カテゴリ「ゲーム」の記事 (6)

 昔、むかし、ある国に、桃姫という姫君がおりました。殿様と奥方様は、まるで桃太郎が生まれたようだと喜んで、桃姫と名づけたそうです。

 桃姫が生まれたとき、三人の予言者がお城にやってきて、不吉な予言をしました。
 一人目は「十五になったとき、姫君は大猿に連れ去られるだろう」と言い、二人目は「十五になったとき、姫君は泡に包まれて海に沈むだろう」と言い、三人目は「十五になったとき、姫君は百年の眠りにつくだろう」と言いました。これを聞いた殿様は、この三人の予言者を牢屋に入れてしまいました。

 桃姫が十五になる前の晩、殿様の夢の中に一匹の亀が出てきて、こんなことを言いました。
 「昔、助けていただいた亀でございます。どうか今こそ御恩返しをさせてください。今日、あの海で最初に釣れたものを、桃姫様の身につけてください。そうすれば、必ずお守りします」

 目を覚ました殿様は、これは吉兆に違いないと思い、海へ行って釣りをしました。すると、大きな笊が釣れました。殿様は、この笊にとじ込められていた亀を海へ逃がしてやったことを思い出しました。

 お城に戻った殿様は、さっそく桃姫の背中にその笊をくくりつけました。すると、桃姫は後ろ向きに、ゆっくりと歩き始めました。驚いて止めようとしましたが、殿様は、なぜか桃姫には追い付けません。奥方様も家臣たちも、お城の中にいる人は誰もみな、なぜか桃姫には追い付けません。お城を出た桃姫は、海へと向かってゆっくりと後ろ歩きを続けました。町の人も海辺の人も、この国にいる人は誰もみな、なぜか桃姫には追い付けません。桃姫は、ゆっくりと後ろ向きに海に入っていきました。そして、泡に包まれて海の底へと沈んで行きました。

 殿様も奥方様も、城中の人たちも町や海辺の人たちも、桃姫が消えて行った海をみつめて嘆き悲しんでおりました。すると、海の中から桃姫が亀に乗って帰ってきました。桃姫は、竜宮城で百年の間ぐっすり眠っていたと言いました。そして、牢屋にいる三人の予言者に渡すようにと、乙姫様から玉手箱を預かってきたと言いました。

 そして、予言者たちが玉手箱をあけると、中から白い煙が出てきて、三人とも若返って十五年前の姿に戻ったということです。

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 長い冬の間に、アリたちが溜め込んだ食糧がとうとう底をついてしまった。巣の外へ出てみると、キリギリスの死体がみつかった。キリギリスのおかげで、アリたちは飢え死にせずにすんだ。

 ホトトギスが鳴いていると、アリがこう言った。
 「働きもせず鳴いているだけなんて、いい身分だね」
 すると、ホトトギスはこう答えた。
 「いい身分だなんて、とんでもない。鳴かないと信長に殺されてしまうのです」

 ナイチンゲールが鳴いていると、ホトトギスがこう言った。
 「あなたも信長に殺されないように鳴いているのですか?」
 するとナイチンゲールはこう答えた。
 「殺されるなんて、とんでもない。私は王様が死なないように鳴いているんです」

 グンタイアリが通過すると、その後には王様の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ナイチンゲールが鳴いていると、負傷兵がこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、早く治療してくれ」
 するとナイチンゲールは負傷兵の傷口にくちばしを突っ込んで、弾丸を取り出した。

 負傷兵が泣いていると、上官がこう言った。
 「これくらいの傷で泣くんじゃない」
 すると負傷兵は上官の立てた作戦に首を突っ込んで、ダメ出しをした。

 グンタイアリが通過すると、その後には負傷兵と上官の骨が残った。
 ナイチンゲールはどこかへ逃げたようだ。

 ホトトギスが鳴いていると、ウグイスがこう言った。
 「鳴いてばかりいないで、卵を温めろよ」

 ウグイスが平安京で鳴いていると、エイリアンがやって来た。

 ウグイス嬢が泣いていた。たぶん事情があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 ホトトギスを鳴かせてやろうと、山猿があれこれと挑んでいた。

 アリがナシにたかっていた。これってアリ、それともナシ?

 アリクイとアリジゴクが睨み合っていた。双方、何もできず、勝負にならない。

 アリがこう言った。
 「さあ、立ち上がってかかって来い」

 ミツバチが毎週泣いていた。脚が二本足りないのが、たぶん悲しかったのだろう。

 ハチミツをクローバーにかけて食べる。これってアリ、それともナシ?

 カレーをナシにつけて食べる。これってアリ、それともナン?

