カテゴリ「童話」の記事 (27)

 昔、昔、ある国に、新しい服が大好きで、馬鹿な王女さまがいました。

(中略)

 ある日、世にも不思議な布地を仕入れたと街で評判になっている仕立て屋が、お城にやって来ました。

(中略)

 さて、新しいドレスができたので、王女さまはよろこんで、さっそく試着しました。ところが、馬鹿な王女さまにはドレスが見えません。

(中略)

 とうとう、パレードをする日になってしまいました。王女さまは、屋根のない馬車のお立ち台にのって、人びとが集まった街道を、隣の国まで、はだかで行進しなければなりません。

(中略)

 どうやら、人びとの目には王女さまのドレスが見えているようです。あの仕立て屋の不思議な布地の噂は本当だったのです。

(中略)

 ところで、隣の国に、ハンスという馬鹿な青年がいました。なぜか自分は王子だと思い込んでいて、白タイツ姿で日がな一日街中をうろついているのです。

(中略)

 いつものようにハンスが街を巡回していると、隣の国の王女さまのパレードがやって来ました。

(中略)

 「あーっ、王女さまは、すっぽんぽんの丸裸だー!」
 ハンスがそう叫ぶと、集まっていた男どもは一斉に自分の頭をぶん殴り始めました。

 一方、その声を聞いてはっとした王女さまは、お立ち台から素早く飛び降りて、ふらふらしながら群がってくる馬鹿な男どもをかきわけて、ハンスの元へと駆け寄りました。
 「あなたは、ハンス王子!」
 王女さまの一声で、馬鹿のハンスにかかっていた呪いがとけて、元の凛々しいハンス王子に戻りました。こうして再会をはたした二人は、しっかりと抱き合います。

 「ハンス王子! 会いたかった!」
 「僕もだよ!」と、ハンス王子が思わずモッコリすると、
 「ハンスの馬鹿!」と、王女さまは思いっきりハンス王子を張り倒しました。

 敷石に頭をぶつけたハンスが立ち上がると、その姿はまさに白馬に乗った王子さま。いつの間にか人びとが遠巻きにして固唾をのんで見守っています。

 しかし、ハンスは再び馬鹿になっていたので、その場で王女さまを、押した!押した!


〔付記〕うろ覚えの「はだかの王女さま」を改稿・改題しました。

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 昔、昔、ある森に、シンドラとサンドラという双子の魔女がいました。

 ある夜、シンドラが金貨を数えていると、魔法の鏡から、怪鳥の鳴き声のような笑い声が聞こえてきました。

 「何や、こんな時間に…」と、シンドラが鏡を見ると、そこにはサンドラの顔が映っています。
 「あんたの呪い、また解けてもうたで」と、鏡の中からサンドラの愉快そうな声が返ってきました。
 「何やて?」
 「あのアホにした何とかいう王子、元に戻りよった」
 「えっ? アホ王子ゆうたらハンスのことか?」
 「そやそや」と、サンドラは、ハンス王子の映像を魔法の鏡に送ってきました。
 「あーっ。こいつ、いつの間に。下半身丸出しやないか!」
 「そやから白馬を白タイツなんかに変えるなっちゅうたんや」
 「なんや、この裸の女は!」
 「隣の国のお姫さまや。ははー、おまえにも裸に見えるか?」
 「よー見えとるで。素っ裸やん」
 「そら、そうやろな。わしが作ったアホには見えん服、着とるんや」
 「何やと!」
 「見てみい、張り倒されとるで!」
 「あー、立ち上がった!」
 「押したで!」
 「また押した!」
 「押すだけかいな」
 「アホやな、こいつ」
 「アホや」
 「もともとアホやったんかいな」
 「そやな」

 鏡の中のサンドラの声が消えると、シンドラはアホな人間どもから魔法で取り出した金貨をもう一度数え直しにかかりました。一方、サンドラは、今日の自分の活躍を魔法の鏡に映し出させて、朝までずっと見入っていました。

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 ある日、一休さんが歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 しかし一休さんは、いつものように橋の真ん中を歩いて渡った。幸い、へべれけだったので穴には落ちずに済んだ。


 別のある日、一休さんが歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 一休さんは素面だったが、立札をよく読まずに橋の真ん中を渡った。どぼ~ん。


 ある日、肉をくわえた犬が歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 しかし字が読めない犬は、立札に小便をかけてから橋を渡った。穴に気付いて覗き込むと、肉をくわえた犬と目が合った。その犬の肉を奪ってやろうと一声吠えると、くわえていた肉が落ちて行った。それを横から飛び出した一休さんがパクリ。


