カテゴリ「海外文学」の記事 (63)

 ある日、浴場で湯に浸かっていた一人の男が、突然叫び声をあげた。男は裸で道を走り、そのまま王宮に駆け込もうとした。

 門番に見咎められた男は、「ついに発見したぞ! 発見したんだ!」と意味不明のことを口走るばかり。そこへ、怒りっぽいことで有名な大臣が通りかかる。

 「何の騒ぎだ? 裸で騒ぐとは、最低の人間だな!」
 「最低とは失礼な。わたしはアルキメデスだ!」
 「最低で最悪の行為だったに訂正します」
 「何をごちゃごちゃ言っとるか。早くヘロデ王に会わせろ。王冠の真贋を見抜く方法を発見したんだぞ」
 「何だ、そうでしたか。それを早く言ってくださいよ」

 こうして、アルキメデスと大臣の二人が玉座の間の前までやってきた。
 「しかし、やはり裸のままで謁見するというのはいかがなものかと…」
 「あっ、しまった! ひとっ走りして取ってくる」
 「いえいえ、わたしが参りましょう。しばしお待ちを」

 大臣は走り始めた。しかし、なかなか王宮の外に出られない。なぜならば、一番外側の門にたどり着くまえに、中間地点の門をくぐらなければならず、中間地点の門にたどり着くには、そのまた中間の門を…。

 「遅いな」と、アルキメデスが痺れを切らして大臣を追いかけ始める。しかし、なかなか大臣に追いつけない。なぜならば、追いかけ始めたときに大臣がいた地点にアルキメデスが着いたときには、大臣はそれより先に進んでいて、その地点にアルキメデスが着いたときには、大臣はさらにまた進んでいて…。

 この話は、細かいことにこだわると歴史的な偉業が台無しになることを示している。

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 犬にくわえられていた肉は、死んだも同然だった。しかし、橋の上で犬の口から解放された瞬間、意識を取り戻した。

 肉は、全身の感覚を研ぎ澄まして、現在の状況を素早く察知した。川面に向かって落ちている! あのときと同じだ。そう、牧場の柵を飛び越えて脱走したときのことだ。

 そのときは、こんな醜い姿ではなく、ふわふわとした毛が生えていた。仲間たちと一緒に草を食べたり、毛が短く足の速い生き物に追いかけられて走り回ったりしていた。全身に力が漲っていた。思い切り地面を蹴ると、軽々と柵を飛び越すことができた。

 そうだ。逃げなくては。あの生き物の牙に捕えられるのは二度と御免だ。肉は大きく息を吸ってから、全身を固くし、水面に叩きつけられる衝撃に備えた。あのときは不覚にも口や鼻から流れ込んだ水のせいで息が止まって溺れてしまったが、もうそのような失敗はしない。

 肉は、いちど水の中に沈んだ後、ゆっくりと浮かび上がった。川の水は、あのとき飲んだ水と同じ匂いと味がした。この川は牧場の近くを流れていた川につながっている。そう直観した肉は、不自由な全身を巧みにあやつり、流れに逆らって泳ぎはじめた。

 首筋に鈍い痛みを感じた。肉は、あの生き物にいきなり咬みつかれたことを思い出して身震いをした。牧場にいた生き物は追いかけたり吠えたりするだけで咬みつくことはなかった。そうだ、牧場に帰ろう。そしてまた仲間たちと一緒に、草を食べたり駆け回ったりしよう。肉はいっそう力をこめて泳ぎ続けた。

 どれくらい泳いだだろうか。意識が朦朧としている。懐かしい仲間たちの声が聞こえたのは、気のせいだろうか。眠りかけていたのか。川上に、見覚えのある橋がかかっていた。あのとき、調子に乗って橋の欄干を飛び越えたりさえしなければ…。肉は、川岸に近づき、力をふりしぼって這い上がった。

 すると、背後で、唸り声がした。首筋に咬みついたやつが、ここまで追いかけて来たのだ。肉は必死で土手を駆け上り、あの牧場に続く橋を渡りはじめた。もう少しで、また以前の生活に戻れるのだ。仲間たちの声が遠くから聞こえてきた。しかし、夢の中でもがいているように、なかなか前へ進まない。

 そして、とうとう追い付かれてしまった。肉は全身を縮こまらせてうずくまった。あいつの足音が近づいて来た。首筋に、熱い息が吹きかけられるのを感じたとき、肉はとっさに身をかわして欄干の隙間から飛び降りた。

