カテゴリ「アニメ」の記事 (16)

 昔、昔、ある国に、四十人の盗賊がいました。

 ある日、盗賊のお頭が突然こんなことを言いだしました。「今回は、白雪姫に出てくる魔法の鏡をいただいてくるダベェ~!」
 すると、三人の手下が(中略)、変なメカに乗って発進しました。

 「えー。何ですって? 四十人もいないって? いますよ、ホラ。残りの三十六人は、こんなふうになってるのよー」と、手下の一人の出っ歯の男が言いました。
 「いつものインチキでまんねん」と、もう一人のがっしりした体格の男が言うと、女ボスが、「お前たち、何をごちゃごちゃ言ってるのさー。さっさと白雪姫を誘拐してくるんだよー」

 白雪姫が、いつものように七人の小人の家で留守番をしていると、「リンゴはいらんかねー」という声が聞こえてきました。
 扉を開けると、お婆さんがリンゴの入ったかごを提げて売り歩いています。
 「おばあさん、リンゴを一つくださいな」と、白雪姫が声をかけると、出っ歯のお婆さんが振り向いて、「あらまあ、本当に不用心な子ねえ」

 しばらく後、小人たちが家に帰ってくると、白雪姫の姿がありません。床には一口かじったリンゴが落ちていて、テーブルの上には一枚の紙きれがありました。

白雪姫はあずかったわよー。返して
ほしかったら、魔法の鏡を持って、
岩山の秘密の隠れ家まで来てねー。
          四十人の盗賊より

 これを読んで、眼鏡をかけた鼻下鬚の小人が、こう言いました。
 「諸君。白雪姫が誘拐された。ただちに出動!」
 「ラジャー!」
 五人の若い小人が、五種類の小鳥に変身しました。

 この様子を魔法の鏡で見ていた継母は、意地悪そうな笑みを浮かべて、こう言いました。
 「誰が白雪姫なんかを助けに行ったりするもんですか」
 そして、鏡に向かって、こう言いました。
 「鏡よ、鏡。世界で一番まぬけな泥棒は誰だい?」
 すると、鏡は、こう答えました。
 「それは、白雪姫を誘拐して岩山の洞窟に閉じ込めた三人組の泥棒です」
 窓の外で、五羽の小鳥が飛び立つ音がしました。

 「一体どうなってるんだい? 誰も魔法の鏡を持って来ないじゃないか!」
 「どうしたんでしょうね~」
 「ホンマやなー」

 岩山の洞窟に閉じ込められている白雪姫が目を覚ましました。
 「ここは、どこかしら?」
 白雪姫は起き上がってあたりを見回しました。どこもかしこも真っ暗でしたが、遠くの方に一筋の光が見えました。
 「あれは、何かしら?」
 立ち上がって、光の方へ歩き始めると、何かが足にあたりました。
 「これは、何かしら?」
 拾い上げると、何だか壷のような形をしていました。それを抱えて、白雪姫は光に向かって歩き続けます。

 「お前たち、いつまでもボケーッと待ってないで、何とかおしよ!」
 「アラホラサッサー!」

 白雪姫は、やっと光の当たっている場所にたどり着きました。洞窟の天井に小さな穴があいていて、そこから外の光が射し込んでいるのでした。
 「あんなに高いところに、どうやって上ったらいいかしら…」
 すると、その穴から、五羽の小鳥が飛び込んできました。
 「まあ、小鳥さんたち。わたしを助けに来てくれたのね!」
 小鳥たちは嬉しそうにさえずって、白雪姫のまわりを飛び回りました。
 「でも、どうやったら、ここから出られるのかしら」
 白雪姫がそう言うと、小鳥たちは白雪姫の目の前に集まって、ぐるぐると回転し始めました。そしてどんどん勢いよく回ります。すると、つむじ風が起きて、飛び散った小さな羽が、白雪姫の鼻に入りました。白雪姫がくしゃみをすると、持っていた不思議な壷がぐらぐらと踊りはじめました。