 ある日、スナフキンが歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 スナフキンは立札をバラバラにして、その木切れで穴を塞いだ。そして、手すりに腰かけると釣りを始めた。

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 昔、昔、あるところに、お爺さんと、お婆さんが住んでいました。

 お爺さんは、ゴルフ場へ芝刈りに行き、お婆さんは、うちで洗濯機を回しました。

 お爺さんが芝を刈っていると、穴に首を突っ込んで抜けなくなり、パタパタともがいている鶴がいました。かわいそうに思ったお爺さんは、鶴を助けてやりました。すると鶴は、嬉しそうに飛んで行きました。

 お婆さんが洗濯をしていると、洗濯機の中から変な音が聞こえてきました。ドンブラコ、グルングルングルン。ドンブラコ、ゴロンゴロンゴロン。フタを開けてみると、大きな桃がぐるぐる回っていました。お婆さんはびっくりして洗濯機を止め、大きな桃を拾いあげました。お婆さんは大きな桃を冷蔵庫に入れてから、もういちど洗濯機を回しました。

 お爺さんが芝を刈っていると、穴に首を突っ込んで抜けなくなり、バタバタともがいている亀がいました。かわいそうに思ったお爺さんは、亀を助けてやりました。すると亀は、嬉しそうにゆっくりと歩いて行きました。

 お婆さんが洗濯をしていると、洗濯機の中から変な音が聞こえてきました。ドンブラコ、クウェクウェクウェ。ドンブラコ、クワックワックワッ。フタを開けてみると、変なアヒルがぐるぐる回っていました。お婆さんはびっくりして洗濯機を止め、変なアヒルを抱えあげました。冷蔵庫はいっぱいだったので、仕方なく変なアヒルを逃がしてやりました。すると変なアヒルは、嬉しそうにワルツを踊りながらヨタヨタと歩いて行きました。

 仕事を終えたお爺さんが帰ってくると、お婆さんが冷蔵庫から大きな桃を取り出しました。お爺さんとお婆さんは、その大きな桃を二人で分け合って仲良く食べました。すると、お爺さんとお婆さんは、すっかり若返ったような気分になりました。

(中略)

 トントントンと戸をたたく音でお爺さんが目を覚ましました。こんな夜ふけに誰だろうと戸を開けてみると、そこには若くて美しい娘が立っていました。「今日、ゴルフ場で…」と言いかけた娘の口を、お爺さんは慌ててふさぎました。振り返ると、お婆さんは疲れてぐっすり眠っているようです。お爺さんは静かに娘を招き入れ、自分の部屋に連れ込みました。

(中略)

 トントントンと戸をたたく音でお婆さんが目を覚ましました。こんな夜ふけに誰だろうと戸を開けてみると、そこには若くて美形の男が立っていました。「今日、ゴルフ場で…」と言いかけた男の口を、お婆さんは慌ててふさぎました。振り返ると、お爺さんの姿がありません。お婆さんは静かに男を招き入れ、自分の部屋に連れ込みました。

(中略)

 お爺さんと若い娘は、困った状態になってしまいました。この非日常的なシチュエーションに興奮しすぎたために招いてしまったことなのですが、ここまで注意深く読んでこられた大人の読者の方々には、これ以上語らなくても、だいたい想像はつきますよね。

 お婆さんと若い男も、困った状態になってしまいました。以下同文。

 するとそこへ、一列につながなった人たちが、ぞろぞろとやって来ました。お婆さんが逃がした変なアヒルは、成長して金のガチョウになっていたのです。

 さあ、みんなで掛け声をかけましょう。

 うんとこしょ、どっこいしょ。
 うんとこしょ、どっこいしょ。

 うんとこしょ、どっこいしょ。
 うんとこしょ、どっこいしょ。

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 むかし、ある村に、貧しい樵の夫婦がいました。この夫婦には、こどもが二人いました。男の子の名はヘンゼル、女の子の名はグレーテルといいました。ほかにもきょうだいがいたのですが、みんな大きくなる前に神に召されたという話です。

 ある晩、ヘンゼルが眠れずにいると、とても恐ろしい話し声が聞こえてきました。両親が、また子供たちを森に置き去りにしようと相談していたのです。賢いヘンゼルは、夜が明ける前に、すっかり準備を整えました。気立ての良いグレーテルは、何も知らずに穏やかな寝息を立てています。