 ぽちゃん、と音を立て、肉が沈んでいった。犬は、しばらく川面を眺めていたが、やがてあきらめて、その橋から去って行った。

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 むかし、ある村に、貧しい樵の夫婦がいました。この夫婦には、こどもが二人いました。男の子の名はヘンゼル、女の子の名はグレーテルといいました。ほかにもきょうだいがいたのですが、みんな大きくなる前に神に召されたという話です。

 ある晩、ヘンゼルが眠れずにいると、とても恐ろしい話し声が聞こえてきました。両親が、また子供たちを森に置き去りにしようと相談していたのです。賢いヘンゼルは、夜が明ける前に、すっかり準備を整えました。気立ての良いグレーテルは、何も知らずに穏やかな寝息を立てています。

 朝になると、父親が、今日はみんなで森にピクニックに行こうと言いだして、母親が、お弁当を作りはじめました。ヘンゼルは喜ぶふりをしましたが、グレーテルは本当に喜んでいました。

(中略)

 ヘンゼルとグレーテルが森の奥で昼寝をしている間に、両親はこっそり家に帰ってしまいました。しばらくして目を覚ましたヘンゼルは、とても落ち着いていました。来るときにポケットの中の小石を落として目印にしておいたのです。ところが、さがしても、さがしても、小石がひとつも見つかりません。ヘンゼルは大声で叫びました。

 「なぜなんだーっ!」

 その声に驚いて、グレーテルが目を覚ましました。グレーテルは目をこすりながら、「こびとさんたちがびっくりして逃げちゃった」と言っています。どうやら、夢を見ていたようです。ヘンゼルが、ゆうべ両親がひそひそと話しているのを聞いたことと、今日ここまで来る道にこっそり小石を落としておいたことを話すと、グレーテルが答えました。

 「その小石だったら、こびとさんたちが拾ってたよ」

 死んだはずのきょうだいは、森にすむ七人のこびとたちになっていたのです。こうして、ヘンゼルとグレーテルの、こびとたちを捜しもとめる旅が始まりました。

 しばらく歩くと、心のやさしいグレーテルは、あの家で病気でねているおばあさんがいるから、お見舞いに行きたいと言いだしました。ヘンゼルは一緒に行こうと言いましたが、グレーテルはだいじょうぶだからと言って、一人でとことこと歩いて行って、その家に入りました。

 いくら待ってもグレーテルが出て来ないので、心配になったヘンゼルがその家に入ってみました。すると、ベットの上に狼が寝ていて、その大きなおなかの中から、何やら声が聞こえます。ヘンゼルが狼のおなかをハサミで切ると、中から六匹の子ヤギがぞろぞろと出て来ました。家の中をすみずみまで捜しましたが、時計の中にもう一匹の子ヤギがかくれているのがみつかっただけで、とうとうグレーテルは見つかりませんでした。仕方なく、ポケットの中に残っていた小石を狼のおなかに詰め込んで、ヘンゼルはその家を後にしました。

 しばらく歩くと、遠くにお菓子でできた家が見えてきました。よく目をこらすと、その家の扉を開けて女の子が入って行くのが見えました。「グレーテルだ!」と思ったヘンゼルは駆け出しました。

 ヘンゼルがお菓子の家に駆け込むと、女の子がびっくりして振り向きました。しかし、その顔を見て、ヘンゼルはがっかりしました。グレーテルではありません。女の子の名前をたずねると、「ミチルです」といいました。お兄さんのチルチルと一緒に青い鳥を捜していて、はぐれてしまったのだという話です。

 ヘンゼルとミチルは、とてもおなかがへっていたので、二人でお菓子を食べました。しばらくすると、誰かがやってきました。子供をつかまえて食べるという恐ろしい魔女が帰って来たのかもしれません。二人は慌てて地下室に逃げ込みました。

 真っ暗な部屋の中で、ヘンゼルとミチルは魔女に見つからないようにしっかりと身を寄せ合っていました。二人はどきどきして何だか妙な気分になってきました。さっき食べた砂糖菓子のせいでしょうか。そういえば、そのお菓子は鳥の形をしていました。

 しかし、扉を開けて入ってきたのは、チルチルとグレーテルでした。チルチルとグレーテルは、とてもおなかがへっていたので、二人でお菓子を食べました。しばらくすると、誰かがやってきました。子供をつかまえて食べるという恐ろしい魔女が帰って来たのかもしれません。二人は慌てて地下室に逃げ込みました。

 真っ暗な部屋の中で、チルチルとグレーテルは魔女に見つからないようにしっかりと身を寄せ合っていました。二人はどきどきして何だか妙な気分になってきました。さっき食べた砂糖菓子のせいでしょうか。そういえば、そのお菓子は青い色をしていました。

