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一概には言えないけれど

 一口に漢直といっても、いろんなタイプがあるので一概には言えませんが、一般的な入力方法を使う場合とは少し異なる、漢直に特有の条件があるように思えるので、そのことについて考えてみます。

漢直に特有の条件

 まず、打ち方を知らなければキートップを見ても入力できない(*1)という点が、キートップを見ればとりあえず入力できる一般的な入力方法とは異なります。

 つまり、漢直の場合は、とにかく文字の打ち方を“覚える”ことが必要なわけですが、この“覚える”というのは頭で暗記するのとは少し違います。頭ではなく体で“覚える”のだということです。

 体で“覚える”というのも記憶には違いないのですが、それは、体の中にある自宅周辺の略図のような記憶(*2)だと思うのです。自宅周辺の地図を正確に描くことはできなくても「この大通りのラーメン屋の角を右折して、道なりに進んでコンビニの角細い道を左に入る」というような手書きの略図なら何も見なくても簡単に描けます。自宅周辺を上空から見下ろしたことはなくても、自分で何度も歩いた経験から、そういう略図をイメージできるような記憶があるわけです。きっちり90度でない角が直角になっていたり、少し曲がっている道がまっすぐであっても、それで問題ないのです。

 これをキーボードに当てはめると、実際のキーボードのキーが横方向に微妙にずれてジグザグになっていても、記憶するのはリアルなキーボードの形でなく、単純な格子状の略図だけで充分だということになります。実際のキーのずれは、使っているうちに指が無意識に補正するので、ずれているということは意識しなくなります。

 ここまでは、漢直以外の入力方法にも共通することだろうと思います。ただ、一般の入力方法の場合は、キーボード自体か原寸大の地図になっているので、普通はわさわさ略図を作ったりしないという違いはあります。

打鍵表という略図

 漢直の場合は、キーボードを見ても文字の打ち方が分からないので、略図の現物が必要になります。それが、ストローク表とか打鍵表などと呼ばれるものです。「これを打って、これを打つ」という情報が、その結果入力される文字自体の位置によってコンパクトに(平面上に折りたたまれた形式で)表現されています。

 おそらく、初めて見た人は「こんなものは、とても覚えられない」と思うでしょうが、打鍵表は“道順を確かめるための略図”なので、これ自体を丸暗記する必要はまったくありません。詳しくは、 2年前の記事3日前の記事 を御覧ください。

そこで、格子配列ですよ。

 エルゴノミック・キーボードの中には、物理的なキー配列が格子状になっているキーボードがあります。打鍵表と同じように、キーが格子状に並んでいるキーボードであれば、イメージと現物のずれを補正する必要はほとんどなくなります。だから、漢直には合うだろうと思っていたのです。

 そんなわけで、昨日のアンケートの選択肢には格子配列のキーボードだけを入れてみました。あまり大きな差がなくてホッとしているところです。

 漢直だけでなくローマ字入力やJIS仮名入力や親指シフトにも合うので、興味のある方は機会があったら一度試してみてください。


 この記事は漢直 Advent Calendar 2015のために書いたものです。

(*1) キートップを見ても入力できない 連想式の漢直なら、ある程度までは連想で打ち方が分かるようになっていますが、全部分かるわけではありません。完全な無連想式であれば、どう打てばいいのか全く見当もつきません。

(*2) 体の中にある自宅周辺の略図のような記憶 酔っ払って帰宅した経験のある方なら、足が道順を知っていることに異論はないだろうと思います。

アンケートです

 この中で漢直に合うキーボードはどれでしょうか?(選択肢はABC順です)


 この記事は漢直 Advent Calendar 2015に参加します。またまた手抜きですみません。


(2015/12/20:追記)

 御覧のように、ErgoDox、Kinesis、TypeMatrixが各2票、Trulyは1票という結果になりました。投票してくださった皆様、ありがとうございました。

 この結果を見ながら、漢直とキーボードの関係について(そもそも、なぜこの選択肢にしたのかなども含めて)何か書けないかと考えています。

そもそも何故?

 まず、何故こんな手の込んだことをやるのかについて、ざっと説明します。

 15年ほど前から、私はDvorak配列を使っています。それ以前から、日本語の入力には漢直を使っていたので、Qwerty配列からDvorak配列への乗り換えは簡単でした。漢直の設定をIMEのローマ字テーブルに入れる(*1)という方法なので、その漢直用のテーブルのローマ字部分をQwertyからDvorakに置換するだけで済みました。つまり、英字配列を変えても日本語の入力方法に影響しなかったわけです。

「JIS仮名+漢直」と「親指シフト+漢直」の違い

 今年の夏、急に、仮名入力に漢直を混ぜる方法を思いついてしまいました。漢直のストロークをローマ字入力モードで渡すのではなく、仮名入力モードで(仮名文字列として)渡してしまおうというわけです。

 実際にやってみると、JIS仮名配列ではうまくいきましたが、親指シフトの場合は「。」と「.」が区別できずに(*2)行き詰まりました。

 しかし、漢直のストロークとして扱うためには、どうしても「。」と「.」は区別できなくてはなりません。現に、これまでずっと、ローマ字入力モードの漢直では何の問題もなく「。」と「.」を区別できていたので、このやり方ならうまくいくはずです。

親指シフトをローマ字テーブルで入力する

 そこで、「。」や「.」のキーを(アルファベットとして)ローマ字入力モードのIMEに渡して、ローマ字テーブルで「。」や「.」に変換するようにしました。部分的にローマ字入力モードにはできないので、当然、他の仮名や記号等も全部ローマ字テーブルで設定することになります。ローマ字テーブルで漢直のストロークを設定するのと同じように、仮名の“よみ”とは無関係に、キーの位置とシフト状態を示す中間コードとして扱うことにするわけです。