 朝になると、父親が、今日はみんなで森にピクニックに行こうと言いだして、母親が、お弁当を作りはじめました。ヘンゼルは喜ぶふりをしましたが、グレーテルは本当に喜んでいました。

(中略)

 ヘンゼルとグレーテルが森の奥で昼寝をしている間に、両親はこっそり家に帰ってしまいました。しばらくして目を覚ましたヘンゼルは、とても落ち着いていました。来るときにポケットの中の小石を落として目印にしておいたのです。ところが、さがしても、さがしても、小石がひとつも見つかりません。ヘンゼルは大声で叫びました。

 「なぜなんだーっ!」

 その声に驚いて、グレーテルが目を覚ましました。グレーテルは目をこすりながら、「こびとさんたちがびっくりして逃げちゃった」と言っています。どうやら、夢を見ていたようです。ヘンゼルが、ゆうべ両親がひそひそと話しているのを聞いたことと、今日ここまで来る道にこっそり小石を落としておいたことを話すと、グレーテルが答えました。

 「その小石だったら、こびとさんたちが拾ってたよ」

 死んだはずのきょうだいは、森にすむ七人のこびとたちになっていたのです。こうして、ヘンゼルとグレーテルの、こびとたちを捜しもとめる旅が始まりました。

 しばらく歩くと、心のやさしいグレーテルは、あの家で病気でねているおばあさんがいるから、お見舞いに行きたいと言いだしました。ヘンゼルは一緒に行こうと言いましたが、グレーテルはだいじょうぶだからと言って、一人でとことこと歩いて行って、その家に入りました。

 いくら待ってもグレーテルが出て来ないので、心配になったヘンゼルがその家に入ってみました。すると、ベットの上に狼が寝ていて、その大きなおなかの中から、何やら声が聞こえます。ヘンゼルが狼のおなかをハサミで切ると、中から六匹の子ヤギがぞろぞろと出て来ました。家の中をすみずみまで捜しましたが、時計の中にもう一匹の子ヤギがかくれているのがみつかっただけで、とうとうグレーテルは見つかりませんでした。仕方なく、ポケットの中に残っていた小石を狼のおなかに詰め込んで、ヘンゼルはその家を後にしました。

 しばらく歩くと、遠くにお菓子でできた家が見えてきました。よく目をこらすと、その家の扉を開けて女の子が入って行くのが見えました。「グレーテルだ!」と思ったヘンゼルは駆け出しました。

 ヘンゼルがお菓子の家に駆け込むと、女の子がびっくりして振り向きました。しかし、その顔を見て、ヘンゼルはがっかりしました。グレーテルではありません。女の子の名前をたずねると、「ミチルです」といいました。お兄さんのチルチルと一緒に青い鳥を捜していて、はぐれてしまったのだという話です。

 ヘンゼルとミチルは、とてもおなかがへっていたので、二人でお菓子を食べました。しばらくすると、誰かがやってきました。子供をつかまえて食べるという恐ろしい魔女が帰って来たのかもしれません。二人は慌てて地下室に逃げ込みました。

 真っ暗な部屋の中で、ヘンゼルとミチルは魔女に見つからないようにしっかりと身を寄せ合っていました。二人はどきどきして何だか妙な気分になってきました。さっき食べた砂糖菓子のせいでしょうか。そういえば、そのお菓子は鳥の形をしていました。

 しかし、扉を開けて入ってきたのは、チルチルとグレーテルでした。チルチルとグレーテルは、とてもおなかがへっていたので、二人でお菓子を食べました。しばらくすると、誰かがやってきました。子供をつかまえて食べるという恐ろしい魔女が帰って来たのかもしれません。二人は慌てて地下室に逃げ込みました。

 真っ暗な部屋の中で、チルチルとグレーテルは魔女に見つからないようにしっかりと身を寄せ合っていました。二人はどきどきして何だか妙な気分になってきました。さっき食べた砂糖菓子のせいでしょうか。そういえば、そのお菓子は青い色をしていました。

 しかし、扉を開けて入ってきたのは、親指小僧と赤頭巾でした。親指小僧と赤頭巾は、とてもおなかがへっていたので、二人でお菓子を食べました。しばらくすると、誰かがやってきました。子供をつかまえて食べるという恐ろしい魔女が帰って来たのかもしれません。二人は慌てて地下室に逃げ込みました。

 真っ暗な部屋の中で、親指小僧と赤頭巾は魔女に見つからないようにしっかりと身を寄せ合っていました。二人はどきどきして何だか妙な気分になってきました。さっき食べた砂糖菓子のせいでしょうか。そういえば、そのお菓子は青い色をしていて鳥の形をしていました。