 アリクイがバクにこう尋ねた。
 「夢なんか食って、うまいのか?」
 するとバクがこう答えた。
 「頼むから、蟻を食ってる夢を見るのはもうやめてくれ」

 その夜、アリクイは夢の中でバグを食っていた。
 結局、虫じゃないかとバクは思った。

 シロアリは、クロアリから届いた手紙をうっかり食べてしまった。
 クロアリは、「何か用?」と訪ねて来たシロアリをうっかり食べてしまった。
 すると、グンタイアリが通過して、後には何も残らなかった。

 オウムが富士山麓で鳴いていると、機動隊がやって来た。

 ナイチンゲールが泣いている横で、負傷兵がこう言った。
 「ごめん」
 たぶん情事があったのだろうが、マイクは切っておいた方がいいと思う。

 どうやっても鳴かないホトトギスに、山猿が困り果てていた。そういう無理強いは、もうよした方がいいと思う。

 ナイチンゲールがぐったりしている横で、アリクイが泣いていた。
 「嘘つき」
 たぶん何か行き違いがあったのだろうが、これ以上詳しいことは、もう語らない方がいいと思う。

 作者が弱音を吐いた。
 「この形式でひねったストーリを書くのは、もうこのへんが限界っす」

 キリギリスが鳴いていると、マツムシとスズムシとクツワムシとウマオイがやって来て、セッションが始まった。演奏が終わると夜が明けていた。
 「また来年もやろうな」
 そう言い合って、彼らは去って行った。


※スケジュールの都合により、「地底の大王と底なしの穴」の続編「地底一族の陰謀」は、明日の18:30に公開します。

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 ノックの音がした。ドアを開けると、案内人が立っていた。
 「伯爵がお目覚めになりました」
 Jが出て行こうとすると、案内人は、眠り姫のいる方を手で示しながらこう言った。
 「あちらのお嬢様も御一緒においでいただくようにとの仰せです」

 伯爵の部屋に通された二人は、その部屋に漂う雰囲気に圧倒された。
 「ようこそ、おいでくださいました」
 出迎えた伯爵は恐ろしいほどに美しかった。二人が無言で立ち尽くしていると、伯爵は微笑んだ。その口に、鋭い犬歯がちらりと見えた。
 「どうぞ、こちらへ」
 眠り姫とJは、それぞれ召し使いが引いた椅子に腰をおろした。テーブルにはグラスや銀器類が整然と並んでいる。
 「そんなに緊張なさらずに、お楽にしてください」
 伯爵は召し使いに合図して、二人のグラスに酒を注がせた。

――そして伯爵は、次のように語り始めた。

 つい昨日のことのように思い出せるのですが、考えてみればずいぶん昔のことかもしれません。私の居城にしつこく匿名で書簡を送りつける迷惑な人物がいました。最初のうちは、私の生活について根掘り葉掘り質問する他愛もない内容でした。もちろん私は返事など書かずに放っておきましたが、次第に勝手に妄想を膨らませて根も葉もないことを詳しく書き綴って送ってくるようになりました。何月何日、どこそこで、伯爵が若い女性を襲って、首筋から血を吸っているところを目撃した、とか何とか。そこで私は、そのあと届いた書簡に「あなたは一体何者ですか」と書き付けて返送しました。すると、すぐに電報が届いて、その文面は、「私はストーカーだ」。

――伯爵は、ここで笑った(どうやらこれはアイリッシュ・ジョークだったようだ)が、不発に終わったとみて、真顔に戻って語り続けた。

 さて、それでは本題に入りましょうか。
 まずは、そちらのお嬢さん。何十年も眠って退屈しているのは分かりますけれども、他人の夢を覗き見るようなことはおやめになった方がよろしい。しかも、ここの村の娘さんたちを操ってニンフォマニアのような振る舞いをさせてまで、こそこそと私のことを探り回るとは、低劣極まりない。どこの国の王女だか知りませんが、恥を知りなさい。
 次に、測量師のふりをしているあなた。変な小細工をした地図と、オーブのまがい物をお出しなさい。このような子供だましで、時間稼ぎをするおつもりでしたか。
 それから、これを書いている、そこの浅墓な作者。前回の文中の「吸血鬼です」を「人間ではありません」に書き変えましたね。狼男かゾンビにでも変更してやろうと急に思い付いたようですが、あのような下賎な化け物に、この役がつとまるわけがありません。