 以下は、そのために作ったDvorakJ用の設定内容(*)です。

同時に打鍵する配列

/*
 *  encode-oyayubi-qwerty-mu-hen-sp-kana.txt
 *
 *  ・左右の親指で同時打鍵シフト入力するためのDvorakJの設定ファイルです
 *      いわゆる“親指シフト方式”に限らず、親指でシフトする方式に使用できます
 *      実際に入力する文字(列)ではなく、中間コードを出力します
 *      IMEのローマ字入力モードで目的の文字(列)に変換することを想定しています
 *
 *  ・中間コードには、通常のQwerty配列の文字を使用し、以下の記号を前置します
 *      'ô':バックスラッシュの打鍵('\'と区別するため)
 *      'ŝ':通常のシフト打鍵
 *      'ò':左親指との同時打鍵 {無変換}
 *      'ó':右親指との同時打鍵 {変換}
 *      'ō':両親指との同時打鍵 {無変換}+{変換}    (※)オプション
 *      'ė':拡張1との同時打鍵 {空白}              (※)オプション
 *      'ë':拡張2との同時打鍵 {ひらがな}          (※)オプション
 *
 *      (※)コメントで無効にしてあります(必要に応じてコメントを外してください)
 *
 *  ・これは、日本語入力用の設定ファイルです
 *      必ず「日本語入力用配列を日本語入力時にのみ使用する」を選択してください
 *
 */


/* 文字(単独打鍵) */
[
1|2|3|4|5|6|7|8|9|0|{-}|{^}|{\}|
q|w|e|r|t|y|u|i|o|p|{@}|{[}|
a|s|d|f|g|h|j|k|l|;|{:}|{]}|
z|x|c|v|b|n|m|,|.|/|ô{\}|
]


/* シフト(ŝ) + 文字 */
-shift[
ŝ1|ŝ2|ŝ3|ŝ4|ŝ5|ŝ6|ŝ7|ŝ8|ŝ9|ŝ0|ŝ{-}|ŝ{^}|ŝ{\}|
ŝq|ŝw|ŝe|ŝr|ŝt|ŝy|ŝu|ŝi|ŝo|ŝp|ŝ{@}|ŝ{[}|
ŝa|ŝs|ŝd|ŝf|ŝg|ŝh|ŝj|ŝk|ŝl|ŝ;|ŝ{:}|ŝ{]}|
ŝz|ŝx|ŝc|ŝv|ŝb|ŝn|ŝm|ŝ,|ŝ.|ŝ/|ŝô{\}|
]


/* 左親指(ò) + 文字 */
-muhenkan[
ò1|ò2|ò3|ò4|ò5|ò6|ò7|ò8|ò9|ò0|ò{-}|ò{^}|ò{\}|
òq|òw|òe|òr|òt|òy|òu|òi|òo|òp|ò{@}|ò{[}|
òa|òs|òd|òf|òg|òh|òj|òk|òl|ò;|ò{:}|ò{]}|
òz|òx|òc|òv|òb|òn|òm|ò,|ò.|ò/|òô{\}|
{無変換}|
]


/* 右親指(ó) + 文字 */
-henkan[
ó1|ó2|ó3|ó4|ó5|ó6|ó7|ó8|ó9|ó0|ó{-}|ó{^}|ó{\}|
óq|ów|óe|ór|ót|óy|óu|ói|óo|óp|ó{@}|ó{[}|
óa|ós|ód|óf|óg|óh|ój|ók|ól|ó;|ó{:}|ó{]}|
óz|óx|óc|óv|ób|ón|óm|ó,|ó.|ó/|óô{\}|
{変換}|
]

〔オプションの部分は省略します〕

 このように、敢えてDvorakJでは実際に入力する文字を指定してません。その代わりに、論理的な打鍵情報を中間コード化することに徹しています。

 文字キーの中間コードに関しては(独自の符号を用いると煩雑になるので)Qwerty配列の文字をそのまま使っています。もちろんDvorak配列バージョンを作っても構いません。

 以下のように、Google日本語入力のローマ字テーブルの「入力」欄に中間コードを入れ、「出力」欄には目的の文字を入れます。

(表1) ローマ字テーブルの設定例:親指シフト(NICOLA-J)(*4)

最上段 上段
単独左親指右親指SHIFT 単独左親指右親指SHIFT
入力出力入力出力入力出力入力出力 入力出力入力出力入力出力入力出力
1 ò1 ó1 ŝ1 q òq óq ŝq
2 ò2 ó2 ŝ2 w òw ów ŝw
3 ò3 ó3 ŝ3 e òe óe ŝe
4 ò4 ó4 ŝ4 r òr ór ŝr
5 ò5 ó5 ŝ5 t òt ót ŝt
6 ò6 ó6 ŝ6 y òy óy ŝy
7 ò7 ó7 ŝ7 u òu óu ŝu
8 ò8 ó8 ŝ8 i òi ói ŝi
9 ò9 ó9 ŝ9 o òo óo ŝo
0 ò0 ó0 ŝ0 p òp óp ŝp
- ò- ó- ŝ- @ ò@ ó@ ŝ@
^ ò^ ó^ ŝ^ [ ò[ ó[ ŝ[
\ ò\ ó\ ŝ\
中段 下段
単独左親指右親指SHIFT 単独左親指右親指SHIFT
入力出力入力出力入力出力入力出力 入力出力入力出力入力出力入力出力
a òa óa ŝa z òz óz ŝz
s òs ós ŝs x òx óx ŝx
d òd ód ŝd c òc óc ŝc
f òf óf ŝf v òv óv ŝv
g òg óg ŝg b òb ób ŝb
h òh óh ŝh n òn ón ŝn
j òj ój ŝj m òm óm ŝm
k òk ók ŝk , ò, ó, ŝ,
l òl ól ŝl . ò. ó. ŝ.
; ò; ó; ŝ; / ò/ ó/ ŝ/
: ò: ó: ŝ: ô\ òô\_ óô\ ŝô\_
] ò] ó] ŝ]

 どの打鍵でも、通常のローマ字入力の「あ」「い」「う」「え」「お」と同じように即座に仮名が入力されるので、ローマ字入力を使っている感じはしないと思います。(目を凝らしてよく見れば、何かが一瞬表示されていることは分かりますが、入力の邪魔になるほどではありません)

各種キー配列への対応

 ここまでは親指シフト(NICOLA-J)を例にして説明しましたが、各種配列用の入力ローマ字テーブルを作ることによって、TRONなどの1打鍵系の仮名配列(*5)に対応できます。また、JISや新JISを親指でシフトできるようにするなどの応用も可能です。

この続きは?

