カテゴリ「寓話」の記事 (13)

 ある日、浴場で湯に浸かっていた一人の男が、突然叫び声をあげた。男は裸で道を走り、そのまま王宮に駆け込もうとした。

 門番に見咎められた男は、「ついに発見したぞ! 発見したんだ!」と意味不明のことを口走るばかり。そこへ、怒りっぽいことで有名な大臣が通りかかる。

 「何の騒ぎだ? 裸で騒ぐとは、最低の人間だな!」
 「最低とは失礼な。わたしはアルキメデスだ!」
 「最低で最悪の行為だったに訂正します」
 「何をごちゃごちゃ言っとるか。早くヘロデ王に会わせろ。王冠の真贋を見抜く方法を発見したんだぞ」
 「何だ、そうでしたか。それを早く言ってくださいよ」

 こうして、アルキメデスと大臣の二人が玉座の間の前までやってきた。
 「しかし、やはり裸のままで謁見するというのはいかがなものかと…」
 「あっ、しまった! ひとっ走りして取ってくる」
 「いえいえ、わたしが参りましょう。しばしお待ちを」

 大臣は走り始めた。しかし、なかなか王宮の外に出られない。なぜならば、一番外側の門にたどり着くまえに、中間地点の門をくぐらなければならず、中間地点の門にたどり着くには、そのまた中間の門を…。

 「遅いな」と、アルキメデスが痺れを切らして大臣を追いかけ始める。しかし、なかなか大臣に追いつけない。なぜならば、追いかけ始めたときに大臣がいた地点にアルキメデスが着いたときには、大臣はそれより先に進んでいて、その地点にアルキメデスが着いたときには、大臣はさらにまた進んでいて…。

 この話は、細かいことにこだわると歴史的な偉業が台無しになることを示している。

| コメント(0) | トラックバック(0)

 ある村に、嘘つきの少年がいた。

 ある日、少年が「娘が来たぞ! 若くてきれいな娘が来たぞー!」と叫ぶと、村中の男たちが目の色を変えて飛び出して来た。それが面白くてたまらず、何度も同じ嘘を繰り返した。

 男たちは、どうせまた嘘だろうと思いながらも、ひょっとすると今度こそ本当かもしれないぞ、という本能の声には逆らえず、何度も同じ嘘にひっかかっていた。

 そういうことが何度も続くうちに、さすがにだまされる男の数も減り、少年は次第に誰からも相手にされなくなっていった。

 そんな、ある夕暮れのこと。少年の体に異変が起こった。嘘ばかりついていた報いで、とうとう娘の体になってしまったのだ。少年は叫んだ。

 「イヤァァァァァァァン!」

 妙に艶めかしく、どこか懐かしい娘の声が村中に響き渡ると、矢も楯もたまらくなった男たちが、ぞろぞろとやって来た。

 暗くなりはじめた空では、上弦の月が妖しく輝いている。

| コメント(0) | トラックバック(0)

 ある日、一休さんが歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 しかし一休さんは、いつものように橋の真ん中を歩いて渡った。幸い、へべれけだったので穴には落ちずに済んだ。


 別のある日、一休さんが歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 一休さんは素面だったが、立札をよく読まずに橋の真ん中を渡った。どぼ~ん。


 ある日、肉をくわえた犬が歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 しかし字が読めない犬は、立札に小便をかけてから橋を渡った。穴に気付いて覗き込むと、肉をくわえた犬と目が合った。その犬の肉を奪ってやろうと一声吠えると、くわえていた肉が落ちて行った。それを横から飛び出した一休さんがパクリ。


 ある日、スナフキンが歩いていると、橋の前に立札があった。

この橋、渡るべからず
真ん中に大きな穴があいています

 スナフキンは立札をバラバラにして、その木切れで穴を塞いだ。そして、手すりに腰かけると釣りを始めた。

| コメント(0) | トラックバック(0)

 犬にくわえられていた肉は、死んだも同然だった。しかし、橋の上で犬の口から解放された瞬間、意識を取り戻した。

 肉は、全身の感覚を研ぎ澄まして、現在の状況を素早く察知した。川面に向かって落ちている! あのときと同じだ。そう、牧場の柵を飛び越えて脱走したときのことだ。

 そのときは、こんな醜い姿ではなく、ふわふわとした毛が生えていた。仲間たちと一緒に草を食べたり、毛が短く足の速い生き物に追いかけられて走り回ったりしていた。全身に力が漲っていた。思い切り地面を蹴ると、軽々と柵を飛び越すことができた。

