カテゴリ「直接入力」の記事 (2)

 NECのM式キーボード(詳しくは「M式の世界」を御覧ください)について書きます。

 20年ほど前に、「楽々キーボード」というNECのPC 9801シリーズ専用のキーボード(Windows3.1用のIME付き)が発売され、面白そうだったので購入しました。しばらく使ってみたものの反射的に打てるところまで行かないまま手放してしまいました。添付ビデオだけ残っていたので、この機会にアップしておきます。

 これを見ると分かるように日本語(特に熟語の音韻)を論理的に分類・整理してローマ字入力を最適化した入力方法なのですが、キー配列だけでなくキーボードの物理的なレイアウトから仮名漢字変換ソフトの仕掛けまで総動員しているところに凄みを感じます。

 こんなのを見せられると僕のような漢直マニアが考えることはただ一つです。これに漢直を乗せたらどうなるだろうか?

 子音シフトと母音シフトはクロスシフトでしか使わないので、同側シフトが空いています。ここに漢直を入れれば何とかなりそうです。ただ、実際に入力できるソフトを作るのは僕には無理なので、M式の練習をしながら漢直の打鍵は頭の中でイメージしていただけなのですが。

 僕にしてはかなり練習した方だったと思いますが、文字キーの左右交互打鍵とクロスシフトの組み合わせにどうしても体がついて行けず、結局、挫折してしまいました。おそらく感覚よりも先に頭で考えてしまったせいだろうと思います。

 その後、G-codeという漢直を自作しましたが、仮名を中段・上段の10個のキーに割り当てたのは、完全にM式の影響です。もしも僕がM式に挫折していなければ、G-codeは同側シフトの漢直になっていたかも知れません。

(2007-10-14)

どんなキー操作にするか

 “速記入力”の操作方法が煩雑では本末転倒になってしまいます。例えば、

  • コントロール+何とかキーで“速記入力”モードに切り替わる
  • シフト+何とかキーを押している間は“速記入力”状態になる
などという面倒なやり方は避けたいところです。そこで、まだ使われていない簡単なキー操作を捜してみたところ、変換操作に使うキー[*1]にはまだ機能を追加する余地があることに気付きました。

 ここで、〔変換〕を押してから離すまでの間のキー操作を、少し詳しく見てみます。

〔変換〕を押して離す

 この「」と「」の部分をあえて詳しく書くと、

〔変換〕を押して、特に何もせず、離すすると、変換結果が表示される。[*2]

となります。これを、

〔変換〕を押して、文字キーを打って、離す。すると、変換結果に何かが追加される。

に変えてやれば、新たな機能を追加することができます。

 つまり、〔変換〕を押している間に(それを一種のシフト状態とみなして)文字キーを打つと、それだけで“速記入力”ができることになります。もともと変換操作のために押したキーなので、シフト操作のための新たなコストは発生しません。

 しかも、〔変換〕を押してから離すまでという条件があるので、通常のシフト操作中の逐次打鍵とは違って、

  • 1打鍵・2打鍵(・3打鍵…)のパターンを使い分けることができる
  • 変換結果によって別の文字列を割り当てることができる
というメリットも出てきます。これならば、充分、実用になるでしょう。

割り当て方の問題

 ここまでは、主に入力の仕組みの話でした。それだけなら今までに何度か[*3]考えてみました。

 問題は、変換結果に追加する文字列[*4]をどこで区切ってどのキーに割り当てるか、ということです。ここから先は、考えるだけでなく実際に試してみなくては分かりません。

 入力の仕組みをある程度作ったところで、とりあえず頻度の高そうな送り仮名を適当なキーに割り当てました[*5]。いろんな文章を入力してみて、どんなパターンが快適かを確かめながら、少しずつ変更したり追加したりしていきます。

 主な仮り仮名を追加していくうちに気付いたことが、いくつかあります。

    (1) 送り仮名をひとつ追加すると、その組み合わせパターンのために多くの割り当てを追加しなくてはならなくなる
    (2) 同じ送り仮名が状況によって別の位置に表示されると、妙に気になる
    (3) 同じ送り仮名(を含むパターン全部)を、あるキーから別のキーに移動しても、違和感はなく、すぐに慣れる

 (1)は、予想していたことですが、キーの組み合わせが爆発的に増えてしまって、割り当て作業が事実上不可能になりました。割り当て作業を中断して、同じパターンをまとめて定義できるように入力ソフトの方を改良しました。

 (2)は、はっきりとは覚えていないキーでも割り当て方に矛盾があれば気付くということです。なんとなく試し打ちをするだけでチェックできるのは有り難いことです。

 (3)は、頻度の高い送り仮名と交換したり、別のパターンに合わせたりするために移動した場合です。新しいキーやパターンを何度か打って覚えてしまえば、とりあえず古い記憶は上書きされるようです(記憶が定着した後で変更するのは避けた方がいいかもしれません)。