 16日の「親指シフトに漢直をじわじわ混ぜていく方法」に詳しく書く予定です。


 この記事はDvorak Advent Calendar 2015漢直 Advent Calendar 2015のために書いたものです。

(*1) 漢直の設定をIMEのローマ字テーブルに入れる 詳しくは、先日の「仮名漢|漢直」問題を御覧ください。

(*2) 親指シフトの場合は「。」と「.」が区別できずに 日本語の文章を入力する場合は「。」か「.」のどちらか片方を使うのが普通なので、IMEの方でどちらにするかを選べるようになっています。たぶん、その処理のせいで片方しか入力できないのだろうと思われます。JIS仮名配列の場合は、漢直のストロークに句読点などの記号が入らないため、このような問題が生じなかったのです。

(*3) DvorakJ用の設定内容 親指キーの組み合わせは、{無変換}と{変換}のほかに、{無変換}と{空白}、{空白}と{変換}の2種類があります。どの組み合わせでも、IMEは同じ中間コードを受け取るようになっています。

(*4) 親指シフト(NICOLA-J) NICOLA規格 | NICOLA 日本語入力コンソーシアムを参考にして、文字キーを[BS]に用いない「NICOLA-J型」を選びました。また、ここからリンクされているQ's Nicolatter 8 の配列図にならって、未定義の部分を「●」としています。

(*5) TRONなどの1打鍵系の仮名配列 漢字のストロークを単独打鍵の文字の組み合わせで確実に判定できるものであれば、どのような配列でも問題ありません。なお、TRONキーボードには左右の親指を同時に押した状態で入力する文字があるので、「両親指との同時打鍵」をオプションとして追加できるようにしました。

q2d.pl

 漢直用のローマ字テーブルをQwerty配列からDvorak配列に変換するperlスクリプトです。

#
# q2d.pl - Qwerty配列用のローマ字テーブルをDvorak配列用に変換する
#
# 使い方: perl q2d.pl < qwerty-table > dvorak-table
#
%q2d = (
	'1', '1',	'2', '2',	'3', '3',	'4', '4',	'5', '5',
	'6', '6',	'7', '7',	'8', '8',	'9', '9',	'0', '0',
	'q','\'',	'w', ',',	'e', '.',	'r', 'p',	't', 'y',
	'y', 'f',	'u', 'g',	'i', 'c',	'o', 'r',	'p', 'l',
	'a', 'a',	's', 'o',	'd', 'e',	'f', 'u',	'g', 'i',
	'h', 'd',	'j', 'h',	'k', 't',	'l', 'n',	';', 's',
	'z', ';',	'x', 'q',	'c', 'j',	'v', 'k',	'b', 'x',
	'n', 'b',	'm', 'm',	',', 'w',	'.', 'v',	'/', 'z',
#
#	'google-ime_tutc-kigo.utf'で、
#	ストローク内の【 】を【'】で代用している箇所を【-】に置換する
#
	'\'', '-',
);

while (<>) {
	chop;
	if (/^([\x20-\x7e]+)\t(.+)$/) {
		($stroke, $kanji) = ($1, $2);
		@a = split(//, $stroke);
		$stroke = "";
		for $x (@a) {
			if (defined($q2d{$x})) {
				$stroke .= $q2d{$x};
			} else {
				$stroke .= $x;
			}
		}
		printf("%s\t%s\n", $stroke, $kanji);
	} else {
		printf("%s\n", $_);
	}
}

(※) Google日本語入力のローマ字テーブルの書式に合わせています。他の書式の場合は適当に変更してお使いください。


 この記事は漢直 Advent Calendar 2015のために書いたものです。

打鍵数は参考程度にするのがよい

 まず、前回の「打鍵数はこれでいいのか?」のおさらいから。「各入力方法の仕様比較」の表を、シフトを含む打鍵数で書き換えてみた。

表1

  親指シフトキーボード JISキーボード
文字キーの数 48 48
シフトキーの位置 中央(親指シフト) 両サイド(小指シフト)
入力モード 仮名モード 英数モード 仮名モード 英数モード
文字のレイアウト NICOLA Qwerty配列 JIS仮名配列 Qwerty配列
仮名の入力方法 かな入力 ローマ字入力 かな入力 ローマ字入力
打鍵数 清音 1 or
2(同側シフト)
(JISキーボードと同じ) 1 or
2(「を」)
1(母音) or
2(子音+母音)
(半)濁音 2(クロスシフト) 2(清音+(半)濁点) 2(子音+母音)
撥音(「ん」) 1 1 1(n) or
2(nn)
促音(「っ」) 2(同側シフト) 2(シフト) 1(次の文字の子音) or
3(xtu)
拗音(「きゃ」等) 3(単独+同側シフト) or
4(クロスシフト+同側シフト)
3(清音+シフト) or
4((半)濁音+シフト)
2(「じゃ」「ふぁ」等) or
3

 要するに、NICOLAはJIS仮名よりも(「を」を除く)同側シフトの仮名の分だけ打鍵数が多くなり、ローマ字入力に関しては、親指シフトキーボードとJISキーボードには何ら違いがない(元の表で省略されているのはそのためだ)。

 これではJISキーボードで仮名入力やローマ字入力を使っている人にとって、 親指シフトキーボードには何の魅力もないことになる。むしろ、不公平な比較アニメーションを見せられて、親指シフトキーボードに反感を抱く可能性すらある。

 そこで、「キーボード入力比較」のアニメーションの例文で溜飲を下げていただこう。(煩雑になるので、仮名に開いたテキストを使い、仮名漢字変換・改行・右寄せ等の打鍵は省略した)

【例文】(144文字)
はいけい なつのひかりもいくぶんしのぎやすくなりましたが、みなさまいかがおすごし
でしょうか。ほんじつ、まごにせがまれてちかくのうみへまいりましたら、りょうしさん
のいえで、とてもしんせんなひものをみつけました。あなたがおすきなのをおもいだして
、おおくりいたしましたから、ごしょうみください。なまぼしもありますから、はやくお
めしあがりください。とりいそぎ、おしらせまで。けいぐ