 突然現われた変なデザインの巨大なメカが、白雪姫の継母のいるお城を壊して、魔法の鏡を奪って行きました。すると、継母はハッとしてこう言いました。
 「ああ、わたしは何をやっていたのでしょう! 世界で一番大切な白雪姫がさらわれたというのに…」
 継母は、これまでずっと魔法の鏡に取り憑かれていたのです。

 すると、そこへ魔法の絨毯に乗った白雪姫が帰って来ました。
 元に戻った優しい継母と白雪姫は抱き合って喜び合いました。五羽の小鳥たちと、メタボな体形の魔王も、みんな一緒に大喜びです。

 その頃、三人の盗賊は、魔法の鏡の前で…。
 「開け、ゴマ! おかしいな、何も映りませんよー」「ほなら、開け、シロゴマ!」「白雪姫だけに白ゴマねー」「何やってるんだい、こっちにお貸しよ。開け、ウインドウ! あれ? 違うのかい?」「変ですねー」「おや? ここんとこにリンゴのマークがありまっせ」「なるほどー。白雪姫だけにリンゴだったのねー」「それじゃ、開け、アップル!」「違いますよ、開け、リンゴ!」「ほなら、開け、ドクリンゴ!」「お前、今、何て言った? あたしゃ何だかイヤーな予感がするよ…」

 すると、魔法の鏡の中から、盗賊のお頭の声が、「このアカポンタン!」(後略)

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 昔、ある村に、ジャックという男の子がいました。ある日、ジャックはジャックのお父さんと一緒に、ジャックの家で飼っていた牛を売りに、ジャックの家のある村の隣の町まで出かけることになりました。

 ジャックとジャックのお父さんがジャックの家で飼っていた牛を牽いて歩いていると、それを見ていた男の人がこう言いました。
 「間抜けなことをしているな。一人は牛に乗って行けばいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックをジャックの家で飼っていた牛に乗せました。

 ジャックを乗せたジャックの家で飼っていた牛をジャックのお父さんが牽いて歩いていると、それを見ていた別の男の人がこう言いました。
 「子どもを甘やかしてるな。子どもを歩かせればいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックをジャックの家で飼っていた牛から降ろしました。そして、ジャックのお父さんはジャックの家で飼っていた牛に乗って、ジャックのお父さんが乗ったジャックの家で飼っていた牛をジャックに牽かせることにしました。

 ジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛をジャックが牽いて歩いていると、それを見ていたまた別の男の人がこう言いました。
 「ひどい親だな。子どもも乗せてやったらいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛から降りて、ジャックをジャックのお父さんが降りたジャックの家で飼っていた牛に乗せました。そして、ジャックのお父さんは、ジャックのお父さんが降りてジャックが乗ったジャックの家で飼っていた牛の上のジャックの後ろに乗りました。

 ジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛が歩いていると、川にさしかかりました。すると、ジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛は、こう一人ごとを言いました。
 「重たいな。この前みたいに川に飛び込んだら軽くなるんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛は、ジャックとジャックのお父さんを乗せたまま、川に飛び込みました。

 ところが、ジャックの家で飼っていた牛が思ったようにはなりませんでした。ジャックとジャックのお父さんは軽くなるどころか、ジャックの服とジャックのお父さんの服に川の水がしみ込んで、かえって重くなってしまったのです。しかも、ジャックのお父さんは、得体の知れない妙な生き物に変身してしまいました。

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛が歩いていると、またまた別の男の人がこう言いました。
 「エコドライブだな。しかし、牛は二酸化炭素を排出するけど、この緑豆を植えると二酸化炭素を吸収するから、その牛を緑豆と交換した方が、もっとエコになるんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思った得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんは、そのまたまた別の男の人の言った通りに、ジャックの家で飼っていた牛を、そのまたまた別の男の人の緑豆と交換しました。

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんが、ジャックの家で飼っていた牛と交換した、またまた別の男の人が持っていた緑豆を持って、ジャックの家に帰ってくると、ジャックのお母さんは、嬉しそうにこう言いました。
 「おかえりなさい。まあ、おいしそうな緑豆ね。さっそく緑豆の料理を作りましょう」
 すると、ジャックが言いました。
 「食いしん坊だな。食べてしまったらエコにならないんじゃないかな?」
 得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんも言いました。
 「そうだよ。その緑豆は畑に蒔いて育てるんだよ」