 しかし、扉を開けて入ってきたのは、親指小僧と赤頭巾でした。親指小僧と赤頭巾は、とてもおなかがへっていたので、二人でお菓子を食べました。しばらくすると、誰かがやってきました。子供をつかまえて食べるという恐ろしい魔女が帰って来たのかもしれません。二人は慌てて地下室に逃げ込みました。

 真っ暗な部屋の中で、親指小僧と赤頭巾は魔女に見つからないようにしっかりと身を寄せ合っていました。二人はどきどきして何だか妙な気分になってきました。さっき食べた砂糖菓子のせいでしょうか。そういえば、そのお菓子は青い色をしていて鳥の形をしていました。

 扉を開けて入ってきたのは、今度こそ恐ろしい魔女でした。魔女は、部屋の中の匂いをくんくん嗅いで、こどもたちがお菓子を食べ散らかしたことを知りました。「さてさて、こどもたちは、どこに隠れたのかな?」と、魔女は耳をすましました。どうやら地下室にかくれているようです。

 そのとき地下室では、こどもたちが、魔女が帰って来たことにも気付かずに、それぞれの幸せを追い求めるのに夢中になっていました。

 そのことに気付いた魔女は、大声でこう一喝しました。

 「どいつもこいつも体ばかり成長して、おつむは空っぽのままじゃないか! そんなところで大人のまねごとなんかしてるんじゃないよ!」

 すると、地下室から聞こえていた物音がぴたりとやみました。

 こどもたちの返事を、魔女は待っています。

 「…………」

 しかし、みんなは怖くてブルブルふるえているだけで、何も返せずにいるようです。魔女は一段と厳しい表情になり、地下室に向かって、こう叫びました。

 「あかん、あかん。『あんたがそれを言うな!』やろ。もういっぺん最初からやり直しや!」

 こうして、恐ろしい魔女の、地獄のような特訓が始まりました。

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 昔、昔、ある国の王女が、たいへん困り果てていました。
 「ああ、こんなドレスを着てパレードをするなんて、やっぱり私にはできないわ」
 夜が開ける前に、王女はこっそりお城を抜け出して、行くあてもなく歩きはじめました。

 同じころ、隣の国の王子は、すっかりうつけたような表情をして街をさまよっていました。
 「ああ、あの舞踏会の娘は、いったいどこへ行ってしまったのだろう…」
 忽然と姿を消した娘のことが忘れられずに、毎日毎夜、昼も夜もなく、街中を尋ね歩いているのです。どこの家に行っても、あの娘はいません。それどころか、自分は王子だと言っても誰も信じてくれず、陰では笑い者にしているようです。おまけに、今夜は犬に吠えたてられ、逃げようとしたところを尻に咬みつかれ、白タイツを食いちぎられてしまいました。こんな姿でうろうろしているところを人に見られたら…。とにかく、明るくなる前にお城に帰らなくてはなりません。
 ところが、街はずれに繋いでおいた白馬がいなくなっています。
 「なんてことだ。これでは朝までに帰れないじゃないか!」
 王子が頭をかかえていると、どこからともなく魔女が現われました。
 「何だか困っておいでのようだねえ…」

 一方、隣の国の王女は、こうなったら森の中に隠れるしかないと思いました。ほの暗い森に足を踏み入れて、しばらく歩いていると、落ち葉の積もった地面に、うっすらと白いものが見えました。近くまで行ってみると、若い娘が裸でうつぶせに倒れていました。
 貧しくて服も買えない乞食というものがいるとは聞いていたけれど、まさかこの国にいるとは思ってもみませんでした。王女は、木の枝を拾ってきて、恐る恐るつついてみました。
 すると、乞食娘は「うーん」と唸って、寝返りをうちました。その顔を見て、王女は驚いてしまいました。乞食娘の顔は、王女と瓜二つだったのです。
 世間知らずの王女も、さすがにかわいそうな気がしてきました。そこで、お城に連れて帰って、服を着せてやろうと思いました。
 「さあ、早く起きなさい」

 白馬を失ったかわりに白タイツを手に入れた王子は、とぼとぼとお城への道を歩いていました。何か大事なことを忘れているような気もしましたが、何だかよく分かりません。親切なお婆さんが何か言っていましたが、頭がぼんやりしていて思い出せません。
 「おなかがすいたなあ…」
 ポケットをたたくと、ビスケットが一つ出てきたので、それをむしゃむしゃ食べました。