【NICOLA】(267打鍵)
(は)(い)(け)(い)( )((左て))(つ)((右き))(ひ)(か)((左た))((左せ))(い)(く)((右ふ))
(ん)(し)((右き))((左き))((左ふ))(す)(く)((左て))((左た))((右つ))(し)(た)((右か))
(、)((右は))((左て))(さ)((右つ))(い)(か)((右か))((右と))(す)((右こ))(し)((右て))
(し)((右い))(う)(か)(。)(ほ)(ん)((右し))(つ)(、)((右つ))((右こ))((右ち))(せ)((右
か))((右つ))((左さ))(て)(ち)(か)(く)((右き))(う)((右は))(へ)((右つ))(い)((左た))
((右つ))(し)(た)(ら)(、)((左た))((右い))(う)(し)(さ)(ん)((右き))(い)((左か))((右
て))(、)(と)(て)((左せ))(し)(ん)(せ)(ん)((左て))(ひ)((左せ))((右き))((左う))((右
は))(つ)(け)((右つ))(し)(た)(。)((左し))((左て))(た)((右か))((右と))(す)(き)((左
て))((右き))((左う))((右と))((左せ))(い)((右た))(し)(て)(、)((右と))((右と))(く)
((左た))(い)(た)(し)((右つ))(し)(た)(か)(ら)(、)((右こ))(し)((右い))(う)((右は))
(く)((右た))(さ)(い)(。)((左て))((右つ))((左ほ))(し)((左せ))((左し))((左た))((右
つ))(す)(か)(ら)(、)(は)((左ふ))(く)((右と))(め)(し)((左し))((右か))((左た))(く)
((右た))(さ)(い)(。)(と)((左た))(い)(そ)((左き))(、)((右と))(し)(ら)(せ)((右つ))
((右て))(。)(け)(い)((左く))

【JIS仮名】(223打鍵)
(は)(い)(け)(い)( )(な)(つ)(の)(ひ)(か)(り)(も)(い)(く)(ふ)(゛)(ん)(し)(の)(き)
(゛)(や)(す)(く)(な)(り)(ま)(し)(た)(か)(゛)(L(ね))(み)(な)(さ)(ま)(い)(か)(か)
(゛)(お)(す)(こ)(゛)(し)(て)(゛)(し)(L(よ))(う)(か)(L(る))(ほ)(ん)(し)(゛)(つ)
(L(ね))(ま)(こ)(゛)(に)(せ)(か)(゛)(ま)(れ)(て)(ち)(か)(く)(の)(う)(み)(へ)(ま)
(い)(り)(ま)(し)(た)(ら)(L(ね))(り)(L(よ))(う)(し)(さ)(ん)(の)(い)(え)(て)(゛)
(L(ね))(と)(て)(も)(し)(ん)(せ)(ん)(な)(ひ)(も)(の)(L(わ))(み)(つ)(け)(ま)(し)
(た)(。)(あ)(な)(た)(か)(゛)(お)(す)(き)(な)(の)(L(わ))(お)(も)(い)(た)(゛)(し)
(て)(L(ね))(お)(お)(く)(り)(い)(た)(し)(ま)(し)(た)(か)(ら)(L(ね))(こ)(゛)(し)
(L(よ))(う)(み)(く)(た)(゛)(さ)(い)(L(る))(な)(ま)(ほ)(゛)(し)(も)(あ)(り)(ま)
(す)(か)(ら)(L(ね))(は)(や)(く)(お)(め)(し)(あ)(か)(゛)(り)(く)(た)(゛)(さ)(い)
(L(る))(と)(り)(い)(そ)(き)(゛)(L(ね))(お)(し)(ら)(せ)(ま)(て)(゛)(L(る))(け)
(い)(く)(゛)

【Qwertyローマ字】(325打鍵)
(h)(a)(i)(k)(e)(i)( )(n)(a)(t)(u)(n)(o)(h)(i)(k)(a)(r)(i)(m)
(o)(i)(k)(u)(b)(u)(n)(s)(i)(n)(o)(g)(i)(y)(a)(s)(u)(k)(u)(n)
(a)(r)(i)(m)(a)(s)(i)(t)(a)(g)(a)(,)(m)(i)(n)(a)(s)(a)(m)(a)
(i)(k)(a)(g)(a)(o)(s)(u)(g)(o)(s)(i)(d)(e)(s)(h)(o)(u)(k)(a)
(.)(h)(o)(n)(j)(i)(t)(u)(,)(m)(a)(g)(o)(n)(i)(s)(e)(g)(a)(m)
(a)(r)(e)(t)(e)(t)(i)(k)(a)(k)(u)(n)(o)(u)(m)(i)(h)(e)(m)(a)
(i)(r)(i)(m)(a)(s)(i)(t)(a)(r)(a)(,)(r)(y)(o)(u)(s)(i)(s)(a)
(n)(n)(n)(o)(i)(e)(d)(e)(、)(t)(o)(t)(e)(m)(o)(s)(i)(n)(s)(e)
(n)(n)(n)(a)(h)(i)(m)(o)(n)(o)(w)(o)(m)(i)(t)(u)(k)(e)(m)(a)
(s)(i)(t)(a)(.)(a)(n)(a)(t)(a)(g)(a)(o)(s)(u)(k)(i)(n)(a)(n)
(o)(w)(o)(o)(m)(o)(i)(d)(a)(s)(i)(t)(e)(,)(o)(o)(k)(u)(r)(i)
(i)(t)(a)(s)(i)(m)(a)(s)(i)(t)(a)(k)(a)(r)(a)(,)(g)(o)(s)(h)
(o)(u)(m)(i)(k)(u)(d)(a)(s)(a)(i)(.)(n)(a)(m)(a)(b)(o)(s)(i)
(m)(o)(a)(r)(i)(m)(a)(s)(u)(k)(a)(r)(a)(,)(h)(a)(y)(a)(k)(u)
(o)(m)(e)(s)(i)(a)(g)(a)(r)(i)(k)(u)(d)(a)(s)(a)(i)(.)(t)(o)
(r)(i)(i)(s)(o)(g)(i)(,)(o)(s)(i)(r)(a)(s)(e)(m)(a)(d)(e)(.)
(k)(e)(i)(g)(u)