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんと食いしん坊なジャックのお母さんは、ジャックの家の裏の畑に行って、おいしそうだけど食べてしまったらエコにならない緑豆を蒔きました。

 その夜、ジャックの家の裏の畑に蒔いた緑豆の周りで、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんが踊りを踊っていると、ジャックの家の裏の畑に蒔いた緑豆から勢いよく芽が出てきました。そして、ぐんぐん伸びていきました。

 翌朝、ジャックがジャックの家の裏の畑に行ってみると、ゆうべ蒔いた緑豆は、雲に届く大きな木になっていました。さっそくジャックは、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をどんどん登っていきました。

 そして、とうとう雲の上まで登ったジャックは、雲の上に大きなお城が建っているのを見つけました。ジャックが見つけた雲の上の大きなお城にジャックが入ってみると、そこにはニワトリと、何かが入っている袋と、ハープがありました。ジャックは何かが入っている袋の中には何が入っているのだろうと思って、そっと何かが入っている袋を開けて覗き込みました。

 すると、いきなりハープがこう叫びました。
 「どろぼうだ! どろぼうだ! どろぼうがきだぞ!」
 びっくりしたジャックは、ジャックが見つけた雲の上のお城の中にあった何かが入っている袋の中に入っていたものを一つかみだけ手に取って、ジャックが見つけた雲の上のお城の中から逃げ出しました。すると、ジャックが見つけた雲の上のお城の中から雲を衝くような大男が追いかけてきました。

 ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をするすると降りてきたジャックが、ジャックの家の斧を取り出して、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木を切り倒そうとすると、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男が、こう叫びました。
 「この木を切るな。この木を切ったらエコじゃなくなるんじゃないかな?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックは、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をジャックの家にあった斧で切り倒すのをやめました。すると、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木の途中から、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男が飛び下りてきました。

 ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木の途中から飛び下りた雲を衝くような大男は、こう言いました。
 「お前が手に持っているのは緑豆だな。この地図の印を付けたところに蒔いてくれてもいいんじゃないかな?」
 ジャックは手の中の緑豆を見て、なるほど、それもそうだなと思いました。

 ジャックが見つけた雲の上のお城の中にあった何かが入っている袋の中に入っていた緑豆を、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男にもらった地図の印を付けたところにジャックが蒔いていると、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんがやってきて踊りを踊りはじめました。

 その後、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男は、ジャックの家のある村とジャックの家のある村の隣の町のあちこちに生えた雲に届く大きな木を何度も何度も行き来して、せっせとコンビニを作りました。そして、ジャックは、ジャックの家の裏の畑のすぐ近くにできたコンビニでアルバイトをしながら経営学を勉強したということです。

 そうそう、それと、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんは、今もどこかで踊りを踊っていることでしょう。

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 黄色の鼠が茶色の鼠の住む家に遊びに来た。すると、いきなり灰色の猫が襲いかかってきた。攻撃も防御も手当たり次第で、ルールも何もあったものではない。それに、気絶させてもすぐに起き上がってまた追いかけてくる。こんなことを毎日繰り返しているだけで、新しい敵が現われることもなく、進化できるわけでもない。こんな出鱈目な家にはとても住めないと思った黄色の鼠は自分の住む町へ帰って行った。

 茶色の鼠が黄色の鼠の住む町に遊びに来た。すると、いきなりボールの中に閉じ込められてしまった。いくら出ようともがいてみても出られず、つまらなくなって眠っていると、急にボールの外に追い出された。恐ろしい化け物が入れ代わり立ち代わり現われて攻撃してくるが、人間の命令通りにしか動けない。こんな不自由な町にはとても住めないと思った茶色の鼠は自分の住む家へ帰って行った。