 扉を開けて入ってきたのは、今度こそ恐ろしい魔女でした。魔女は、部屋の中の匂いをくんくん嗅いで、こどもたちがお菓子を食べ散らかしたことを知りました。「さてさて、こどもたちは、どこに隠れたのかな?」と、魔女は耳をすましました。どうやら地下室にかくれているようです。

 そのとき地下室では、こどもたちが、魔女が帰って来たことにも気付かずに、それぞれの幸せを追い求めるのに夢中になっていました。

 そのことに気付いた魔女は、大声でこう一喝しました。

 「どいつもこいつも体ばかり成長して、おつむは空っぽのままじゃないか! そんなところで大人のまねごとなんかしてるんじゃないよ!」

 すると、地下室から聞こえていた物音がぴたりとやみました。

 こどもたちの返事を、魔女は待っています。

 「…………」

 しかし、みんなは怖くてブルブルふるえているだけで、何も返せずにいるようです。魔女は一段と厳しい表情になり、地下室に向かって、こう叫びました。

 「あかん、あかん。『あんたがそれを言うな!』やろ。もういっぺん最初からやり直しや!」

 こうして、恐ろしい魔女の、地獄のような特訓が始まりました。

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 昔、昔、ある国に、とっても小さな女の子がいました。お姉さんたちや母親には「親指姫」と呼ばれて、たいそう可愛がられていました。

 ある日、お姉さんたちと母親が、お城の舞踏会に出かけることになりました。でも、小さな親指姫だけは、お留守番です。

 「ああ、わたしも舞踏会に行きたいなあ」
 そんなことを思いながら、東の窓に座ってお月様をながめていると、魔法使いのお婆さんが現われました。
 「そんなに行きたいかい? だったら魔法で連れて行ってあげよう」
 「ほんとうに? でも、着ていく服がありません」
 「だったら魔法で、ほれ、この通り」
 魔法使いのお婆さんが、魔法の杖を一振りすると、きれいなドレスが現われました。
 「まあ、すてき」
 うれしくなった親指姫は、新しいドレスに着替えようと、着ている服を全部脱いでしまいました。
 「でも、このドレスは、わたしには大きすぎます」
 「だったら魔法で、ほれ、この通り」
 親指姫は、みるみる大きくなって、ドレスにぴったりのサイズになりました。
 「ありがとう! お婆さん」
 親指姫は、裸のままでお婆さんに飛びついて大喜び。
 「ほらほら、はやく着なさい。このごろは裸が出るだけで過剰に反応する人たちがいるからね…」
 「はーい」
 親指姫は、素直にドレスを身にまといました。
 「それでは、行ってきまーす」
 そのまま駆け出した親指姫を、お婆さんが呼び止めます。
 「おやおや、お城まで走って行くつもりかい?」

(中略)

 「このうちには、カボチャがないのかい?」
 お婆さんはちょっと困っていました。
 「ネズミさんはいっぱいいました」
 親指姫は、ネズミを6匹もつかまえてきました。
 「何か野菜はないのかい?」
 親指姫は、何だか変な野菜のようなものを掘って来ました。
 「何だいこれは?」
 「裏の薮に生えてました」
 「まあ、なんとかやってみよう」
 そう言うと、お婆さんは魔法の杖を振りました。すると、変な野菜がスポーツカーのような馬車になりました。魔法の杖をもう一振りすると、ネズミたちは真っ白い馬になりました。
 「さあ、これで6頭立ての馬車ができた」
 さっそく馬車に乗り込む親指姫に、お婆さんは言いました。
 「いいかい、よくお聞き。この魔法は、夜の半分の間しか効かないのだよ。あのお月様が南の空に上ってしまう頃には、みんな元の姿に戻ってしまうから、その前に必ず帰ってくるんですよ」
 「はーい。わかりました」
 「では、気を付けて行っておいで」
 「行ってきまーす」
 魔法の馬車は、お城を目指して猛スピードで突っ走りました。

(中略)

 親指姫は王子様と踊っていました。こんなに胸がどきどきするのは初めてです。すっかり夢中になって、時間が経つのも忘れていました。
 王子様も親指姫のことがすっかり気に入っていました。でも、この娘はなぜ裸足なんだろう? 王子様が、ふとそんなことを思ったとき、時計の鐘が十二時を打ち始めました。