 王女が、衣装部屋に連れて行くと、それまでぼんやりしていた乞食娘は、あのドレスを見て目を輝かせました。
 「あんた、これが見えるの?」と、王女がたずねると、乞食娘はこっくりとうなずきました。
 王女は、自分に見えないドレスが乞食娘には見えることに腹を立てていましたが、ふと、いいことを思いつきました。この乞食娘をパレードの馬車に乗せてやろう。そうすれば、もう逃げたり隠れたりしなくてもすむ。我ながらこれは名案だと、王女はにんまりしました。

 ポケットを叩いてはビスケットを食べ、ビスケットを叩いてはビスケットを粉々にしてしまったりなどしているうちに、王子はおなかがいっぱいになりました。街外れの草むらの中で、王子はごろりと横になって一眠りしました。

 王女に扮した乞食娘のパレードを、街中の人びとが見物しています。その様子を陰からこっそり伺っていた本物の王女は、口惜しくて仕方ありません。あのドレスが見えない人が一人もいないとは思ってもいなかったのです。こんなことなら自分で着てパレードをすればよかった。そう思ってみても、もう後の祭りです。

 パレードが隣の国に入ったあたりで、一人の若者が「王女は裸だ」と叫んで、街中が大騒ぎになりました。これを見て、本物の王女は、やっぱり自分じゃなくてよかったと胸を撫で下ろしました。しかし、そのすぐ後で、その若者が実は隣の国の王子で、どうやら王女に一目惚れして街中を捜し回っていたらしいと聞くと、ああやっぱり自分だったらよかったのにと、地団駄を踏んで悔しがるのでした。

 そして、行き場のなくなった本物の王女は、あの娘が倒れていた森の方へと歩いて行きました。

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 昔、ある村に、ジャックという男の子がいました。ある日、ジャックはジャックのお父さんと一緒に、ジャックの家で飼っていた牛を売りに、ジャックの家のある村の隣の町まで出かけることになりました。

 ジャックとジャックのお父さんがジャックの家で飼っていた牛を牽いて歩いていると、それを見ていた男の人がこう言いました。
 「間抜けなことをしているな。一人は牛に乗って行けばいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックをジャックの家で飼っていた牛に乗せました。

 ジャックを乗せたジャックの家で飼っていた牛をジャックのお父さんが牽いて歩いていると、それを見ていた別の男の人がこう言いました。
 「子どもを甘やかしてるな。子どもを歩かせればいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックをジャックの家で飼っていた牛から降ろしました。そして、ジャックのお父さんはジャックの家で飼っていた牛に乗って、ジャックのお父さんが乗ったジャックの家で飼っていた牛をジャックに牽かせることにしました。

 ジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛をジャックが牽いて歩いていると、それを見ていたまた別の男の人がこう言いました。
 「ひどい親だな。子どもも乗せてやったらいいんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックのお父さんは、ジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛から降りて、ジャックをジャックのお父さんが降りたジャックの家で飼っていた牛に乗せました。そして、ジャックのお父さんは、ジャックのお父さんが降りてジャックが乗ったジャックの家で飼っていた牛の上のジャックの後ろに乗りました。

 ジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛が歩いていると、川にさしかかりました。すると、ジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛は、こう一人ごとを言いました。
 「重たいな。この前みたいに川に飛び込んだら軽くなるんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックとジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛は、ジャックとジャックのお父さんを乗せたまま、川に飛び込みました。

 ところが、ジャックの家で飼っていた牛が思ったようにはなりませんでした。ジャックとジャックのお父さんは軽くなるどころか、ジャックの服とジャックのお父さんの服に川の水がしみ込んで、かえって重くなってしまったのです。しかも、ジャックのお父さんは、得体の知れない妙な生き物に変身してしまいました。

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんを乗せたジャックの家で飼っていた牛が歩いていると、またまた別の男の人がこう言いました。
 「エコドライブだな。しかし、牛は二酸化炭素を排出するけど、この緑豆を植えると二酸化炭素を吸収するから、その牛を緑豆と交換した方が、もっとエコになるんじゃないか?」
 なるほど、それもそうだなと思った得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんは、そのまたまた別の男の人の言った通りに、ジャックの家で飼っていた牛を、そのまたまた別の男の人の緑豆と交換しました。