 そうだ。逃げなくては。あの生き物の牙に捕えられるのは二度と御免だ。肉は大きく息を吸ってから、全身を固くし、水面に叩きつけられる衝撃に備えた。あのときは不覚にも口や鼻から流れ込んだ水のせいで息が止まって溺れてしまったが、もうそのような失敗はしない。

 肉は、いちど水の中に沈んだ後、ゆっくりと浮かび上がった。川の水は、あのとき飲んだ水と同じ匂いと味がした。この川は牧場の近くを流れていた川につながっている。そう直観した肉は、不自由な全身を巧みにあやつり、流れに逆らって泳ぎはじめた。

 首筋に鈍い痛みを感じた。肉は、あの生き物にいきなり咬みつかれたことを思い出して身震いをした。牧場にいた生き物は追いかけたり吠えたりするだけで咬みつくことはなかった。そうだ、牧場に帰ろう。そしてまた仲間たちと一緒に、草を食べたり駆け回ったりしよう。肉はいっそう力をこめて泳ぎ続けた。

 どれくらい泳いだだろうか。意識が朦朧としている。懐かしい仲間たちの声が聞こえたのは、気のせいだろうか。眠りかけていたのか。川上に、見覚えのある橋がかかっていた。あのとき、調子に乗って橋の欄干を飛び越えたりさえしなければ…。肉は、川岸に近づき、力をふりしぼって這い上がった。

 すると、背後で、唸り声がした。首筋に咬みついたやつが、ここまで追いかけて来たのだ。肉は必死で土手を駆け上り、あの牧場に続く橋を渡りはじめた。もう少しで、また以前の生活に戻れるのだ。仲間たちの声が遠くから聞こえてきた。しかし、夢の中でもがいているように、なかなか前へ進まない。

 そして、とうとう追い付かれてしまった。肉は全身を縮こまらせてうずくまった。あいつの足音が近づいて来た。首筋に、熱い息が吹きかけられるのを感じたとき、肉はとっさに身をかわして欄干の隙間から飛び降りた。

 ぽちゃん、と音を立て、肉が沈んでいった。犬は、しばらく川面を眺めていたが、やがてあきらめて、その橋から去って行った。

| コメント(0) | トラックバック(0)

 ある農家の畑を子鹿が荒らした。それを知った農夫は銃で撃ち殺そうとしたが、息子に止められて見逃してやった。

 後日、成長した鹿が、今度は屋根にのぼって糞をしていた。今度はさすがに我慢できずに、農夫は撃ち殺してしまった。少年は泣いて鹿の墓を作った。それを見ていた馬が、鹿の角を自分の頭につけてくれと頼んだ。少年が馬の頭に鹿の角をつけてやると、馬は「おかげでよく見えるようになった」と言って喜んだ。

 数日後、農夫の家の屋根に、変な角が生えてきた。どうやら鹿の糞から芽が出たようだ。近所の人たちは「あの家は屋根に変なものが生えているし、鹿の角を生やした馬もいる。馬鹿が伝染るから近づかんほうがいい」と噂した。それを聞いた馬は、こう言った。「伝染るんではなくて、映るんです」

 この話は、鹿の角を生やすと馬鹿が映るものがよく見えるようになると言いたいようである。


※都合により、予定していた内容を変更してお届けしました。なお、「白雪姫と四十人の盗賊」は5月10日(日)午前7時に公開します。

| コメント(0) | トラックバック(0)

 昔、昔、「猿蟹合戦」という話があったのじゃが、今ではそれが「さるかにばなし」という題名に変わってしもうて、話の筋も教育的な内容に書きかえられてしもうたそうな。わしは、そんな話なんぞ読んだこともないし読んでみようとも思わんのじゃが、昨今の世情を見りゃあ、だいたいの見当ぐらいはつくというもんじゃて…。

 ある日、蟹がおにぎりを持って歩いていると、猿がこう言った。
 「蟹くん、蟹くん、そのおにぎりと、この柿の種を交換しよう」
 「えーっ?」と、蟹がためらっていると、猿がこう続けた。
 「何を迷っているんだい。おにぎりは食べてしまえばそれっきりでおしまいだけど、この柿の種を蒔いて柿の木を育てたら、毎年毎年、柿の実がたくさん成って、いくらでも食べられるんだよ」
 「えーっ!」と、蟹が驚いていると、猿は得意気にこう言った。
 「未来に備えて投資するのは常識だよ」