 すると、親指姫のドレスがいきなりパッと消えました。
 「はっ、はっ、裸?!」
 さっきまでニコニコしていた王子様は、額に青筋を立てて怒り始めました。王子様は、最近、交易をはじめた光の国や大人の国との関係悪化を気にして、とても神経質になっているのです。
 親指姫は、王子様の手を振りほどいて、その場から逃げ出しました。
 「その娘をつかまえろ!」
 そう王子様は叫びましたが、その場の誰もが親指姫の姿を見失ってしまいました。魔法が解けて、元の小さな親指姫に戻っていたからです。

(中略)

 お城から駆け出した親指姫は、急いで馬車に乗り込みました。どうにか間に合ったようです。魔法の馬車は親指姫のうちを目指して猛スピードで突っ走ります。

 しかし、走っているうちに、とうとう魔法が解けてしまいました。まず、スポーツカーのような馬車が元の変な野菜に戻ります。すると、びっくりした6頭の馬たちは変な野菜を思いっきり蹴っ飛ばしました。そして、6頭の馬たちも元の6匹のネズミに戻りました。

 親指姫は、ロケットのような形をした変な野菜に閉じ込められたまま、空高く舞い上がって、お月様のまわりをぐるりと一周してから、遠い、遠い、シナの向こうの島国まで飛んで行ったということです。

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 昔、昔、ある森に、七人の小人が住んでいました。

 ある日、小人たちが仕事から帰ってくると、家の前に裸の娘が倒れていました。
 「誰だろう?」「きれいな人だな」「真っ白だね」「死んでるのかな?」「眠ってるんだよ」「寝たふりしてるのかも」「よーし、くすぐっちゃえ」
 小人たちは一斉に、裸の娘の体のあちこちを、こちょこちょとくすぐりました。
 「起きないなあ」「何も感じないのかな」「雪のように冷たいね」「やっぱり、死んでるんじゃないかな」「ぐっすり眠ってるんだよ」「悪い人に睡眠薬を飲まされたのかも」「よーし、もう一回やっちゃえ」
 小人たちは一斉に、裸の娘の体のあちこちを、

 ――ここで、シャハリヤール王が、いきなり話を遮った。「ああ、つまらん。どうせまた白馬に乗った馬鹿な王子が現われて、めでたしめでたしというやつだろう。こんな見え見えの話はもう沢山だ。もっと驚嘆の限り驚嘆するような話を聞かせてくれ!」
 すると、シャハラザードは、次のように語り始めた。

白雪姫と三匹の子豚

 ――シャハラザードが口を開く前に、シャハリヤール王が再び遮った。「もっと真面目にやれ!」
 すると、シャハラザードは、次のように語り始めた。

白雪姫と七人の恋人

 ――シャハラザードが口を開く前に、シャハリヤール王がまたまた遮った。「首を刎ねられたいのか!」
 すると、シャハラザードは、次のように語り始めた。

白雪姫と四十人の盗賊

 おお、幸多き王様よ、わたくしの聞き及びましたところでは、

 ――ここまで話した時、シャハラザードは暁の光が射すのを見て、慎ましく口を噤んだ。

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 昔、昔、ある国に、四十人の盗賊がいました。

 ある日、盗賊のお頭が突然こんなことを言いだしました。「今回は、白雪姫に出てくる魔法の鏡をいただいてくるダベェ~!」
 すると、三人の手下が(中略)、変なメカに乗って発進しました。

 「えー。何ですって? 四十人もいないって? いますよ、ホラ。残りの三十六人は、こんなふうになってるのよー」と、手下の一人の出っ歯の男が言いました。
 「いつものインチキでまんねん」と、もう一人のがっしりした体格の男が言うと、女ボスが、「お前たち、何をごちゃごちゃ言ってるのさー。さっさと白雪姫を誘拐してくるんだよー」

 白雪姫が、いつものように七人の小人の家で留守番をしていると、「リンゴはいらんかねー」という声が聞こえてきました。
 扉を開けると、お婆さんがリンゴの入ったかごを提げて売り歩いています。
 「おばあさん、リンゴを一つくださいな」と、白雪姫が声をかけると、出っ歯のお婆さんが振り向いて、「あらまあ、本当に不用心な子ねえ」

 しばらく後、小人たちが家に帰ってくると、白雪姫の姿がありません。床には一口かじったリンゴが落ちていて、テーブルの上には一枚の紙きれがありました。

白雪姫はあずかったわよー。返して
ほしかったら、魔法の鏡を持って、
岩山の秘密の隠れ家まで来てねー。
          四十人の盗賊より

 これを読んで、眼鏡をかけた鼻下鬚の小人が、こう言いました。
 「諸君。白雪姫が誘拐された。ただちに出動!」
 「ラジャー!」
 五人の若い小人が、五種類の小鳥に変身しました。