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんが、ジャックの家で飼っていた牛と交換した、またまた別の男の人が持っていた緑豆を持って、ジャックの家に帰ってくると、ジャックのお母さんは、嬉しそうにこう言いました。
 「おかえりなさい。まあ、おいしそうな緑豆ね。さっそく緑豆の料理を作りましょう」
 すると、ジャックが言いました。
 「食いしん坊だな。食べてしまったらエコにならないんじゃないかな?」
 得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんも言いました。
 「そうだよ。その緑豆は畑に蒔いて育てるんだよ」

 ジャックと得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんと食いしん坊なジャックのお母さんは、ジャックの家の裏の畑に行って、おいしそうだけど食べてしまったらエコにならない緑豆を蒔きました。

 その夜、ジャックの家の裏の畑に蒔いた緑豆の周りで、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんが踊りを踊っていると、ジャックの家の裏の畑に蒔いた緑豆から勢いよく芽が出てきました。そして、ぐんぐん伸びていきました。

 翌朝、ジャックがジャックの家の裏の畑に行ってみると、ゆうべ蒔いた緑豆は、雲に届く大きな木になっていました。さっそくジャックは、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をどんどん登っていきました。

 そして、とうとう雲の上まで登ったジャックは、雲の上に大きなお城が建っているのを見つけました。ジャックが見つけた雲の上の大きなお城にジャックが入ってみると、そこにはニワトリと、何かが入っている袋と、ハープがありました。ジャックは何かが入っている袋の中には何が入っているのだろうと思って、そっと何かが入っている袋を開けて覗き込みました。

 すると、いきなりハープがこう叫びました。
 「どろぼうだ! どろぼうだ! どろぼうがきだぞ!」
 びっくりしたジャックは、ジャックが見つけた雲の上のお城の中にあった何かが入っている袋の中に入っていたものを一つかみだけ手に取って、ジャックが見つけた雲の上のお城の中から逃げ出しました。すると、ジャックが見つけた雲の上のお城の中から雲を衝くような大男が追いかけてきました。

 ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をするすると降りてきたジャックが、ジャックの家の斧を取り出して、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木を切り倒そうとすると、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男が、こう叫びました。
 「この木を切るな。この木を切ったらエコじゃなくなるんじゃないかな?」
 なるほど、それもそうだなと思ったジャックは、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木をジャックの家にあった斧で切り倒すのをやめました。すると、ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木の途中から、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男が飛び下りてきました。

 ジャックの家の裏の畑に生えた雲に届く大きな木の途中から飛び下りた雲を衝くような大男は、こう言いました。
 「お前が手に持っているのは緑豆だな。この地図の印を付けたところに蒔いてくれてもいいんじゃないかな?」
 ジャックは手の中の緑豆を見て、なるほど、それもそうだなと思いました。

 ジャックが見つけた雲の上のお城の中にあった何かが入っている袋の中に入っていた緑豆を、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男にもらった地図の印を付けたところにジャックが蒔いていると、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんがやってきて踊りを踊りはじめました。

 その後、ジャックが見つけた雲の上のお城の中からジャックを追いかけてきた雲を衝くような大男は、ジャックの家のある村とジャックの家のある村の隣の町のあちこちに生えた雲に届く大きな木を何度も何度も行き来して、せっせとコンビニを作りました。そして、ジャックは、ジャックの家の裏の畑のすぐ近くにできたコンビニでアルバイトをしながら経営学を勉強したということです。

 そうそう、それと、得体の知れない妙な生き物に変身したジャックのお父さんは、今もどこかで踊りを踊っていることでしょう。

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――夜になると、シャハラ亭リヤール師匠の前で、弟子のザード姫が新作を披露した。

(弟子)まいど馬鹿ばかしいお話を一席。えー、これは、先週旅先で聞いた話なんですけど…。
(師匠)おいおい、ちょっと待て。先週というと…、お前、大臣と一緒に旅行してたのか?
(弟子)そうですけど、それが何か?
(師匠)なんということを…。不倫旅行とは、ふしだらな。
(弟子)不倫ですって? 何言ってるんですか。大臣は私の父ですよ。
(師匠)おお、そうだったな。しかし、大臣も大臣だ。この大事な時期に…。おい、大臣を呼べ!
(大臣)お呼びですか?
(師匠)お前はクビだ!
(大臣)またか。これで何度目だよ。
(師匠)どいつもこいつも、切れない刀みたいなやつばかりだな。
(弟子)…という話は、こっちに置いておきまして…

