カテゴリ「映画」の記事 (4)

 「今日からあんたが乗せてくれよ」と熊が言うと、馬は「別に構いませんよ」と快諾した。
 そんなわけで、禁太郎と河童の姫は馬の背に仲良くまたがっている。ぽっくりぽっくり。
 熊には猿が乗っている。のっしのっし。犬神の背には×××姫。すたすたすた。

 道中、河童の姫がいろんな話をした。自分が姫と呼ばれているのは大金持ちの娘として生まれたせいであり、河童の社会は王制ではないこと。河童は衣服を着ないこと。河童の雌が気に入った雄を追いかけて抱きつくのは普通だということ。などなど。
 ぽっくりぽっくり。のっしのっし。すたすたすた。

 猿は、河童の次になまかになるのは、やっぱり猪だろうなと予想していた。しかし、あの鹿の話から、あの勇敢な姫の話につながらなかったことが、どうも腑に落ちない。伏線が何本も張ってあったんだけどな。今こうして俺が考えているということは、このネタは没になったということか。残念だなあ。
 ぽっくりぽっくり。のっしのっし。すたすたすた。

 夜になった。

 ぐーぐーぐー。すやすやすや。むにゃむにゃむにゃ。
 もぞもぞもぞ。はあはあはあ。あっあっあっ。
 こそこそこそ。ちくちくちく。あっ、いたいっ。

 夜が明けた。禁太郎は目を覚ました。きれいに畳んだジーンズはあったが、腹掛けが見当たらない。河童の姫は静かな寝息を立てている。ジーンズをはいて、あたりを捜していると、朝もやの中から×××姫が現われた。禁太郎の腹掛けを持っている。禁太郎は、×××姫が黙って右手で差し出した腹掛けを受け取った。
 綻びたポケットが、不器用に繕ってあった。
 「直してくれたんだね。ありがとう」
 そう禁太郎が言うと、×××姫は右手を差し出した。
 「そういえば、禁太郎飴をまだあげていなかったよね」
 ×××姫は何度も頷いた。
 「でも、困ったことに、何が好物なのか全然見当もつかないんだよ…」
 すると×××姫は、こう言った。
 「××××××!」
 「あっ、そうか。その手があったか」

 禁太郎は、腹掛けから禁太郎飴を取り出した。
 「ほっぺたのところには、××××××が入ってるよ」
 ×××姫は喜んで、禁太郎飴を食べ始めた。よほど××××××が好きなのだろう、夢中になって、ずっと背後に隠していた左手を出している。その指には包帯が不器用に巻いてあった。
 ×××姫が繕ってくれた腹掛けを見ながら、今までよく分かんない人だと思ってたけど、いいとこあるんだな、と思っていると、×××姫が腹掛けの下の方を指差して、厳かにこう言った。
 「禁×袋!」
 やっぱりよく分かんないな、と禁太郎は思った。


“他一篇”は、18:30頃から、適当なBGMを思い浮かべながらお読みいただくと、気分が出ます。


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 禁太郎たちが林の中でキノコ狩りをしていると、突然、一頭の獣が狂ったように駆け出してきた。「猪だ!」と猿が叫び、「逃げろ!」と馬が嘶く。禁太郎たちは一斉に逃げ始めた。

 このシチュエーションに心当たりのある方は、一連の凝った映像を思い浮かべてお楽しみください。適当なBGMを付け加えると効果的です。

 その狂暴な猪は倒れて、もがき苦しんでいる。気味の悪いペラペラしたものが猪に纏わりつき、ぐるぐると高速回転している。
 「何かに取り憑かれているようだな」と熊が言う。

 この展開に心当たりのある方は、まだ何も思い浮かべず、もう少しお読みください。

 それを聞いた×××姫が幣を手にして歩み出て、例の〔お祓い〕を始めた。すると、猪に纏わりついていた気味の悪いペラペラしたものは、ぐるぐると高速回転しながら退散して行った。猪は倒れたまま、ぴくりともしない。
 「死んだのか?」と猿が心配そうに覗き込むと、猪は急に起き上がった。そして、身振り手振りで何事かを語り始めた。