 こんな感じで、手さぐりしながら割り当てを続けていきます。時間のかかる作業ですが、機械的に一気に処理するより試行錯誤の過程を楽んだ方がいいような気がしています。

覚えやすい仕組み

 そんなに多くのパターンをどうやって覚えるのかと心配する必要はありません。送り仮名の打ち方をひとつ覚えるたびに応用範囲が爆発的に広がるだけのことです。

 打ち方を調べるために何か特別な操作をする必要はありません。〔変換〕を押したときに、仮想鍵盤の表示を見るだけです。

  • 〔変換〕を押している間は、仮想鍵盤に送り仮名の候補が表示される

  • 入力行:
    入力  
    仮想鍵盤:
     ‐   ‐   ‐   ‐ 
     ‐   ‐   です 
     ‐   ‐   ‐ 
     
     ‐ 
     まで 
     から 
     ‐ 
      
     ‐ 
     いたす 
     
     ‐   ‐   ‐   ‐ 
     する   せず   させる 
     して   しない   すれば 
     しよう   した   します   できる 

 仮想鍵盤には、送り仮名の候補が表示されます。その中に入力したい送り仮名があれば(〔変換〕を押したままで)表示された位置のキーを打ち、なければいつも通りに〔変換〕を離すだけです。

  • 続けて入力できる送り仮名があれば、それも仮想鍵盤に表示される

  • 入力行:
    入力して  
    仮想鍵盤:
     ‐   ‐   ‐   ‐ 
     ‐   しまう   くる 
     ‐   みる   おく 
     ‐   ‐   ‐   ‐ 
     
     ‐ 
     ‐ 
     ‐ 
     ‐ 
      
     ‐ 
     ‐ 
     ‐ 
     ‐ 
     
     ‐   ‐   ‐   ‐ 
     いる   ‐   ‐ 
     ある   いて   いない   ‐ 
     ください   いた   います   ‐ 

 実際にやってみて分かったことですが、1打鍵するごとに送り仮名が入力されていくのは、予想以上に快適です。一度これを知ってしまうと、1字ずつ入力するのが億劫になります。ローマ字入力で「ja」と打てば「じゃ」と入力されることを知っていながら、わざわざ「zya」などと打つ気になれないのと同じような感じです。

 覚えようと努力しなくても、楽なやり方を選んでいくだけで自然に覚えてしまいます。

打ち方が予想できる

 いくつかの送り仮名の打ち方を覚えると、まだ一度も入力したことのない送り仮名の打ち方が予想できるようになります。

 例えば「入力」の送り仮名のうち、

    +する
    +した
    +します
これだけ覚えた段階で、「+しました」の打ち方が予想できるのです。

 さらに「+できる」を覚えると「+できた」「+できます」「+できました」も予想通りに入力できます[*6]。この調子で送り仮名を一つ覚えるたびに応用範囲が広がっていくわけです。

 連想式でないことは確かですが、無想式ともかなり違った感じになりました。それでは一体何式なのかというと、ピカソだけに“類推式”[*7]なのです。


[*1] 【変換操作に使うキー】
仮名から漢字に変換するときは、普通、スペースか変換キーを押します。以下、このキーを〔変換〕と書くことにします。

[*2] 【すると、変換結果が表示される。】
厳密には、

〔変換〕を押すと、変換結果が表示される。その後、特に何もせず〔変換〕を離す。

と書くべきですが、分かりやすく説明するために順序を入れ替えました。

[*3] 【今までに何度か】
以下のページにあれこれと書きましたが、今とはかなり内容が違っているので、あくまでも参考程度にしてください。
「G-Quick」(2001)、「G-Code」で速記を(2000)、「漢ナビ2」(2000)

[*4] 【変換結果に追加する文字列】
たいていは数文字程度の活用語尾や助動詞や助詞などです。以下、これを「送り仮名」と呼ぶことにします(文法的には適切ではないかもしれませんが、ほかに簡潔な用語を思い付かなかったので)。

[*5] 【適当なキーに割り当てました】
適当とはいっても、次のようなルールに沿って割り当てています。
  • 同じ送り仮名は必ず同じキーで入力できるようにする
  • 使用頻度や運指を考慮して調整する
  • 「S→する」「T→した」「D→です」「M→ます」などのような連想を使わない

[*6] 【予想通りに入力できます】
もちろん、そのためには予想を裏切らない割り当て方をしておく必要があります。今のところ基本的な送り仮名は全て予想通りの入力が可能です。

[*7] 【ピカソだけに“類推式”】
分かる人には分かると思いますが、実際はその逆で、“類推”→“ピカソ”という言葉遊びです。ついでに、辞書にちょとした企みを仕掛ています。

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