 黄色の鼠と茶色の鼠が黒色の鼠の住む国に遊びに来た。すると、いきなり大勢の人間たちが寄ってきて、握手をしたり写真を撮ったりしはじめた。子どもも大人もみんな大喜びをしていて、その後ろには笑顔を浮かべた人間たちが行列を作って待ち構えている。敵はどこにもいなかったが、こんな無気味な国にはとても住めないと思った黄色の鼠と茶色の鼠は自分の住む町と家へ帰って行った。

 黒色の鼠が黄色の鼠の住む町や茶色の鼠の住む家に遊びに来ることはない。自分の住む国が一番だと信じ込んでいるからだ。

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 長い冬の間に、アリたちが溜め込んだ食糧がとうとう底をついてしまった。巣の外へ出てみると、キリギリスの死体がみつかった。キリギリスのおかげで、アリたちは飢え死にせずにすんだ。

 ホトトギスが鳴いていると、アリがこう言った。
 「働きもせず鳴いているだけなんて、いい身分だね」
 すると、ホトトギスはこう答えた。
 「いい身分だなんて、とんでもない。鳴かないと信長に殺されてしまうのです」

 ナイチンゲールが鳴いていると、ホトトギスがこう言った。
 「あなたも信長に殺されないように鳴いているのですか?」
 するとナイチンゲールはこう答えた。
 「殺されるなんて、とんでもない。私は王様が死なないように鳴いているんです」

 グンタイアリが通過すると、その後には王様の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ナイチンゲールが鳴いていると、負傷兵がこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、早く治療してくれ」
 するとナイチンゲールは負傷兵の傷口にくちばしを突っ込んで、弾丸を取り出した。

 負傷兵が泣いていると、上官がこう言った。
 「これくらいの傷で泣くんじゃない」
 すると負傷兵は上官の立てた作戦に首を突っ込んで、ダメ出しをした。

 グンタイアリが通過すると、その後には負傷兵と上官の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ホトトギスが鳴いていると、ウグイスがこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、卵を温めろよ」

 ウグイスが平安京で鳴いていると、エイリアンがやって来た。

 ウグイス嬢が泣いていた。たぶん事情があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 ホトトギスを鳴かせてやろうと、山猿があれこれと挑んでいた。

 アリがナシにたかっていた。これってアリ、それともナシ?

 アリクイとアリジゴクが睨み合っていた。双方、何もできず、勝負にならない。

 アリがこう言った。
 「さあ、立ち上がってかかって来い」

 ミツバチが毎週泣いていた。脚が二本足りないのが、たぶん悲しかったのだろう。

 ハチミツをクローバーにかけて食べる。これってアリ、それともナシ?

 カレーをナシにつけて食べる。これってアリ、それともナン?

 アリクイがバクにこう尋ねた。
 「夢なんか食って、うまいのか?」
 するとバクがこう答えた。
 「頼むから、蟻を食ってる夢を見るのはもうやめてくれ」

 その夜、アリクイは夢の中でバグを食っていた。
 結局、虫じゃないかとバクは思った。

 シロアリは、クロアリから届いた手紙をうっかり食べてしまった。
 クロアリは、「何か用?」と訪ねて来たシロアリをうっかり食べてしまった。
 すると、グンタイアリが通過して、後には何も残らなかった。

 オウムが富士山麓で鳴いていると、機動隊がやって来た。

 ナイチンゲールが泣いている横で、負傷兵がこう言った。
 「ごめん」
 たぶん情事があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 どうやっても鳴かないホトトギスに、山猿が困り果てていた。そういう無理強いは、もうよした方がいいと思う。

 ナイチンゲールがぐったりしている横で、アリクイが泣いていた。
 「嘘つき」
 たぶん何か行き違いがあったのだろうが、これ以上詳しいことは、もう語らない方がいいと思う。

 作者が弱音を吐いた。
 「この形式でひねったストーリを書くのは、もうこのへんが限界っす」

 キリギリスが鳴いていると、マツムシとスズムシとクツワムシとウマオイがやって来て、セッションが始まった。演奏が終わると夜が明けていた。
 「また来年もやろうな」
 そう言い合って、彼らは去って行った。


