは思った。

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