【TRONカナ】(234打鍵)
(は)(い)(右(の))(い)( )(な)(つ)(の)(左(ら))(か)(り)(も)(い)(く)((左右(も)))(ん)
(し)(の)(左(き))(右(ん))(す)(く)(な)(り)(ま)(し)(た)(右(か))(、)(右(し))(な)(さ)
(ま)(い)(か)(右(か))(右(を))(す)(右(こ))(し)(右(て))(し)(ょ)(う)(か)(。)(左(ょ))
(ん)(左(し))(つ)(、)(ま)(右(こ))(に)(左(に))(右(か))(ま)(れ)(て)(右(い))(か)(く)
(の)(う)(右(し))(左(な))(ま)(い)(り)(ま)(し)(た)(ら)(、)(り)(ょ)(う)(し)(さ)(ん)
(の)(い)(右(き))(右(て))(、)(と)(て)(も)(し)(ん)(左(に))(ん)(な)(左(ら))(も)(の)
(を)(右(し))(つ)(右(の))(ま)(し)(た)(。)(あ)(な)(た)(右(か))(右(を))(す)(き)(な)
(の)(を)(右(を))(も)(い)(右(た))(し)(て)(、)(右(を))(右(を))(く)(り)(い)(た)(し)
(ま)(し)(た)(か)(ら)(、)(右(こ))(し)(ょ)(う)(右(し))(く)(右(た))(さ)(い)(。)(な)
(ま)((左右(ょ)))(し)(も)(あ)(り)(ま)(す)(か)(ら)(、)(は)(右(ん))(く)(右(を))(右(
く))(し)(あ)(右(か))(り)(く)(右(た))(さ)(い)(。)(と)(り)(い)(左(る))(左(き))(、)
(右(を))(し)(ら)(左(に))(ま)(右(て))(。)(右(の))(い)(左(く))

【M式】(321打鍵)
(H)(Ai)(K)(Ei)( )(N)(母(Ai))(N)(O)(H)(I)(K)(A)(R)(I)(M)(o)(i)(K)
(u)(B)(u)(子(W))(S)(i)(N)(o)(G)(i)(Y)(a)(S)(u)(K)(u)(N)(a)(R)
(i)(M)(a)(S)(i)(T)(a)(G)(a)(、)(M)(I)(N)(A)(S)(A)(M)(A)(i)(K)
(a)(G)(a)(o)(S)(U)(G)(O)(S)(i)(D)(e)(子(S))(o)(u)(K)(a)(子(、))
(H)(On)(Z)(母(Ui))(、)(M)(A)(G)(O)(N)(i)(S)(e)(G)(a)(M)(a)(R)(e)
(T)(e)(T)(I)(K)(A)(K)(u)(N)(o)(U)(M)(I)(H)(e)(M)(A)(I)(R)(i)
(M)(a)(S)(i)(T)(a)(R)(a)(、)(子(R))(Ou)(S)(I)(S)(a)(子(W))(N)(o)
(I)(E)(D)(e)(、)(T)(o)(T)(e)(M)(o)(S)(母(i))(S)(母(e))(N)(a)(H)
(I)(M)(O)(N)(O)(W)(o)(M)(I)(T)(u)(K)(e)(M)(a)(S)(i)(T)(a)(。)
(a)(N)(a)(T)(a)(G)(a)(o)(S)(U)(K)(i)(N)(a)(N)(o)(W)(o)(O)(M)
(O)(i)(D)(A)(S)(i)(T)(e)(、)(o)(O)(K)(U)(R)(i)(i)(T)(a)(S)(i)
(M)(a)(S)(i)(T)(a)(K)(a)(R)(a)(、)(G)(O)(子(S))(Ou)(M)(I)(K)(u)
(D)(a)(S)(a)(i)(子(、))(N)(A)(M)(A)(B)(O)(S)(I)(M)(o)(a)(R)(i)
(M)(a)(S)(u)(K)(a)(R)(a)(、)(H)(A)(Y)(A)(K)(u)(o)(M)(E)(S)(i)
(a)(G)(a)(R)(i)(K)(u)(D)(a)(S)(a)(i)(子(、))(T)(O)(R)(i)(I)(S)
(O)(G)(i)(、)(o)(S)(i)(R)(a)(S)(e)(M)(a)(D)(e)(子(、))(K)(Ei)(G)
(u)

〔凡例〕
 左:左親指シフト
 右:右親指シフト
 L:左英字シフト
 R:右英字シフト
 子:子音シフト(左親指)
 母:母音シフト(右親指)
 その他:ノーマル打鍵時の仮名、記号、および(ローマ字変換前の)英数記号

 親指でシフトする方式なので無視するわけにもいかないと思い、TRONカナ配列とM式についても調べてみた。

 TRONカナ配列は、NICOLAの「清音のクロスシフトで濁音」という制約がなく、高頻度の仮名が単独打鍵となっているため、シフトを打つ回数が少ない。

 M式は、子音と母音の組み合わせをベースにして撥音・促音・拗音などを子音シフトと母音シフトで省打鍵化しているが、シフト回数を加算すると、その効果が相殺されている。

 この結果を見た限りでは、JIS仮名が最も打鍵数が少なく、Qwertyローマ字も打鍵数はそれほど多くはない。打ちやすさは他の最適化された配列に比べれば低くなるだろう。シフト操作とのトレードオフだから、当然、シフト操作のコストをどう計算するかで意見が分かれるはずだ。もっと正確に計算するにはキーの位置や運指パターンなども評価すべきだということになり、諸説入り乱れてキーボードを選ぶ前にどの説を選ぶのかという難しい問題になってしまう。結局、データを参考にしつつ、実物のキーボードと自分の手で試してみるしかないだろう。

親指シフトの仮名縛りを解く方法

 ところで、なぜ親指シフトキーボードは「親指シフト」という特定の仮名の配列や入力方法と抱き合わせになっているのだろうか。親指シフトキーがローマ字入力やJIS仮名入力のユーザーにも有効に活用できれば、小指でしかシフトできないキーボードに不満を感じている多くの人に支持されるのではないかと思うのだ。(※1)

 キーボード全体の物理的なデザイン/各キーの論理的な配列/同時打鍵シフトという入力方法が一体となってこそ真価を発揮できるというのは理解できるけれども、キー配列やシフト方法がオプションで選べた方がありがたいし面白い。もしも自由にカスタマイズできるのなら、親指シフトキーボードという土台の上で自分好みの配列を自作して快適な日本語入力を楽しむことができるだろう。