 そういうわけで、蟹はおにぎりと交換して手に入れた柿の種を蒔き、毎日毎日、水をやったり肥料をまいたりして、大切に育てた。
 それから数年後。立派に育った柿の木に、ついにいくつも実が成った。蟹は喜んで、柿の実を取ろうとしたが、どうしても手が届かない。そこで、蟹は、「どうせ、渋柿にちがいない」とつぶやいて、あきらめようとした。
 すると、いつかの猿がやってきて、「おいおい、蟹くん、それは負け惜しみってやつだよ。僕が、木に登って取ってきてやろう」と言ったかと思うと、するすると登って行った。ところが猿は、もぎ取っては食べ、もぎ取っては食べしているばかり。柿の実は、とうとう最後の一個だけになってしまった。
 「おーい、猿くん、ぼくにも一個おくれよ」
 「そんなに食いたきゃ、これでもくらえ」
 猿は蟹めがけて柿の実を投げつけた。

 それを見て、怒った栗は火の中に飛び込んで、爆ぜて猿に体当たりしてやろうと思ったが、ここには囲炉裏がない。急いで落ち葉をかき集め、焚き火をしようとライターを取り出したところへ、臼先生が駆けつけた。
 「こらこら、君たち、何をしているんだい?」
 臼先生は、猿や蟹が通っている学校の教頭で、これはどうでもいいことだが、いつも赤シャツを着ている。臼先生は、まず、木の上にいる猿にこう言った。
 「猿さん、食べ物を粗末にしてはいけません。それに、また蟹さんをいじめていましたね。いじめはいけませんよ」
 臼先生は、次に、落ち葉の山の脇に突っ立っている栗にこう言った。
 「栗さん、焚き火をしてはいけません。ダイオキシンが出て地球にやさしくないって習ったばかりでしょう。それに、子どもがライターなんか持っていてはいけません」
 臼先生は、最後に、地面に倒れていた蟹を助け起こして、こう言った。
 「蟹さん、大丈夫でしたか?」

 …とまあ、だいたいこんなふうに、猿と蟹と栗が、みんな仲直りしました、とかなんとかいうような話になっとるんじゃろうが、わしは、こんな中途半端な残念さでは到底納得できんのでな…。

 その夜。

蟹:ムカツクよなー、ウスノロのやつ
蜂:あいつ、うちではオニヨメの尻にしかれてるらしいぞ
蟹:ケガ人の方が先だろ、ふつー
栗:おめー、何で来なかったんだよ?
蟹:それ知ってる
蜂:行こうとしたんだけど、途中で…
蟹:キネコさん、キネコさんって、職員室で
栗:ウスノロにチクっただろ!
蜂:まさか
蟹:寝言で言ってたってさ
栗:タバコ、バレるとこだったんだぞ
蜂:チクってないって
猿:じゃあ何でウスノロが来るんだよ
蜂:見てたんだよ、双眼鏡で
蟹:腰をふりふり
栗:覗き魔かよ
猿:だったらいいけど、あんまり調子に乗るなよ
蜂:それ、キモイんですけど
猿:ママがPTA会長だからって
栗:理事長だろ
蜂:両方だよ
猿:女王様気どりのママさんがいなけりゃ
栗:いばんなよ
猿:お前なんか殺虫剤でシューだ
蜂:やってみれば?
猿:やってやるよ
栗:また、アレをやろうよ
蟹:あれって何?
猿:アレは面白かったよな~
蜂:あ、塾に行かなきゃ
栗:忘れたのか?
猿:逃げやがったな
蟹:何だったっけ
猿:脳ミソが蟹ミソだからな
栗:おまえがやつのパンツ下ろしただろ
蟹:あー、あれか
猿:で、俺がやつの尻の針を引っ張ってやったら
栗:やっと思い出したか
猿:www
栗:wwww
蟹:わろた。。。。。
栗:おめー、同じ昆虫のくせに
蟹:昆虫じゃねーよ
蜂:いっしょにすんなよ
猿:あ、やべえ。姉貴帰ってきた。男と
蟹:甲殻類だよ
栗:またサボりか?
蜂:コンビニんとこにスズメバチが
蟹:あいつ、アネキなんていたっけ?
栗:ヘタレだな
蜂:針だらけのやつには言われたくないな
栗:あいつの飼い主のことだよ
蟹:なんだ人間か
蜂:あのアネキはヤバいよ
栗:そそ
蟹:パンツ下ろしてやろーか
蜂:人間のオスに殺されそうになってたぞ
栗:おまいさんは見さかいがねーのか
蟹:何で?
栗:見たのか
蜂:ずっと前、あいつんち行ったとき
蟹:あいつんち、海から遠いんだろ?
蜂:オスに押え込まれて、死ぬって叫んでた
栗:いや、だからそれは…
蜂:そだね、山の方
栗:で、そのオスを刺してやったのか
蜂:いや。でも教えてやろうと思って
蟹:じゃあ行けねーな
蜂:あいつの部屋に行ったら
蜂:肩をふるわせてた
蜂:泣いてたんだと思うな
栗:いや、それも何か違うような…
蜂:じゃ何だよ
猿:ちくしょ~
栗:それは…
蟹:おかえり。どしたの?
栗:たぶんアレだよ
蜂:アレって何だよ
栗:シェーカー振ってたんじゃないかな
蟹:それ、何かで見たぞ
栗:猿酒のバナナシェイクとかさ
蜂:あー、あれはうまかったよな
猿:あ~うい~
栗:また飲んでる?
猿:わるいか~
蜂:ちょうど酒の話をしてたとこ
栗:べつに
蜂:でも、学校で飲むなよ
栗:俺は顔には出ないとか言ってさ
猿:おいハチ公!
蟹:もともと真っ赤だってーの
蜂:何だよ、エテ公!
猿:明日、たのしみにしとけよ
栗:やるのかよ
猿:じゃ~もうねる
蜂:冗談だろ
栗:何か本気っぽかったな
蜂:マジ?
栗:マジで
蟹:マジだったよね