 その土地の運河の片隅に、美しい娘の銅像がありました。そのいわれを地元の人に尋ねてみたところ、その像には、それはそれは悲しい物語が秘められていたのです。

 ある日、子供たちが、運河に漂う美しい水死人を発見して、村中が大騒ぎになりました。普通、水死体は水を吸ってぶよぶよの醜い姿になるものですが、その娘のなきがらは、この世のものとは思えぬほどに美しかったのです。しかも、深緑色のもやもやとした海藻を身にまとっているだけという裸体でしたから、このニュースはあっと言う間に村中に広まって、男も女も大人も子どもも岸辺に集まって来ました。
 男たちが引き上げて、女たちが海藻をきれいに取り除くと、なんと、水死体の下半身には鱗のようなものがびっしりとくっついていたのです。これを見た村人たちは、これは人魚に違いないと噂し合っておりましたが、さらに金具でごしごしこすると、こびりついていたものが取れて、普通の人間の脚が現われました。
 人魚ではないと知って最初はがっかりしていた村人たちでしたが、彼女の生前の姿をめいめいが想像しているうちに、しんみりとした気持ちになってきました。
 その後、この不幸な死にみまわれた娘が近隣の村の者ではないと分かると、自分らの手で立派に葬儀をしてやろうということで、村人たちの意見がまとまりました。

 数年後、一人の旅人がこの村にやってきました。立派な身なりをした若者で、行方知れずになった女性を捜し歩いていて、この村で見つかった水死人の噂を耳にしたという話でした。村人たちが驚いたことには、旅人が語ったその女性の年格好や容貌は、まさにあの娘とぴったり一致していました。彼女が引き上げられた場所に案内してほしいと乞われた村人たちは、旅人を運河に連れて行きました。旅人は、村人が作った小さな墓碑銘の前で、長い間、佇んでいました。

 翌年、その旅人が再び村を訪れました。馬車の荷台には、きれいな布で丁寧に包まれた大きな荷物が乗せてありました。集まった村人たちに、旅人は、これをここに置かせてほしいと頼みました。それが、この美しい娘の銅像だったのです。

(師匠)ははーん、オチが読めたぞ。その銅像は、人魚姫の像だな。
(弟子)あのー、それを先に言わないでほしいんですけど…。
(師匠)こんな見え見えのオチで納得できると思ってたのか。昔から“サゲは読んでも読まれるな”と言うじゃないか。
(弟子)それを言うなら、“酒は飲んでも飲まれるな”でしょ。
(師匠)つべこべ言わずに…。
(弟子)黙って聞いてください!
(師匠)ああ、そうだった。

 それから何十年か後の、ある秋の夜。その娘の銅像の下で、一羽のツバメが羽を休めていました。すると、上からポタリと滴が落ちてきました。雨かなと思って上を見ると、銅像の目から涙がこぼれているのでした。
 「どうしたの?」とツバメは問いかけましたが、銅像は何も答えません。よく見ると、銅像は裸です。かわいそうに、寒くて声も出せないんだなとツバメは思いました。そこで、ツバメは銅像に何か着せてあげることにしました。
 ここまで来るときに、葦がいっぱい生えていたのを思い出したツバメは、その川辺に飛んで行きました。葦を細かくちぎっては運び、運んでは銅像の脚にくっつけているうちに、ツバメは力尽きて銅像の下に倒れてしまいました。
 「ありがとう、ツバメさん」と、銅像が初めて声を出しました。「あなたのおかげで、やっと元の姿に戻れました」
 しかし、ツバメは何も答えません。よく見ると、ツバメは息もしていないようです。かわいそうに、疲れて死んでしまったのだなと銅像は思いました。そこで、銅像は、私の声と引き換えに、ツバメに命を与えてくださいと、神に祈りました。

 翌朝、村の子どもたちが、銅像に起きた奇跡を発見して、村中が大騒ぎになりました。娘の像が、人魚姫の像に変身していたのです。このニュースはあっと言う間に村中に広まって、男も女も大人も子どもも岸辺に集まって来ました。
 村人たちは口々にこんなことを言いました。
 「すると、やはり、あの言い伝えは本当だったんだな」
 「いや、よく見てみろ。あれは本物の鱗ではないぞ」
 「何か、もやもやとした海藻のようなものがくっついてるよ」
 「なるほど。人魚姫だけに、海のもずくだ」