 この様子を魔法の鏡で見ていた継母は、意地悪そうな笑みを浮かべて、こう言いました。
 「誰が白雪姫なんかを助けに行ったりするもんですか」
 そして、鏡に向かって、こう言いました。
 「鏡よ、鏡。世界で一番まぬけな泥棒は誰だい?」
 すると、鏡は、こう答えました。
 「それは、白雪姫を誘拐して岩山の洞窟に閉じ込めた三人組の泥棒です」
 窓の外で、五羽の小鳥が飛び立つ音がしました。

 「一体どうなってるんだい? 誰も魔法の鏡を持って来ないじゃないか!」
 「どうしたんでしょうね~」
 「ホンマやなー」

 岩山の洞窟に閉じ込められている白雪姫が目を覚ましました。
 「ここは、どこかしら?」
 白雪姫は起き上がってあたりを見回しました。どこもかしこも真っ暗でしたが、遠くの方に一筋の光が見えました。
 「あれは、何かしら?」
 立ち上がって、光の方へ歩き始めると、何かが足にあたりました。
 「これは、何かしら?」
 拾い上げると、何だか壷のような形をしていました。それを抱えて、白雪姫は光に向かって歩き続けます。

 「お前たち、いつまでもボケーッと待ってないで、何とかおしよ!」
 「アラホラサッサー!」

 白雪姫は、やっと光の当たっている場所にたどり着きました。洞窟の天井に小さな穴があいていて、そこから外の光が射し込んでいるのでした。
 「あんなに高いところに、どうやって上ったらいいかしら…」
 すると、その穴から、五羽の小鳥が飛び込んできました。
 「まあ、小鳥さんたち。わたしを助けに来てくれたのね!」
 小鳥たちは嬉しそうにさえずって、白雪姫のまわりを飛び回りました。
 「でも、どうやったら、ここから出られるのかしら」
 白雪姫がそう言うと、小鳥たちは白雪姫の目の前に集まって、ぐるぐると回転し始めました。そしてどんどん勢いよく回ります。すると、つむじ風が起きて、飛び散った小さな羽が、白雪姫の鼻に入りました。白雪姫がくしゃみをすると、持っていた不思議な壷がぐらぐらと踊りはじめました。

 突然現われた変なデザインの巨大なメカが、白雪姫の継母のいるお城を壊して、魔法の鏡を奪って行きました。すると、継母はハッとしてこう言いました。
 「ああ、わたしは何をやっていたのでしょう! 世界で一番大切な白雪姫がさらわれたというのに…」
 継母は、これまでずっと魔法の鏡に取り憑かれていたのです。

 すると、そこへ魔法の絨毯に乗った白雪姫が帰って来ました。
 元に戻った優しい継母と白雪姫は抱き合って喜び合いました。五羽の小鳥たちと、メタボな体形の魔王も、みんな一緒に大喜びです。

 その頃、三人の盗賊は、魔法の鏡の前で…。
 「開け、ゴマ! おかしいな、何も映りませんよー」「ほなら、開け、シロゴマ!」「白雪姫だけに白ゴマねー」「何やってるんだい、こっちにお貸しよ。開け、ウインドウ! あれ? 違うのかい?」「変ですねー」「おや? ここんとこにリンゴのマークがありまっせ」「なるほどー。白雪姫だけにリンゴだったのねー」「それじゃ、開け、アップル!」「違いますよ、開け、リンゴ!」「ほなら、開け、ドクリンゴ!」「お前、今、何て言った? あたしゃ何だかイヤーな予感がするよ…」

 すると、魔法の鏡の中から、盗賊のお頭の声が、「このアカポンタン!」(後略)

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 昔、昔、ある国の王女が、たいへん困り果てていました。
 「ああ、こんなドレスを着てパレードをするなんて、やっぱり私にはできないわ」
 夜が開ける前に、王女はこっそりお城を抜け出して、行くあてもなく歩きはじめました。