 その翌日。蜂が学校から帰っていると、いきなり栗が飛んできてぶつかった。猿が飛んでいる蜂めがけて投げつけたのだ。蜂が落ちてくると、蟹がハサミでパンツをつかんでずり下ろす。そこへ猿が馬乗りになって、尻の針をつかんでこう叫ぶ。
 「引っこ抜いてやろうか?」
 すると蜂は、じたばたともがきながら、甲高い悲鳴をあげはじめる。
 「抜かないで~、抜かないで~。死ぬ~。死ぬ~」

 すると、たまたまその真上にあった柿の枝から、双眼鏡を持った臼先生が落ちてきて、ぐしゃり。

 薄れゆく意識の中で、蜂はこう思った。
 「やっぱり、あのとき、猿は泣いていたんだろうな…」

| コメント(0) | トラックバック(0)

 昔、ある村に、ジャックという男の子がいました。ある日、ジャックはジャックのお父さんと一緒に、ジャックの家で飼っていた牛を売りに、ジャックの家のある村の隣の町まで出かけることになりました。

 ジャックとジャックのお父さんがジャックの家で飼っていた牛を牽いて歩いていると、それを見ていた男の人がこう言いました。
 「間抜けなことをしているな。一人は牛に乗って行けばいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックをジャックの家で飼っていた牛に乗せました。

 ジャックを乗せたジャックの家で飼っていた牛をジャックのお父さんが牽いて歩いていると、それを見ていた別の男の人がこう言いました。
 「子どもを甘やかしてるな。子どもを歩かせればいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックをジャックの家で飼っていた牛から降ろしました。そして、ジャックのお父さんはジャックの家で飼っていた牛に乗って、ジャックのお父さんが乗ったジャックの家で飼っていた牛をジャックに牽かせることにしました。

 ジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛をジャックが牽いて歩いていると、それを見ていたまた別の男の人がこう言いました。
 「ひどい親だな。子どもも乗せてやったらいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛から降りて、ジャックをジャックのお父さんが降りたジャックの家で飼っていた牛に乗せました。そして、ジャックのお父さんは、ジャックのお父さんが降りてジャックが乗ったジャックの家で飼っていた牛の上のジャックの後ろに乗りました。

 ジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛が歩いていると、川にさしかかりました。すると、ジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛は、こう一人ごとを言いました。
 「重たいな。この前みたいに川に飛び込んだら軽くなるんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛は、ジャックとジャックのお父さんを乗せたまま、川に飛び込みました。

 ところが、ジャックの家で飼っていた牛が思ったようにはなりませんでした。ジャックとジャックのお父さんは軽くなるどころか、ジャックの服とジャックのお父さんの服に川の水がしみ込んで、かえって重くなってしまったのです。しかも、ジャックのお父さんは、得体の知れない妙な生き物に変身してしまいました。