(師匠)ばかもん。それを言うなら、“海のもくず”だろうが!
(弟子)ああ、私が苦労して考えたオチは、これで“水の泡”となりました。

 人魚姫の像は何か言いたそうにしていましたが、もう声が出せません。
 エジプトに向かって飛んでいるツバメが、一言。
 「それを言うなら、“海の泡”でしょ!」

――シャハラ亭ザード姫は、これ以上ぐだぐだになることを避けて、慎ましく口を噤んだ。

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 そろそろ引き上げようかと思っていると、奥の席にいた顔なじみが声をかけてきた。
 「イッパイ、つきあってくれないかい?」
 彼は返事を待たず、隣に移ってきた。
 「じゃあ、イッパイだけ」
 彼は内ポケットから取り出した物を、私のコースターの横に置いた。
 「うちのフルいショコのナカにあった」
 薄い合成樹脂製のケースは傷だらけで、罅割れもある。
 「ナンだとオモう?」
 光沢のある円盤が入っている。再生できる機械はないはずだ。
 「CD-ROMだな。どこかのセイケイのドラマでもハイってたのか?」
 「カンジだよ」
 「カンジだって?」
 「ひとつひとつのモジにイミがあるという、あのカンジだ」
 「しかし、それは…」
 「おまけにゴセンゾのニッキもハイってた。もちろんカンジをツカってカいてある」
 他の客はもういない。どうやら、彼の法螺話に最後まで付き合うしかなさそうだ。新しいグラスに少し口をつけると、彼は話し始めた。

 彼の御先祖の日記によると、漢字という文字が急に使われなくなったのは、インフルという疫病のせいだという。当時は、その疫病が数年おきに世界中で大流行して、大勢の死者が出ていたそうだ。
 ある年に流行した疫病は、毒性がなくて自覚症状もなく、死者は一人も出なかった。これは後になって分かったことだが、実は潜伏期が異常に長かったため感染したことに気付かなかっただけで、気付いたときには全人類が感染していた。
 最初に発症したのは日本人だった。そして、その症状は、漢字の読み書きが全く出来なくなるというものだった。このニュースは瞬く間に世界中を駆け巡ったが、すぐにジャパニーズ・ジョークとして片付けられた。たまたまその日が4月1日だったからだ。

 「ちょっとマってくれ」と私が口をはさむと、彼は不愉快そうな表情を浮かべた。
 「ナンだよ」
 「キョウはフルいレキホウでいうと、ナンガツナンニチだったかな」
 「よくワからんけど、ゴガツのチュージュンぐらいだろう」
 「そうか。またカツがれてるワケじゃないんだよな?」と、私が念を押すと、彼は愉快そうな顔になった。
 「エイプリル・フールというのは、イチネンにイッカイしかないよ」

 ところが実際は、その一日だけで世界中の感染者のほぼ全員が発症していた。漢字が使えなくなる症状だから、いまだに漢字を使っている日本人だけが自覚できたわけだ。日本人はパニックに陥った。

 翌日には、このニュースが再び世界を駆け巡って、「日本人は文字が見えなくなったそうだ」、「本を開くとどのページも白紙に見えるらしい」などというデマが広まり、いつの間にか「白紙病」という病名が付けられて、これが定着してしまった。
 もちろん、本が白紙に見えるということはなく、漢字の形はしっかり見えている。見えるけれども文字としては認識できなくなっているだけだ。彼の御先祖の言葉を借りると「漢字の部分だけが、まるで未知の外国語の文字のように、意味不明の図形に見える」ということだ。

 最初はパニックになっていた日本人も、漢字以外の文字なら読み書きできることから、次第に落ち着きを取り戻して、しばらくは漢字を使わない表記法でやり過ごすことにした。
 それで、日常生活に大きな支障がないことに気付いた日本人は、症状がおさまった後も、わざわざ漢字なんていう厄介な文字を使わくなったということだ。

 話を聞きおわった私は、一つだけ腑に落ちない点があったので、彼に尋ねた。
 「しかし、キミのゴセンゾは、そのニッキをカくときに、どうやってカンジをツカうことができたのかい?」
 「ああ、それはオレもギモンにオモった。それで、ほかのブンショをあちこちサガしてみて…」
 彼は、ここでグラスを空にした。
 「トウジはカンチョクという、あまりヒトにシられていないニュウリョクホウシキがあったことがワカったんだ」
 「ナンだ、それは?」
 こうなったら、もう一杯、付き合うしかなさそうだ。


〔転載者註〕会話文以外は、失われた漢字交じりの表記に改めました。

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 昔、むかし、ある国に、桃姫という姫君がおりました。殿様と奥方様は、まるで桃太郎が生まれたようだと喜んで、桃姫と名づけたそうです。

 桃姫が生まれたとき、三人の予言者がお城にやってきて、不吉な予言をしました。
 一人目は「十五になったとき、姫君は大猿に連れ去られるだろう」と言い、二人目は「十五になったとき、姫君は泡に包まれて海に沈むだろう」と言い、三人目は「十五になったとき、姫君は百年の眠りにつくだろう」と言いました。これを聞いた殿様は、この三人の予言者を牢屋に入れてしまいました。