 同じころ、隣の国の王子は、すっかりうつけたような表情をして街をさまよっていました。
 「ああ、あの舞踏会の娘は、いったいどこへ行ってしまったのだろう…」
 忽然と姿を消した娘のことが忘れられずに、毎日毎夜、昼も夜もなく、街中を尋ね歩いているのです。どこの家に行っても、あの娘はいません。それどころか、自分は王子だと言っても誰も信じてくれず、陰では笑い者にしているようです。おまけに、今夜は犬に吠えたてられ、逃げようとしたところを尻に咬みつかれ、白タイツを食いちぎられてしまいました。こんな姿でうろうろしているところを人に見られたら…。とにかく、明るくなる前にお城に帰らなくてはなりません。
 ところが、街はずれに繋いでおいた白馬がいなくなっています。
 「なんてことだ。これでは朝までに帰れないじゃないか!」
 王子が頭をかかえていると、どこからともなく魔女が現われました。
 「何だか困っておいでのようだねえ…」

 一方、隣の国の王女は、こうなったら森の中に隠れるしかないと思いました。ほの暗い森に足を踏み入れて、しばらく歩いていると、落ち葉の積もった地面に、うっすらと白いものが見えました。近くまで行ってみると、若い娘が裸でうつぶせに倒れていました。
 貧しくて服も買えない乞食というものがいるとは聞いていたけれど、まさかこの国にいるとは思ってもみませんでした。王女は、木の枝を拾ってきて、恐る恐るつついてみました。
 すると、乞食娘は「うーん」と唸って、寝返りをうちました。その顔を見て、王女は驚いてしまいました。乞食娘の顔は、王女と瓜二つだったのです。
 世間知らずの王女も、さすがにかわいそうな気がしてきました。そこで、お城に連れて帰って、服を着せてやろうと思いました。
 「さあ、早く起きなさい」

 白馬を失ったかわりに白タイツを手に入れた王子は、とぼとぼとお城への道を歩いていました。何か大事なことを忘れているような気もしましたが、何だかよく分かりません。親切なお婆さんが何か言っていましたが、頭がぼんやりしていて思い出せません。
 「おなかがすいたなあ…」
 ポケットをたたくと、ビスケットが一つ出てきたので、それをむしゃむしゃ食べました。

 王女が、衣装部屋に連れて行くと、それまでぼんやりしていた乞食娘は、あのドレスを見て目を輝かせました。
 「あんた、これが見えるの?」と、王女がたずねると、乞食娘はこっくりとうなずきました。
 王女は、自分に見えないドレスが乞食娘には見えることに腹を立てていましたが、ふと、いいことを思いつきました。この乞食娘をパレードの馬車に乗せてやろう。そうすれば、もう逃げたり隠れたりしなくてもすむ。我ながらこれは名案だと、王女はにんまりしました。

 ポケットを叩いてはビスケットを食べ、ビスケットを叩いてはビスケットを粉々にしてしまったりなどしているうちに、王子はおなかがいっぱいになりました。街外れの草むらの中で、王子はごろりと横になって一眠りしました。

 王女に扮した乞食娘のパレードを、街中の人びとが見物しています。その様子を陰からこっそり伺っていた本物の王女は、口惜しくて仕方ありません。あのドレスが見えない人が一人もいないとは思ってもいなかったのです。こんなことなら自分で着てパレードをすればよかった。そう思ってみても、もう後の祭りです。

 パレードが隣の国に入ったあたりで、一人の若者が「王女は裸だ」と叫んで、街中が大騒ぎになりました。これを見て、本物の王女は、やっぱり自分じゃなくてよかったと胸を撫で下ろしました。しかし、そのすぐ後で、その若者が実は隣の国の王子で、どうやら王女に一目惚れして街中を捜し回っていたらしいと聞くと、ああやっぱり自分だったらよかったのにと、地団駄を踏んで悔しがるのでした。

 そして、行き場のなくなった本物の王女は、あの娘が倒れていた森の方へと歩いて行きました。

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 眠り姫は、森への道を歩いていた。どうして、こんなことになってしまったのか。あの娘さえいなければ…。あの娘が王子と結ばれるなんて、絶対に許せない…。
 そこまで考えて、眠り姫は、はっとした。いけない。これでは私に呪いをかけた魔女と同じになってしまう。そうなのだ。魔女の呪いのせいで、私は百年間も眠らされていたのだ。

 勇敢な若者がやってきて口づけをすると目が覚めるのだと聞かされていたが、眠り姫が目覚めたときには、そんな若者はどこにもいなかった。しかし、流行遅れの服を着ている姿を誰にも見られなかったのはかえって好都合だった。
 それから毎日、新しい服を買いに行かせて、古い服は火にくべさせた。今、眠り姫が着ているこの服は、小間使いが灰の中からこっそり拾ったものだ。こんな灰だらけのみすぼらしい服を大事にとっておくなんて…。そのときはそう思ったが、これが役に立った。いや、結局は何の役にも立たなかったのだけれど。