※スケジュールの都合により、「地底の大王と底なしの穴」の続編「地底一族の陰謀」は、明日の18:30に公開します。

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前回のあらすじ)
 超昔、ある大陸で繁栄していた超文明社会は一夜にして海の底に没した。しかし不老不死の大王とその一族はシェルターの中で生き延びた。時が流れて普通の昔になったころ、地下宮殿の天井から、地上の声が聞こえてきた。

(主な登場人物)

ナー大王  地下宮殿の主
フー后 ナー大王の妻
サー妃 ナー大王の長女
マー王 サー妃の夫
カー王 ナー大王の長男
ワー姫 ナー大王の二女
ター王子 マー王の長男
ノー王 ナー大王の甥

 地下宮殿の中では、超発達した科学技術によって、地上から伝わって来た声の意味を既に解析していた。

 「どれもこれも支配者に対する悪口ばかりです」
 カー王の報告に、ナー大王が満足げに頷いた。
 「うむ。地上では圧政が続いておるようじゃな」
 「すぐに、やっつけに行きましょう」と、カー王が飛び出そうとするのをナー大王が一喝した。
 「馬鹿もんッ!」
 ナー大王がカー王に説教していると、サー妃がやって来た。
 「あんた、今度は何をやったの?」
 「姉さんには関係ないよ」
 「いきなり地上に出ようとしおったんじゃ」
 「まあ、何てことを」
 そこへ、フー后が助け船を出した。
 「もういいじゃありませんか。カー王も反省しているようですし」

 カー王が自室にさがって落ち込んでいると、妹のワー姫がなぐさめた。
 「きっと、お父さんはお兄ちゃんのことが心配だから怒ったのよ」

 ナー大王の招集で会議が始まった。
 「危なっかしくてカー王には任せられん。地上にはやはりマー王に行ってもらおう」
 「いやー、僕にはそんな大役は…」
 マー王が遠慮していると、マー王の幼い息子が言った。
 「パパは悪いやつをやっつけないですか?」
 マー王が言いよどんでいると、ナー大王はター王子に尋ねた。
 「ターちゃんは、地上の悪いやつをやっつけるのかい?」
 「ボクが行ってやっつけます」
 「そうか、そうか」
 ナー大王は目を細めた。

 しばらくすると、ナー大王の甥にあたるノー王がやってきた。
 「地上の声が伝わって来たんですって?」
 「もう知っておるのか」
 「さすがはノー王、耳が早いわね」
 「こういうのを地獄耳っていうんだよ」
 「地獄耳ですか。悪いやつは僕がやっつけます」
 「ちょっと、どうしたんだよ、ターちゃん」
 「カー王が余計なことを教えるからよ」

 「そう言えば、こんなこともありましたっけ…」
 フー后が言うと、みんながそのテーマに沿ったエピソードを披露しはじめた。何しろ不老不死で長年暮らしてきた一族だから話の種が尽きることはない。

 こうして、地上人の危機は回避されたのであった。

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作者からの残念なお知らせ
 続きを思い付いてしまいました。もう飽き飽きしているかと思いますが、今しばらく御辛抱ください。


 白い空間に新たな影が現われた。それは大きな犬にまたがった姫のシルエットだった。この姿は、どこかで見たことがあるぞ。さては、かの有名な姫だな、と禁太郎たちは思った。
 大きな犬の影から降り立った姫の影は、鹿に一礼した後、禁太郎たちのいる方を向いた。凛とした気を放っている。
 鹿の影が紹介した。
 「こちらは、犬神とその“使い番”の御方だ。我々だけでは力が及ばないので、犬神に助力をお願いしたのだ」
 姫の影は、無言で禁太郎に歩み寄った。幣を両手で掲げ持ち、禁太郎の前で深々と御辞儀をする。禁太郎は、お祓いをするのだろうと思い、御辞儀を返した。すると、姫の影は右肩の上に構えた幣をほぼ水平に激しく一振りしたかと思うと、すぐさま両手両足を互い違いに振りながら大きく飛び上がり、着地した。同じ動作をもう一回した後、深々と御辞儀をした。(これと同じ一連の動作は、以下〔お祓い〕と略記する)
 禁太郎が御辞儀を返すと、姫の影は腹掛けをつかんで奪い取った。呆気にとられて見ていると、姫の影は、禁太郎の腹掛けを鹿の影の腹部に付けて、鹿の影の前脚を持ち上げた。そして、厳かな声を発した。
 「××ジカ!」
 そのまましばらく間をおいて、姫の影は鹿の影の前脚を下ろして腹掛けを外した。次に、腹掛けを自分の腰に巻きつけて、鹿の影の角の部分を両手でしっかりと持ち、自分の体を水平に浮かせた。腰に巻きつけた腹掛けがはためいている。そして、厳かに一言。
 「××シカ!」