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛が歩いていると、またまた別の男の人がこう言いました。
 「エコドライブだな。しかし、牛は二酸化炭素を排出するけど、この緑豆を植えると二酸化炭素を吸収するから、その牛を緑豆と交換した方が、もっとエコになるんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思った得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんは、そのまたまた別の男の人の言った通りに、ジャックの家で飼っていた牛を、そのまたまた別の男の人の緑豆と交換しました。

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんが、ジャックの家で飼っていた牛と交換した、またまた別の男の人が持っていた緑豆を持って、ジャックの家に帰ってくると、ジャックのお母さんは、嬉しそうにこう言いました。
 「おかえりなさい。まあ、おいしそうな緑豆ね。さっそく緑豆の料理を作りましょう」
 すると、ジャックが言いました。
 「食いしん坊だな。食べてしまったらエコにならないんじゃないかな?」
 得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんも言いました。
 「そうだよ。その緑豆は畑に蒔いて育てるんだよ」

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんと食いしん坊なジャックのお母さんは、ジャックの家の裏の畑に行って、おいしそうだけど食べてしまったらエコにならない緑豆を蒔きました。

 その夜、ジャックの家の裏の畑に蒔いた緑豆の周りで、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんが踊りを踊っていると、ジャックの家の裏の畑に蒔いた緑豆から勢いよく芽が出てきました。そして、ぐんぐん伸びていきました。

 翌朝、ジャックがジャックの家の裏の畑に行ってみると、ゆうべ蒔いた緑豆は、雲に届く大きな木になっていました。さっそくジャックは、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をどんどん登っていきました。

 そして、とうとう雲の上まで登ったジャックは、雲の上に大きなお城が建っているのを見つけました。ジャックが見つけた雲の上の大きなお城にジャックが入ってみると、そこにはニワトリと、何かが入っている袋と、ハープがありました。ジャックは何かが入っている袋の中には何が入っているのだろうと思って、そっと何かが入っている袋を開けて覗き込みました。

 すると、いきなりハープがこう叫びました。
 「どろぼうだ! どろぼうだ! どろぼうがきだぞ!」
 びっくりしたジャックは、ジャックが見つけた雲の上のお城の中にあった何かが入っている袋の中に入っていたものを一つかみだけ手に取って、ジャックが見つけた雲の上のお城の中から逃げ出しました。すると、ジャックが見つけた雲の上のお城の中から雲を衝くような大男が追いかけてきました。

 ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をするすると降りてきたジャックが、ジャックの家の斧を取り出して、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木を切り倒そうとすると、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男が、こう叫びました。
 「この木を切るな。この木を切ったらエコじゃなくなるんじゃないかな?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックは、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をジャックの家にあった斧で切り倒すのをやめました。すると、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木の途中から、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男が飛び下りてきました。

 ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木の途中から飛び下りた雲を衝くような大男は、こう言いました。
 「お前が手に持っているのは緑豆だな。この地図の印を付けたところに蒔いてくれてもいいんじゃないかな?」
 ジャックは手の中の緑豆を見て、なるほど、それもそうだなと思いました。

 ジャックが見つけた雲の上のお城の中にあった何かが入っている袋の中に入っていた緑豆を、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男にもらった地図の印を付けたところにジャックが蒔いていると、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんがやってきて踊りを踊りはじめました。

 その後、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男は、ジャックの家のある村とジャックの家のある村の隣の町のあちこちに生えた雲に届く大きな木を何度も何度も行き来して、せっせとコンビニを作りました。そして、ジャックは、ジャックの家の裏の畑のすぐ近くにできたコンビニでアルバイトをしながら経営学を勉強したということです。

 そうそう、それと、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんは、今もどこかで踊りを踊っていることでしょう。

| コメント(0) | トラックバック(0)

 黄色の鼠が茶色の鼠の住む家に遊びに来た。すると、いきなり灰色の猫が襲いかかってきた。攻撃も防御も手当たり次第で、ルールも何もあったものではない。それに、気絶させてもすぐに起き上がってまた追いかけてくる。こんなことを毎日繰り返しているだけで、新しい敵が現われることもなく、進化できるわけでもない。こんな出鱈目な家にはとても住めないと思った黄色の鼠は自分の住む町へ帰って行った。

 茶色の鼠が黄色の鼠の住む町に遊びに来た。すると、いきなりボールの中に閉じ込められてしまった。いくら出ようともがいてみても出られず、つまらなくなって眠っていると、急にボールの外に追い出された。恐ろしい化け物が入れ代わり立ち代わり現われて攻撃してくるが、人間の命令通りにしか動けない。こんな不自由な町にはとても住めないと思った茶色の鼠は自分の住む家へ帰って行った。