――以下、×××姫が通訳する。

 違います、違います。私は生きています。そして、猪ではなく豚であります。丸顔の少年、事情によって離れ離れになった、その丸顔を捜して旅をするピンクの豚でありまして。この山を、私が歩いておりましたところ、いきなり何者かが、背後から…。

――ここで、×××姫が、豚に問いかけた。

 「矢でも鉄砲でも持ってこい?」
 豚はぶるぶると首を振り、弓矢を構えるポーズと鉄砲を構えるポーズを何度か繰り返し、腕を組んで考えるポーズをして、頭上に“?”マークを浮かべた。
 「矢だか鉄砲だか分からない?」
 豚は、そうそう、それそれという身振りをしてから、後ろを向いて自分の尻を指差した。見ると、豚の尻にめり込んでいた透明な玉がぽとりと落ちた。
 ×××姫がその玉を拾い上げると、“矢”という文字が浮かび上がっていた。

 このキャラクターに心当たりのある方は、適当なBGMに乗ってダンスするピンクの豚を思い浮かべてお楽しみください。

 この様子を木陰から盗み見ている丸顔の少年がいた。それに気付いた×××姫が叫んだ。
 「おお、あそこにいるのは×××ではないか?」
 すると、ピンクの豚は頭上に“!”マークを浮かべてダンスを中断した。そして、丸顔の少年に向かって駆け出した。丸顔の少年は、はっとして逃げ始めた。ピンクの豚は丸顔の少年を追いかけて、飛びかかった。丸顔の少年は前のめりに転んで、ピンクの豚に押え込まれた。

 これは感動の再会なのか、それとも…。次回、「ピンクの豚の得意技・他一篇」に続く。

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 Jと助手たちは根気よく測量と地図作りを続けたが、村の中央にそびえる山の中腹から上の部分だけが空白のまま残ってしまった。もちろん、その山の頂きに城があることは、わざわざ地図など作らなくても目で見れば分かることだった。

 城へと続くように見える道は、いく筋もあったが、実際にその道を歩いてみると、途中でぷっつりと途切れていたり、いつの間にか城から遠ざかる別の道に出てしまったりする。その道を引き返すと、行き止まりになったり、また別の道につながっていたりするのだった。つまり、何度やっても出鱈目な結果になってしまうのだが、決して城にたどり着くことはなかった。

 あるとき、仕事の依頼主からの(曖昧な表現であるため、公文書とも私文書とも解釈できる)手紙を届けに来た使者に(その後、城に帰るものと期待して)ついて行ったら、その使者の自宅に連れて行かれたことがあったが、その時に知り合った使者の姉が後日教えてくれた話によると、城の人がどの道から出てくるのかは予測不能だということだった。

 Jは、城から出てくる人がいるのだから、根気よく続ければ、いつかは城へと続く道が開ける筈だと考えていたが、一週間ほど試してみて(一度も成功しなかったため)、自分たちは城に拒まれているのだということを、ようやく悟った。

 Jは、(もう何十回めだか分からなかったが)唐突に断たれている道に出くわしたときに、ついに意を決した。二人の助手をポケットに入れたかと思うと、走り始めた。助手たちが「その先には道がないよ」と叫んだが、Jは落ち着き払ってこう答えた。
 「道だと? そんなものは必要ない」
 そして、Jは空へと舞い上がった。

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放映前のシナリオ(想像)

老作家: えっ、じゃあ「犬をけしかける少女」は? 映画にもなったんだけど…。

土曜日の原作者(偽文士日碌

原作者: 〔…〕何しろ七瀬のお手伝いに行った先が作家の家で、この作家先生がぼろくそに書かれていた。「犬をけしかける少女」というのを書いて没になるなど、ひどいものだ。「先生のことではありません」と抗弁してきたものの、作家の権威を守るのは長老の義務である。撮り直しと決ったものの、どうしていいかわからなくなったらしいので「作家」を「脚本家」にすればいいと入れ知恵して、〔…〕

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