 次に、姫の影は馬の前に立ち、〔お祓い〕をした。馬が御辞儀を返すと、姫の影は馬の頭の角をつかんで奪い取って、自分の頭に付けた。そして、厳かに一言。
 「×んとくん!」
 そのまましばらく間をおいて、頭から角を外し、角の先を組み合わせて顔の前にかざした。そして目の高さで前後にゆっくりと動かした。そして、厳かに一言。
 「×ントくん!」

 ここまで見た禁太郎は、こう思った。「たぶん、かの有名な姫の名をもじった姫なのだろう」

 さらに、姫の影は、猿と熊にも〔お祓い〕をしたが、奪い取る物が何もなかったためか、禁太郎の腹掛けと馬の角を使って、無言劇を演じた。

 まず、腹掛けを地面に敷いて、四角いエリアを作った。次に鹿の影を招き寄せて、そのエリアの周囲をゆっくりと歩かせた。一歩、二歩、三歩。そして後退。一歩、二歩。その繰り返しを延々と続けた。すると、腹掛けの四隅のあたりから芽が出て、葉を広げ、花が咲き、萎れていった。ここで、鹿の影を退場させ、犬神の影を呼び寄せた。
 犬神の影が腹掛けの周囲をゆっくりと歩き、隅のあたりに来ると地面の匂いを嗅ぎ、ここを掘れという素振りをする。姫の影は、馬の角を使って地面を掘り、茎を引く。里芋が二個実っている。これを繰り返し、四本の茎にそれぞれ二個ずつ実っている里芋が引き上げられた。姫の影は、掘り出した里芋を、鹿の影の背中の上に並べた。そして、厳かに一言。
 「掘った芋!」
 そのまましばらく間をおいて、里芋を腹掛けの上に並べた。そして、猿と熊と馬と禁太郎を招き寄せた。姫の影を見ると、手でつかんで持ち上げる身振りをしている。どうやら、収穫物を分け与えようということらしいと思って、各自、目の前にある里芋に手を伸ばすと、ひときわ厳かな声が響いた。
 「いじるな!」

 しばらく後、腹掛けの四隅を持ち上げて里芋を包めという意味だと分かって、その通りにした。すると、腹掛けの中の里芋はまぶしい光を放ち始めた。そして突然、四つの光がはじけ飛び、空の彼方へと四散した。腹掛けの中に残った四つの光は次第に弱まっていった。
 姫の影に促され、禁太郎たちが恐る恐る腹掛けに近づいて見ると、そこには四つの玉があった。手に取って見ると、透き通った玉の中には「禁」の文字が浮かび上がっていた。

 ここで禁太郎は、真相に思い至った。「ということは…。そっちの姫のもじりだったのか!」

 こうして禁太郎たちは、空の彼方に飛び散った四つの玉を捜す旅に出ることになってしまった。


作者からの余分な補足説明
 もう、お気付きかと思いますが、文中の「かの有名な姫の名をもじった姫」の名は、「もの×け姫」です。しかし、このもじりは既にいくつも前例があることが分かったため、没にしました。
 ちなみに、「そっちの姫のもじり」というのも文中には書きませんでしたが、もちろん「伏せ×姫」です。こちらも前例があることが分かったため、没となりました。今後は「×××姫」という名前で活躍することになると思います。