――そのとき、伯爵の怒りに呼応するかのように城が大きく揺れ始めた。伯爵は揺れが小さくなるのを待ってから、語り続けた。

 いよいよ墜落が始まったようです。あのオーブが破壊された今となっては、もうどうすることもできません。そのようなわけで、はなはだ失礼かと思いますが、あなた方にはお引き取り願いたいと思います。私は、今しばらく、ここに残って、この城との別れを惜しむつもりです。お二人とも、どうか御無事で地上に戻られますように。

――そして、伯爵はグラスを掲げ、赤い液体を飲み干した。

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 さっきからどうも口数が少ないと思ったら、禁太郎たちは河原に座り込んで何事かに打ち興じている。

ヽ大法師「あいつら、何をやってるんだ?」
八房「さあ…」
ヽ大法師「花札でもやってるのか」
伏姫「手に手に鼻紙入れのようなものを持っていますが…」
ヽ大法師「おっ、何だか面白そうだな。俺にもやらせろ」
八房「おいっ。そんなものに手を出すと、大変なことになるぞ!」

ピンクの豚が踊りを踊った!


 そのようなわけで、禁太郎たちの物語はしばらく進みそうもない。念のために言っておくが、今回手抜きをしたように見えるのは、ネタ切れになったからだ。作者が鼻紙入れのようなものにうつつを抜かしているなどというようなことは断じてない。第一、鼻紙入れのようなものなど持っていないのだ。もしも、鼻紙入れのようなものを持っていたら今ごろどんなことになっていたか…。想像するだに恐ろしい。

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 サンダルを履いた猿が叫んだ。
 「また、このエンディングかよ!」
 猿は魔法の鼻紙入れを畳んで放り出した。

 全てはゲームの中(*1)という展開を抜け抜けとパクってしまえるところが、この残念ミステリの強みである。

(*1)ただし、原典が“It's all in the game”だけだとは限らない。

 ヽ大法師が素早く猿の鼻紙入れを拾った。
 「よし、俺の番だ」
 鼻紙入れが魔法のオープニング曲を奏で始めると、八房が胴長短足の犬刑事に変身した。そして、こう言った。
 「まだまだやめませんよ」

 猿の家では通夜が始まっていた。犬刑事が隣に座った検死官に小声で言う。
 「あたしゃ初めてだよ葬式の前夜祭というのは…。おやつっていうんだっけ?」
 すると、検死官の姿をした熊が小声で突っ込んだ。
 「おやつじゃなくてお通夜だよ」
 犬刑事はガサゴソと音を立てて、ポケットから検死報告書を取り出した。
 「何べん読んでも、さっぱりだよ」
 「ほら、ここん所をよく見ろよ」
 「“Cancer”って何?」
 「あんたに分かりやすいように英語で書いたんだけどな…」
 「あたしゃ犬ですからね。読んで分かるのは動物と食べ物の名前ぐらいなんだ」
 「“Cancer”っていうのは“Crab”のことだよ」
 「なんだ、蟹か…。でも、なんでここに蟹が出てくるの?」
 「“Cancer”には、もう一つ意味がある。“癌”だ」
 「そうだったの? じゃ、“Liver”に“Cancer”があるってことは…」
 「肝癌だ。いつ死んでもおかしくない状態だった」
 「それじゃ、病死の線もあるってこと?」
 「いや、それはない。血液中からは蜂の毒は検出されなかった。つまり、肝臓の正常な部分がちゃんと分解していたということだ」
 「でも、付箋には“蜂の毒でショック死”とか書いてただろ?」
 「傷口に蜂の毒が残っていたから、蜂に刺されたのは間違いない。それで、その抗体がないかと調べたら、大量に見つかった。ということは、この猿は以前にも蜂に刺されたことがある筈だ。つまり、アレルギーの発作で死に致ったと考えるのが妥当な線なんだよ」
 「ふうん…。そいつは知らなかったな」

 ――さて、どうする?
 ヽ大法師は、表示された選択肢の中から、迷わず「蟹を自白させる」を選んだ。(*2)
 すると、またもや残念なエンディングが始まり、ヽ大法師は魔法の鼻紙入れを放り出した。犬刑事が八房の姿に戻って吠えた。
 「誰か、早くクリアしてくれよ!」

(*2)これは、「証拠よりも自白を重視する」という説に対するあてこすりだと思われる。


〔作者より〕
タイトルの(禁太郎篇)を(ヽ大法師篇)に修正しました。(2009/09/02)

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 むかし、むかし、あるところに、桃太郎のおばあさんが、ひとりぼっちですんでいました。

 桃太郎は「また鬼退治に行く」と言って電鉄に乗って旅立ったきり一度も帰って来ないし、おじいさんも、隣りのきびだんご屋の強欲じいさんと商標権を巡って争っているうちにポックリと旅立ってしまいました。

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