 桃姫が十五になる前の晩、殿様の夢の中に一匹の亀が出てきて、こんなことを言いました。
 「昔、助けていただいた亀でございます。どうか今こそ御恩返しをさせてください。今日、あの海で最初に釣れたものを、桃姫様の身につけてください。そうすれば、必ずお守りします」

 目を覚ました殿様は、これは吉兆に違いないと思い、海へ行って釣りをしました。すると、大きな笊が釣れました。殿様は、この笊にとじ込められていた亀を海へ逃がしてやったことを思い出しました。

 お城に戻った殿様は、さっそく桃姫の背中にその笊をくくりつけました。すると、桃姫は後ろ向きに、ゆっくりと歩き始めました。驚いて止めようとしましたが、殿様は、なぜか桃姫には追い付けません。奥方様も家臣たちも、お城の中にいる人は誰もみな、なぜか桃姫には追い付けません。お城を出た桃姫は、海へと向かってゆっくりと後ろ歩きを続けました。町の人も海辺の人も、この国にいる人は誰もみな、なぜか桃姫には追い付けません。桃姫は、ゆっくりと後ろ向きに海に入っていきました。そして、泡に包まれて海の底へと沈んで行きました。

 殿様も奥方様も、城中の人たちも町や海辺の人たちも、桃姫が消えて行った海をみつめて嘆き悲しんでおりました。すると、海の中から桃姫が亀に乗って帰ってきました。桃姫は、竜宮城で百年の間ぐっすり眠っていたと言いました。そして、牢屋にいる三人の予言者に渡すようにと、乙姫様から玉手箱を預かってきたと言いました。

 そして、予言者たちが玉手箱をあけると、中から白い煙が出てきて、三人とも若返って十五年前の姿に戻ったということです。

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 昔、ある島国にジョナサンという名の少年がいました。ジョナサンは空想するのが大好きでした。毎日、窓から港を見ては、いろんなことを考えていました。

 今日も、ジョナサンは、港を見ながら空想をしています。港には大きな船が停泊していて、その上をカモメが飛び交っています。
 「大人になったら、あのカモメみたいに自由に空を飛んでみたいな…」
 ジョナサンは、そんなことを言ってみましたが、すぐに言い直しました。
 「いや、そっちじゃなかった。大人になったら、船に乗って世界中を旅してみたいな」
 世界中を旅行して、いろんな不思議な体験をするのがジョナサンの夢でした。

 夢といえば、夜、眠っているときにも、ジョナサンはいろんな不思議な夢を見るのでした。そしていつも、目が覚めるとちょっと困ったことになっているのですが、ジョナサンはそんなことも気にせずに、明るく楽しく過ごしていました。

 ある晩のこと、ジョナサンは、大男になった夢を見ました。最初は細い紐で体中を縛られていましたが、ジョナサンが大人しくしていると、小人たちが王様のところへ連れて行ってくれました。小さな可愛いお城でした。
 そこで、いろんなことをして遊んでいると、お城が火事になりました。でもすぐに、ジョナサンの活躍で火を消し止めることができました。

 目がさめると、ジョナサンの世界地図に新しい島ができていました。
 「大人になったら、どんな国に行こうかな…」
 そう考えながら、ジョナサンは胸をわくわくさせました。

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 ジョナサンは、少しだけ大人になりました。夢の中で火事を消しても、もう目が覚める心配はありません。

 そして、小人の国から無事に帰って来たジョナサンは、世界地図を眺めながら「今度は、どんな国に行けるのかな」と空想しました。でも、この地図に新しい国が描かれることがもうないのかと思うと、ちょっと残念な気もしました。

 ある夜、ジョナサンは夢の中で巨人の国に流れ着きました。欲張りな農夫に捕まって見世物にされましたが、ジョナサンの芸が評判になって、それを聞いた王妃がジョナサンを買い取ってくれました。お城に行っても、ジョナサンは人気者です。女官たちは、面白がって丸裸にしたジョナサンを抱きかかえたり、ジョナサンの目の前で素っ裸になって着替えたりします。ジョナサンは、じっと我慢していましたが、その中でも一番の美人が、ジョナサンを乳首に跨がらせたり、その他いろいろな悪戯をやっているうちに…。

 ジョナサンが目を覚ますと、世界地図に新しい国ができていました。

 世界はまだまだ広いぞ。頑張れ、ジョナサン!

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