 そんなことを考えながら、以下のような表を作ってみた。キーボード自体を比較するわけではないので、キーボードの名前を記入する項目はない。

表2


シフトキーの種別
親指 小指 中指
日本語入力 仮名漢字変換 仮名入力 NICOLA
TRONカナ配列
JIS仮名配列
花配列
ローマ字入力 NCOLA?
M式
Qwerty配列
Dvorak配列
超多段シフト
漢字直接入力
2ストローク系 T-code
TUT-code
欧米語入力(※2) Qwerty配列
Dvorak配列
多言語入力(※3)

 この表を見れば分かるように、親指シフトキーボードが活躍できるエリアがたくさん残っている。まずは手始めにローマ字入力に親指シフトを取り入れてはどうだろうか? 「ローマ字入力にシフトキーなんか使わないだろう」なんて思った人には、「SKK 日本語入力」というキーワードで検索することをおすすめする。思っていたよりも世界は広い。


(※1)
エスリルのキーボード「NISSE」の「キーキャップの仕様別の割合」を見ると「親指シフト」を選ぶ人が20%いることが分かる。その逆に、JIS仮名仕様の「親指シフトキーボード」があったらどうだろう。親指でシフトできれば拗促音の入力が楽になるはずだ。英文やローマ字入力についても、Dvorak配列が選択できて親指でシフトできるとなれば、使ってみたいと思う人は今より増えるだろう。
(※2)
詳しくは知らないが、ドイツ語やフランス語などを入力する際に使うデッドキーはキーボードの片隅に追いやられている。これを親指シフトで入力できるようにすれば便利になるかもしれない。
(※3)
最近「親指シフトを世界に」というサイトを教えていただいて、僕のような単なる 思いつきではなく真面目に研究されている方々がいることに感銘を受け、日本語キーボードから国際的なキーボードへと発展することを願って「多言語入力」の欄を追加した。

打鍵数はこれでいいのか?

はじめに

 以前から気になっていたことだが、NICOLAの公式サイトにある比較アニメーションには違和感がある。親指シフト入力が優れた日本語入力方式であることを否定するつもりはないが、この比較方法には何だかアンフェアな匂いを感じるのだ。

不公平な打鍵の数えかた

NICOLA-Romaji.jpg

 「ニコラ」がいきなり片仮名で入力されているのは、どちらも同じだからまだいいとして、ローマ字入力で「つ」を「tsu」、母音の前ではない「ん」を「nn」で入力しているのは不自然だ。それに、ちょくちょく親指シフトキーが押されているのに、その分は打鍵数としてカウントされていない。「圧倒的な打鍵数の違い」を出すために意図的にやっているのではないだろうか?

 “《 「JISかな入力」を含む入力比較アニメーションはこちらへ 》”という案内があったので、もちろんそれも開いてみた。

NICOLA-JIS-Romaji.jpg

 どの方式でも同じペースで打鍵することを想定して入力にかかる時間を比較しているらしいことは一応理解できたが、このアニメーションでは速すぎて、どのように打鍵をカウントしているのかがよく分からない。

 そこで、「各入力方法の仕様比較」というページを見てみた。

NICOLA-Hikaku.jpg

 この表の「打鍵に必要なストローク数」という項目を見ると、親指シフトはすべて「1ストローク」となっているので、1文字単位で打鍵数を比較しようとしているのだと分かる。ところが、よく見てみると怪しいところがある。

 清音・濁音・半濁音・促音・句読点が1文字だというのはいいけれども、拗音というのは普通「きゃ」「きゅ」「きょ」のように2文字で表記するので、親指シフトで「1打鍵」というのは事実に反している。仮に拗音を小書きの「ゃ」「ゅ」「ょ」のことだと解釈すれば、JIS仮名で「2ストローク」というのはシフトをカウントしていることになる(句読点もJIS仮名では「2ストローク」となっているので、そう解釈するしかない)。つまり、「親指シフトはカウントしないが小指シフトはカウントする」ということだ。

 ローマ字入力についても、濁音と半濁音が「2 or 3ストローク」、拗音・促音が「1 or 2ストローク」となっているのがどういうことなのかよく分からない。一般的なローマ字入力では単独の「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」を2ストローク以下で打つ方法はない。拗音の場合は前の仮名、促音の場合は後の仮名と合わせて「3ストローク」となるのを2つに分けたとも考えられるが、そういう説明はどこにも書いてない。普通に2文字単位で比較した方が分かりやすいし実態にも合っているだろう。

 数字だけは「かなモードのままで入力可能」などと打鍵数とは直接関係ないことが書いてあるのも理解に苦しむ。(上の方には親指シフトキーボードの「かな/英字配列」が「3段」で「かな/英字キー数」が「30キー」と書いてある。これではどうやって数字を打つのか分からない)

 「打鍵数と入力速度比較」や「指の使用率比較」にも突っ込みどころがいくつかあるけれども割愛する。

 要するに、どんな基準で比較しているのかが不明瞭で、もしかすると親指シフトに有利な結果を出すために恣意的な方法で比較しているのではないかと疑う余地ができてしまっているのだ。

公平な打鍵の数えかた

 どんな方式に対しても公平な数えかたをするには、キー操作によって発生するキーコードを機械的にカウントするのがいいだろう。そのキーコードがどのように解釈されて、どの文字が入力されるのかなどという各方式の内部事情から独立した中立的な基準として使えるはずだ。

 実際のキーコードをそのまま書くと煩雑になるので、単純化して、キーが押されたことを示す“(”と離されたことを示す“)”の内側にキーの識別子を入れることにする。つまり、“(x)”は、xが押されてxが離された(単独打鍵)を示すわけだ。

  1. 逐次打鍵
    • (x)(x) : x押 ・ x離 ・ x押 ・ x離
    • (x)(y) : x押 ・ x離 ・ y押 ・ y離
  2. シフト打鍵
    • (x(y)) : x押 ・ y押 ・ y離 ・ x離
    • ((x)y) : x押 ・ y押 ・ x離 ・ y離
  3. 同時打鍵
    • ((xy)) : xy押 ・ xy離 (xyは順不同)

 逐次打鍵は説明不要だろう。しかし、逐次打鍵とシフト打鍵の区別は曖昧で、各方式の解釈に依存することになる。複数のキーを続けて打つ場合は隣接する打鍵が重なり合ってシフト打鍵のタイミングになる場合がある。通常のJIS仮名入力やローマ字入力では、先に打ったキーがシフトキーならシフト打鍵、文字キーなら逐次打鍵として処理される。