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 「今日からあんたが乗せてくれよ」と熊が言うと、馬は「別に構いませんよ」と快諾した。
 そんなわけで、禁太郎と河童の姫は馬の背に仲良くまたがっている。ぽっくりぽっくり。
 熊には猿が乗っている。のっしのっし。犬神の背には×××姫。すたすたすた。

 道中、河童の姫がいろんな話をした。自分が姫と呼ばれているのは大金持ちの娘として生まれたせいであり、河童の社会は王制ではないこと。河童は衣服を着ないこと。河童の雌が気に入った雄を追いかけて抱きつくのは普通だということ。などなど。
 ぽっくりぽっくり。のっしのっし。すたすたすた。

 猿は、河童の次になまかになるのは、やっぱり猪だろうなと予想していた。しかし、あの鹿の話から、あの勇敢な姫の話につながらなかったことが、どうも腑に落ちない。伏線が何本も張ってあったんだけどな。今こうして俺が考えているということは、このネタは没になったということか。残念だなあ。
 ぽっくりぽっくり。のっしのっし。すたすたすた。

 夜になった。

 ぐーぐーぐー。すやすやすや。むにゃむにゃむにゃ。
 もぞもぞもぞ。はあはあはあ。あっあっあっ。
 こそこそこそ。ちくちくちく。あっ、いたいっ。

 夜が明けた。禁太郎は目を覚ました。きれいに畳んだジーンズはあったが、腹掛けが見当たらない。河童の姫は静かな寝息を立てている。ジーンズをはいて、あたりを捜していると、朝もやの中から×××姫が現われた。禁太郎の腹掛けを持っている。禁太郎は、×××姫が黙って右手で差し出した腹掛けを受け取った。
 綻びたポケットが、不器用に繕ってあった。
 「直してくれたんだね。ありがとう」
 そう禁太郎が言うと、×××姫は右手を差し出した。
 「そういえば、禁太郎飴をまだあげていなかったよね」
 ×××姫は何度も頷いた。
 「でも、困ったことに、何が好物なのか全然見当もつかないんだよ…」
 すると×××姫は、こう言った。
 「××××××!」
 「あっ、そうか。その手があったか」

 禁太郎は、腹掛けから禁太郎飴を取り出した。
 「ほっぺたのところには、××××××が入ってるよ」
 ×××姫は喜んで、禁太郎飴を食べ始めた。よほど××××××が好きなのだろう、夢中になって、ずっと背後に隠していた左手を出している。その指には包帯が不器用に巻いてあった。
 ×××姫が繕ってくれた腹掛けを見ながら、今までよく分かんない人だと思ってたけど、いいとこあるんだな、と思っていると、×××姫が腹掛けの下の方を指差して、厳かにこう言った。
 「禁×袋!」
 やっぱりよく分かんないな、と禁太郎は思った。


“他一篇”は、18:30頃から、適当なBGMを思い浮かべながらお読みいただくと、気分が出ます。


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 そして、ジョナサンは大人になって、子どもの頃に見たような夢を見なくなってしまいました。ジョナサンは、結局、船乗りにはならずに、地味で堅い仕事をしていました。

 ある日、ジョナサンは屋根裏のガラクタを片付けていて、キャンディーの缶を見つけました。振ると音がします。蓋を開けてみると、ドングリが一個入っていました。「何だったっけなあ…」と思いながら、ジョナサンが炭坑の仕事を終えて歩いていると、空に光るものが見えました。立ち止まって見ていると、その光がだんだん近づいてきました。「女の子が浮かんでるぞ。どこかで見た光景だな」と、ジョナサンは思いました。

 その少女の首には光る玉の付いたネックレスがかかっています。少女はゆっくりと下りてきて、地面に横たわりました。気を失っているようです。玉の光は次第に弱まっていき、最後に細い光の筋が天の一角に向かって伸びたかと思うと、消えてしまいました。ジョナサンが玉を手に取って見ると、“城”という文字が浮かび上がっているのが見えました。

 すると、いつの間にか、ジョナサンの隣に立っていた得体の知れない妙な生き物が、ネックレスを横取りしました。あっけにとられているジョナサンに、得体の知れない妙な生き物は一個のドングリを手渡したあと、にっと笑って空の彼方へと飛んで行きました。