 黄色の鼠と茶色の鼠が黒色の鼠の住む国に遊びに来た。すると、いきなり大勢の人間たちが寄ってきて、握手をしたり写真を撮ったりしはじめた。子どもも大人もみんな大喜びをしていて、その後ろには笑顔を浮かべた人間たちが行列を作って待ち構えている。敵はどこにもいなかったが、こんな無気味な国にはとても住めないと思った黄色の鼠と茶色の鼠は自分の住む町と家へ帰って行った。

 黒色の鼠が黄色の鼠の住む町や茶色の鼠の住む家に遊びに来ることはない。自分の住む国が一番だと信じ込んでいるからだ。

| コメント(0) | トラックバック(0)

 「この期に及んで、まだしらを切るつもりか!」
 「僕は桜の木なんか切ってません」
 「この桜吹雪を、よもや忘れたとは…」

 「おお、ビューティフル! 僕が切り倒したかった桜の木は、そのタトゥーの中にあります」
 「切れるものなら、切ってみやがれ。ただし、一滴でも血を流してはならぬぞ」

 「あなたが切り倒したいのは、金さんのタトゥーの中の桜の木ですか?」
 「そうです。金さんのタトゥーの中の桜の木です」
 「あなたは正直者ですね。金さんのタトゥーの中の桜の木をあなたにプレゼントしましょう」

 「こうなってしまっては、もはや切るに切れまい。これにて一件落着」


*正直に言います。下書きしてるうちに眠ってしまいました。地の文を書いていると時間がかかるので、このままでアップします。登場人物が誰なのか、想像してお読みください。〔偽装前の投稿日時:2009/05/23 01:58〕

| コメント(0) | トラックバック(0)

 昔、ある国に、卵が好きな殿様がおりました。
 わがままな殿様でしたが、その国の人びとには、とても人気がありました。

 さて、月日は流れ、次の殿様に代替わりしました。
 わがままなところは先代と同じでしたが、家臣の諌言にも民衆の声にも耳を貸さないという、とても困った殿様でした。
 「殿様には何を言っても聞き入れてくださらない」
 「殿様には何を言っても無駄だな」
 「殿様に何を言っても馬の耳に念仏だそうだ」
 「殿様の耳は馬の耳らしいぞ」
 人々はこのように噂しましたが、殿様は馬耳東風だったそうです。

 さて、月日は流れ、また次の殿様に代替わりしました。
 わがままで聞く耳を持たないのは先代と同じでしたが、猜疑心が異常に強いという、とても困った殿様でした。
 「殿様には何を言っても聞き入れてくださらない」
 「殿様には何を言っても無駄だな」
 「殿様に何を言っても馬の耳に念仏だそうだ」
 「殿様の耳は馬の耳らしいぞ」
 猜疑心が異常に強い殿様は、国じゅうの井戸の底に盗聴器を仕掛けていたので、人びとの噂話はすべて筒抜けになっていました。

 さて、月日は流れ、またまた次の殿様に代替わりしました。
 わがままで聞く耳を持たず猜疑心が異常に強いのは先代と同じでしたが、自分の悪口を聞くと常軌を逸した怒り方をするという、とても困った殿様でした。
 そこで人びとは、秘密の場所に底なしの深い穴を掘りました。その底なしの深い穴の底に向かって大声で叫んで、鬱憤を晴らしたということです。
 「殿様の耳は地獄耳」

 さて、月日は流れ、殿様がいない時代になり、底なしの深い穴のことを知る人もいなくなってしまいました。

| コメント(0) | トラックバック(0)
*  長い冬の間に、アリたちが溜め込んだ食糧がとうとう底をついてしまった。巣の外... [ 続きを読む ]
| コメント(4) | トラックバック(0)
 だらだらと続く上り坂で馬鹿話をする者もなく、みんな退屈していた。馬に乗った猿が... [ 続きを読む ]
| コメント(0) | トラックバック(0)
前回のあらすじ サンダルをはいた猿が、風で飛ばされた禁太郎の腹掛けを取り戻した。... [ 続きを読む ]
| コメント(0) | トラックバック(1)

カレンダー

<   2014年6月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

Twitter

Powered by Movable Type 4.261

このページについて

このページには、過去に書かれたブログ記事のうち、カテゴリ「寓話」に属しているものが含まれています。

前のカテゴリは夜話です。

次のカテゴリは怪談です。

最近の記事はメインページで、過去の記事はアーカイブで閲覧できます。

最近のコメント