 同時打鍵は、実際にはシフト打鍵のどちらかのパターンに含まれることになる。xとyの打鍵順を問わないことを示すために別の表記にした。

 通常使われる複数のキーの組み合わせは、この中のどれかにあてはまるはずだ。CtrlとShiftを押したまま複数のキーを逐次打鍵する場合には“((CS(x)(y)(z)))”などとすればよい。

 この記法を使えば、キーが押されたことを示す“(”の個数を数えれば、どんな入力方式がどのように解釈しようとも、必ず打ったキーの数が分かることになる。

 このように、動かしがたい打鍵情報に基いて、単純にキーを押した回数を打鍵数だと考えるのが公平で妥当な方法だろうと思う。現にそのキーを押したという事実がある(その打鍵がなければ別の字が入力されてしまう)のだから、そのキーを無視してはならないはずである。

おわりに

 せっかくなので、上に書いた記法と数えかたを使って「日本語を大切に。ニコラ」という短文を各方式で入力した場合の打鍵列を比較してみる。

【親指シフト】(22打鍵)
((右ち))(ほ)(ん)((右こ))((左う))(た)(い)
(せ)(つ)((右ち))(。)(変)((右ち))(こ)(ら)
(片)(確)

【JIS仮名】(20打鍵)
(に)(ほ)(ん)(こ)(゛)(L(わ))(た)(い)(せ)
(つ)(に)(L(る))(変)(に)(こ)(ら)(片)(確)

【ローマ字】(28打鍵)
(n)(i)(h)(o)(n)(g)(o)(w)(o)(t)
(a)(i)(s)(e)(t)(u)(n)(i)(.)(変)
(n)(i)(k)(o)(r)(a)(片)(確)

〔凡例〕
 左:左親指シフトキー
 右:右親指シフトキー
 L:左英字シフトキー
 R:右英字シフトキー
 変:変換キー
 確:確定キー
 片:片仮名変換キー
 その他:ノーマル打鍵時の仮名、記号、および(ローマ字変換前の)英数記号

 驚くべきことに、JIS仮名の方が親指シフトより2打鍵も少なくなってしまった。この例文では、たまたま同時打鍵の「に」が3回も出てきたせいで打鍵数が増えてしまったのだ。このように、ある方式にとっては不利なテキストをわざと使うことは簡単にできるので、あまり打鍵数にこだわらない方がよいのではないかと思う次第である。

 Trulyのキーボードの配列変更について検索していて、ここのブログを見たという方から、ファームウェアを更新するとNumLock一発でDvorak/Qwertyの切り換えができたりして便利ですよというアドバイスのメールをいただいで、さっそくTruly Custom Layout Designerを使ってみた。

 英語でいろいろ書いてあって難しそうだったので今まで敬遠していたけれども、やってみたら案外簡単に変更できた。なるほど、これは便利だ。

 忘れないうちに手順をメモしておく。

  1. 準備
    • Firmware Upgradeのページの「How to upgrade the Firmware」からファームウェア変更ソフト(TrulyErgonomic_Firmware_Upgrade_*.zip)をダウンロードして適当なところに解凍する("*"にはOS名とファームウェア変更ソフトのバージョン番号が入る)
    • DIPスイッチの切り換えに使えそうな棒を用意しておく
    • (ノートPCではない場合は、普通のJISキーボードもあった方が安心)
  2. カスタマイズ
    • Default Layoutsの中から「Truly Ergonomic ### – JIS Japan」を選ぶ("###"には"229", "209", "109"が入る)
    • 上の一般的なキーボードの図の「Layout」の中から「JIS‐Japan」選ぶ
    • 下のTrulyのキーボードの図の「TECK」「Debouncing」「Layers DIP #2」の各項目を選ぶ
    • 上の図から下の図にキーをドラッグ&ドロップする
      (上の図に表示される記号は実際に入力される記号とは異なるものがあるけれども、通常のJISキーボードに置き換えて考えればよい)
    • 「Bookmark or Share」でブックマークしておくと、後で設定内容を変更するときに便利
    • 「Save」で、カスタマイズしたデータ(*.hex)をダウンロードして、ファームウェア変更ソフトを解凍したフォルダに入れる
  3. ファームウェアの変更
    • KeySwapの設定を全部白紙に戻して終了、再起動する
      (念のため、対象ユーザーを切り換えて「全ユーザー」と「<ユーザー名>のみ」の両方を白紙にする)
    • DvorakJなど、キー入力に介入しているソフトを全部終了する
    • Trulyキーボードを外して、プロテクト(DIP #5)をOFFにする
      (ここで、JISキーボードで各キーが正常に機能しているかを確認する)
    • Trulyキーボードを挿す
    • 変更ソフト(TrulyErgonomic_Firmware_Upgrade.exe)を起動する
    • ダウンロードしたデータ(*.hex)を「Load」して「Upgrade」する
    • 変更が正常終了したら「Exit」を押して変更ソフトを終了する
    • Trulyキーボードを一度外してプロテクト(DIP #5)をONに戻してから挿す
    • エラーが出た場合は、変更ソフトを閉じ、Trulyキーボードを外してプロテクト(DIP #5)がOFFになっているかを確認してからやり直す
      (キーボードがUSBデバイスとして正しく認識されない場合にもエラーが出るようだ)

 NECのM式キーボード(詳しくは「M式の世界」を御覧ください)について書きます。

 20年ほど前に、「楽々キーボード」というNECのPC 9801シリーズ専用のキーボード(Windows3.1用のIME付き)が発売され、面白そうだったので購入しました。しばらく使ってみたものの反射的に打てるところまで行かないまま手放してしまいました。添付ビデオだけ残っていたので、この機会にアップしておきます。

 これを見ると分かるように日本語(特に熟語の音韻)を論理的に分類・整理してローマ字入力を最適化した入力方法なのですが、キー配列だけでなくキーボードの物理的なレイアウトから仮名漢字変換ソフトの仕掛けまで総動員しているところに凄みを感じます。

 こんなのを見せられると僕のような漢直マニアが考えることはただ一つです。これに漢直を乗せたらどうなるだろうか?