 白馬に乗った王子様を待っているだけでは駄目。だから、こっちから派手なパレードをして、美しく着飾った私を見てもらおうと考えたのだった。ところが、あの仕立て屋が持ってきたのは、あのいやらしい布地だった。みんなが、その美しさを絶賛したが、私には見えなかった。お城の中だけだったらいいけれど、街へ出るなんて、とても無理だった。私よりも馬鹿な男たちの、いやらしい視線を浴びるのだと思うと、ぞっとした。

 それなのに、あの娘にも、街中の男たちや女たちの目にも、あの布地は見えたのだ。見えなかったのはただ一人、隣の国の王子だけだった。こんな馬鹿な話があるだろうか。まるで悪夢ではないか。そうだ。これは夢に違いない。私はまだ眠っているのだ。

 これが夢だったら、何かお告げが隠されているはずだ。「衣装にこだわるのは馬鹿なことだ」とか。ほかにも何かあるかもしれない。「衣装を捨てて裸になれ」とか。そういえば、あの娘が裸で倒れていたのは、このあたりだった。そうだ。ここで裸になって倒れていれば、もう一人の私がやって来て…。

 なんだ。こんな簡単なことに今まで気付かなかったなんて。そう思いながら、眠り姫は服を全部脱ぎ捨てて、枯れ葉の上にうつぶせになった。土臭くて寝心地もよくないが、今は我慢するしかない。夢の中でも歩き疲れたのだろうか、まもなく、眠り姫は寝息をたてはじめる。

 甘い香りのするふかふかしたものに包まれているのを感じて、眠り姫は目覚めた。すると、そこは、チューリップの花の中だった。

**

 ある日の事でございます。眠り姫が目覚めると、小さな蜘蛛が一匹、(中略)。下人の行方は、誰も知らない。


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 また目覚めたとき、もはや眠り姫には自分が何者なのかさえ分からなくなっている。古今東西・老若男女の有名・無名の登場人物が重なり合っているのである。彼女は苛々してこう言った。「ぶっ殺されたい?」

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――夜になると、シャハラ亭リヤール師匠の前で、弟子のザード姫が新作を披露した。 ... [ 続きを読む ]
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 あるとき、ピノキオが森の中を歩いていると、甲高い音が近づいてきた。 カラン、コ... [ 続きを読む ]
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 昔、昔、正直者なのに馬鹿を見ず、畑から出てきた大判小判で小金持ちになり、おまけ... [ 続きを読む ]
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 あるとき、雲の上で、ジャックが大判小判を眺めていると、ピノキオが言った。 「ど... [ 続きを読む ]
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 ジャックはコンビニでアルバイトをしたが、三ヶ月で経営学に興味がないことが分かっ... [ 続きを読む ]
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 昔、むかし、ある国に、桃姫という姫君がおりました。殿様と奥方様は、まるで桃太郎... [ 続きを読む ]
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 昔、ある国に、卵が好きな殿様がおりました。 わがままな殿様でしたが、その国の人... [ 続きを読む ]
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 だらだらと続く上り坂で馬鹿話をする者もなく、みんな退屈していた。馬に乗った猿が... [ 続きを読む ]
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 空から降りてきた少女は地面に横たわったまま眠っている。ジョナサンは困ってしまっ... [ 続きを読む ]
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 「断る」 ジョナサンは、ドングリを窓から投げ捨てた。 *  ドングリがころころ... [ 続きを読む ]
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 禁太郎たちが林の中でキノコ狩りをしていると、突然、一頭の獣が狂ったように駆け出... [ 続きを読む ]
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 心地よいまどろみの中で、眠り姫は馬に乗った王子が近づきつつあるのを感じていた。... [ 続きを読む ]
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若者  ジョナサンは若者になっていた。生い茂った茨の森の奥深くの古城の中で百年間... [ 続きを読む ]
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 勇敢な若者であると同時に疾走する馬でもあり目覚めそうな茨姫でもあるジョナサンは... [ 続きを読む ]
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 勇敢な若者である全裸のジョナサンが城の中へ駆け込む「どこにいる?」と同時に時空... [ 続きを読む ]
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 昔、天涯孤独の貧しい少女がいた。 「薪はいかがですか~」 山で拾って来た小枝を... [ 続きを読む ]
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 きょうは「まんがうりのしょうじょ」というおはなしをべんきょうします。では、かず... [ 続きを読む ]
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