 こうして、またジョナサンの旅が始まりました。

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 「断る」
 ジョナサンは、ドングリを窓から投げ捨てた。

 ドングリがころころと転がって池の中へ落ちようとした瞬間、勢いよく水を噴きかけて撥ね返したドジョウが一言。「親譲りの水鉄砲だ」

 「なぜ?」
 そう問いかける眠り姫に、ジョナサンは服を着ながら答えた。
 「君は君の夢を見ていればいい。僕は僕の夢を見る。それだけだ」
 すると、眠り姫は消えた。

 ジョナサンが家の外に出ると、地面に落ちたドングリの周りで、得体の知れない妙な生き物が踊りを踊っていた。
 「光る玉を返してくれ」
 得体の知れない妙な生き物は、にっと笑って光る玉を差し出した。ジョナサンがその玉を手にすると、青白い一筋の光が天の一角を指した。
 ジョナサンはその方角を見定めてから、ゆっくりと走り始めた。両脚に力をこめて加速して、両腕を大きく拡げた。全身で風を聞きながら走り続けた。そして、軽く羽ばたいたとき、ジョナサンの体は宙に浮いた。

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 禁太郎たちが林の中でキノコ狩りをしていると、突然、一頭の獣が狂ったように駆け出してきた。「猪だ!」と猿が叫び、「逃げろ!」と馬が嘶く。禁太郎たちは一斉に逃げ始めた。

 このシチュエーションに心当たりのある方は、一連の凝った映像を思い浮かべてお楽しみください。適当なBGMを付け加えると効果的です。

 その狂暴な猪は倒れて、もがき苦しんでいる。気味の悪いペラペラしたものが猪に纏わりつき、ぐるぐると高速回転している。
 「何かに取り憑かれているようだな」と熊が言う。

 この展開に心当たりのある方は、まだ何も思い浮かべず、もう少しお読みください。

 それを聞いた×××姫が幣を手にして歩み出て、例の〔お祓い〕を始めた。すると、猪に纏わりついていた気味の悪いペラペラしたものは、ぐるぐると高速回転しながら退散して行った。猪は倒れたまま、ぴくりともしない。
 「死んだのか?」と猿が心配そうに覗き込むと、猪は急に起き上がった。そして、身振り手振りで何事かを語り始めた。

――以下、×××姫が通訳する。

 違います、違います。私は生きています。そして、猪ではなく豚であります。丸顔の少年、事情によって離れ離れになった、その丸顔を捜して旅をするピンクの豚でありまして。この山を、私が歩いておりましたところ、いきなり何者かが、背後から…。

――ここで、×××姫が、豚に問いかけた。

 「矢でも鉄砲でも持ってこい?」
 豚はぶるぶると首を振り、弓矢を構えるポーズと鉄砲を構えるポーズを何度か繰り返し、腕を組んで考えるポーズをして、頭上に“?”マークを浮かべた。
 「矢だか鉄砲だか分からない?」
 豚は、そうそう、それそれという身振りをしてから、後ろを向いて自分の尻を指差した。見ると、豚の尻にめり込んでいた透明な玉がぽとりと落ちた。
 ×××姫がその玉を拾い上げると、“矢”という文字が浮かび上がっていた。

 このキャラクターに心当たりのある方は、適当なBGMに乗ってダンスするピンクの豚を思い浮かべてお楽しみください。

 この様子を木陰から盗み見ている丸顔の少年がいた。それに気付いた×××姫が叫んだ。
 「おお、あそこにいるのは×××ではないか?」
 すると、ピンクの豚は頭上に“!”マークを浮かべてダンスを中断した。そして、丸顔の少年に向かって駆け出した。丸顔の少年は、はっとして逃げ始めた。ピンクの豚は丸顔の少年を追いかけて、飛びかかった。丸顔の少年は前のめりに転んで、ピンクの豚に押え込まれた。

 これは感動の再会なのか、それとも…。次回、「ピンクの豚の得意技・他一篇」に続く。

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