 子音シフトと母音シフトはクロスシフトでしか使わないので、同側シフトが空いています。ここに漢直を入れれば何とかなりそうです。ただ、実際に入力できるソフトを作るのは僕には無理なので、M式の練習をしながら漢直の打鍵は頭の中でイメージしていただけなのですが。

 僕にしてはかなり練習した方だったと思いますが、文字キーの左右交互打鍵とクロスシフトの組み合わせにどうしても体がついて行けず、結局、挫折してしまいました。おそらく感覚よりも先に頭で考えてしまったせいだろうと思います。

 その後、G-codeという漢直を自作しましたが、仮名を中段・上段の10個のキーに割り当てたのは、完全にM式の影響です。もしも僕がM式に挫折していなければ、G-codeは同側シフトの漢直になっていたかも知れません。

 まず、僕が知っている主な漢直を自分に都合の良い方法でざっくり分類します。

 T-codeTUT-codeG-code超絶技巧入力
最上段のキーを使う××
3ストロークの漢字がある×
平仮名と片仮名を打ち分ける××
仮名の打ち方に規則性がある×

 今回のテーマに関係ありそうなのは、上の「最上段のキーを使う」だけで、下の3つはあまり関係ありません(カタログ等でよく見る我田引水をやってみました)。

 僕はもともとTUT-codeを使っていたのですが、T-codeを試したときに最上段の打ちにくさに気付きました。それまでは数字はテンキーで打っていたので気にならなかっただと思います。

 キーボードをよく見ると、中段と上段はキー3分の1個分ほど横にずれ、最上段と上段、中段と下段はそれぞれキー2分の1個分ほど横にずれています。つまり、最上段と中段では0.8個分、最上段と下段では1.3個分ほど横にずれていることになります。

 これが打ちにくさの原因でした。最上段を使うキーの組み合わせにはあまり頻度の高くない文字が割り当てられているとはいえ、キー1個分以上のずれというのは無視できません。

 そこでキネシスのキーボードです。まだ国内に代理店がなかった頃でしたが、T-coderの人たちがグループで購入するという話があって、それに便乗させてもらいました。使ってみると、最上段が近くなって普通に打てるようになりました。

 これで最上段も守備範囲内にあるのだと実感できました。後にG-codeを作るときに最上段を使うようにしたのもこのキーボードのおかげです。

 ここまでは理想的なキーボードなのですが、欠点もあります。それは他のキーボードが以前にもまして打ちにくくなるということです。たぶん、凹面キーボードの裏返しで凸面キーボードであるかのように錯覚してしまうのでしょう。このキーボードだけを使っていられればいいのですが、現実はそんなに甘くありません。持ち運ぶには大きいし、行く先々に常備しておくわけにもいきません。

 そんなわけで、今では、ほどよくエルゴノミックでコンパクトなTrulyのキーボードを使っています。この程度だったら他のキーボードとの落差があまりないので、どちらを使ってもあまりストレスを感じません。

 このページにたどり着いた方には、今さら「漢直とは?」とか「Dvorak配列とは?」などということから書かなくても大丈夫でしょうから、いきなり本題に入ります。

 もしもあなたが漢直に興味を持ち、自分もやってみたいと思うのであれば、まずキーボードの配列をDvorak配列に変えてみることをお勧めします。仮にあなたが現在JIS仮名や親指シフト等の仮名入力を使っているとしても、やはり一旦Dvorak配列のローマ字入力に乗り換えることをお勧めします。別にDvorak配列がQwerty配列よりも優れているとか仮名入力よりもローマ字入力がいいとかいうつもりはありません。どうせ漢直を身につけてしまえば、アルファベットの配列とは無関係に日本語が入力できるようになるので、実は何でもいいのです。何なら漢直を始めた後で元の配列に戻しても構いません。

 では、なぜDvorak配列なのかというと、Qwerty配列以外のアルファベットの配列の中では比較的普及しているからで、その結果として、キー配列変更などのソフトでサポートされている可能性が高いからという、それだけの理由です。

 漢直がアルファベットの配列とは無関係だといいながら、なぜわざわざ配列の変更を勧めるのかというのは当然の疑問でしょう。それには、いくつかの理由があります。

 第一に、Dvorak配列への乗り換えを経験しておくと、漢直に乗り換える際のコストがだいたい予想できるようになるということです。

 新しいアルファベットの配列に慣れてローマ字入力がスムーズにできるようになるためには、(個人差もあるでしょうが)少なくとも一週間程度の練習期間は必要でしょう。その体験をしておけば、どのくらいの練習で平仮名の打ち方を変えたり漢字の打ち方を身につけたりできるかを感覚的に見積もることができるようになる筈です。あとは自分のペースで打てる漢字を増やしていくだけです。

 第二に、キーの刻印と入力される文字が無関係だということを事前に体感しておいた方が、漢直を感覚的に身につける際に有利になるということもあります。

 ブラインドタッチができていない状態で漢直を練習すると、どうしてもキーを見る癖が出てしまいます(実は私がそうでした)。Qwerty配列から別の配列に乗り換えると、ブラインドタッチするしかありません。このような環境にしておくと、漢直も最初から否応なしにブラインドタッチで練習することになるので安心です。

 そして第三の理由は、Dvorak配列で挫折する人には、おそらく漢直は向いていないだろうと考えるからでもあります。仮にあなたが挫折したとしても、「漢直で挫折した」よりも「Dvorak配列で挫折した」と言っていただいた方が、お互いに傷が少なくてすむわけです。

 最後に一つ。特にどの漢直がいいというようなことはいいませんが、練習するときには、(アルファベットではなく)図や表で打ち方を表示したものを使うことを強くお勧めします。

 あと、もう一つだけ。もしもあなたが、既にQwerty配列のキーボードを使ってDvorak配列で入力しているのなら、わざわざQwerty配列の練習をする必要はありません。また無刻印キーボードを使っている場合(キー配列は問いません)も同様です。それだけで漢直の練習に必要な条件をクリアしていると思われるからです。やるかやらないかは自由ですが、あなたは漢直をやるのに有利な立場にいます。

Truly Ergonomic Keyboardを使い始めて、KeySwapなどでカスタマイズしているうちに、ますます漢直が練習しやすい環境になってきた。 [ 続きを読む ]
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(1996-08-05) こんな携帯キーボードはいかがでしょうか?  またまた、... [ 続きを読む ]
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[Shift]や[Ctrl]キーをキーボードの中央に移動すれば、より少ない面積で効率的な入力ができるようになるだろう。 [ 続きを読む ]
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