カテゴリ「仮名漢直」の記事 (5)

とりあえず実演します

 まず、“親指シフト+G-Code”の入力の様子を御覧ください。

サンプル文を入力しているアニメーションGIF(16_fig1.gif)

 普通の仮名漢字変換をやっているように見えるけれども、よく見ると、変な“よみ”が混じっていることが分かるかと思います。これが漢字の打ち方を仮名で表した“漢直よみ”というものです。

 今回の架空の初心者は、「親指」と「入力」と「漢直」だけを(“漢直よみ”を使って)ユーザー辞書に登録しているという設定です。(そのまま仮名を打って変換した方が楽な「記事」や「混ぜ」や「方法」などは、辞書に登録していません)

 実在する私も(もっといろいろ辞書に登録していますが)大体いつもこんな感じで入力しています。

これまでの経緯

 興味と時間のある方は、仮名入力に漢直をじわじわ混ぜていく方法DvorakJとGoogle日本語入力の連携による各種キー配列への対応を御一読ください。

 そのようなわけで、親指シフト(NICOLA-J)でもJIS仮名のときと同じように“漢直をじわじわ混ぜていく”ことが可能になりました。

ダウンロード

種類名称入手先備考
日本語入力システムGoogle日本語入力 http://www.google.co.jp/intl/ja/ime/ Windows版・Mac版・Android版がある
(Windows8以上・Mac版・Android版での動作は未確認)
ローマ字テーブル NICOLA-J decode-oyayubi-qwerty-nicolaj.zip (予定) Qwerty配列用(準備中)
decode-oyayubi-dvorak-nicolaj.zip (予定) Dvorak配列用(準備難航中)
キー配列変更ソフト DvorakJ http://blechmusik.xii.jp/dvorakj/ DvorakJ本体
設定ファイル encode-oyayubi-qwerty.zip (予定) Qwerty配列用(準備中)
encode-oyayubi-dvorak.zip (予定) Dvorak配列用(準備難航中)
打鍵図表示ソフト 漢索窓 https://code.google.com/p/tcode/downloads/list 漢直Winに同梱されている
(2015年12月現在の最新版は“kw128.zip”)

※ローマ字テーブルには漢直の設定は含まれません。

インストールと設定

 必要に応じて、インストールと設定を行ってください。

  • ローマ字テーブル
    適当な場所に解凍する
  • Google日本語入力
    1. 添付されたドキュメントにしたがってインストールする
    2. ツール→プロパティで、以下のように設定する
      • 一般(基本設定)
        ローマ字入力・かな入力:ローマ字入力
        句読点:、。
        記号:「」・
      • 一般(キー設定)
        ローマ字テーブル:「編集...」→「編集」→「インポート...」でローマ字テーブルをインポートする(*1)
      • 辞書
        「もしかして」変換:オフ
      • 入力補助
        自動英数変換を有効にする:オフ
        句読点変換を有効にする:オフ
      • サジェスト
        リアルタイム変換を有効にする:オフ
      • プライバシー
        「設定変更」をクリック(「管理者用プロパティ」が開く)
        使用統計情報や障害レポートを Googleに……:オフ
    3. Google日本語入力プロパティを閉じる
  • DvorakJ用設定ファイル
    適当な場所に解凍する
  • DvorakJ
    1. 適当なフォルダに解凍して、インストールする
    2. DvorakJを起動する
    3. DvorakJの設定画面を開き、以下の設定を行う
      • メニューバーの「ファイル(F)」→「DvorakJ/user/フォルダを開く(U)」で、フォルダを開く
        (必要ならサブフォルダを作る)
      • 解凍した設定ファイルをDvorakJ/user/フォルダ(配下)にコピーする
      • 右枠の「日本語入力用配列」で、コピーした設定ファイルの中から適当なもの選ぶ
        (※親指キーの組み合わせにより、'*-mu-hen.txt', '*-mu-sp.txt', '*-sp-hen.txt'の3種類があります)
      • 右枠の「日本語入力の設定」で
        「日本語入力用配列を日本語入力時にのみ使用する(O)」を選択し、
        「かな入力用の設定で日本語入力用配列を使用する(K)」をオフにする
    4. DvorakJの設定画面を閉じる
    (※漢直Winを使って漢直する場合は、DvorakJをOFFにしてください)
  • 漢直Win
    1. 適当なフォルダに解凍する
    2. “kanchoku.ini”を適宜変更して保存する
      (※ここで選択した漢直のテーブルは、漢索窓でも使われます。また、[kansaku]セクションで漢索窓の設定ができます)
    3. 適当な場所に“kansaku.exe”のショートカットを作る

 上記の内容は、2015年12月16日現在のものです。それよりも新しい版をダウンロードした場合は、添付されたドキュメント等の最新の情報を御確認ください。

単語登録の方法

 まず、「漢索窓」を起動して、他の窓に隠れない位置に表示しておいてください。

 次に、普通に単語登録を試みてください。

  1. 登録したい文字列をコピーする
  2. 「単語登録」を起動する
  3. “漢直よみ”を入力する
  4. 品詞と登録先辞書を選択する
  5. 〔OK〕を押して「単語登録」を終了する

 3番目の「“漢直よみ”を入力する」のところでは、以下の要領で漢字の打ち方調べてください。

(図2) 「親指」をコピーして「単語登録」を起動(*2)した状態
16_fig2.jpg

 そのままの状態で「漢索窓」をダブルクリック(*3) してください。選択された文字列とその打ち方が「漢索窓」に表示される筈です。

(図3) そのまま「漢索窓」をダブルクリックした状態
16_fig3.jpg

 単語登録ツールの“よみ”の欄にフォーカスを戻して、「漢索窓」の表示を見ながらタイプすれば“漢直よみ”が入力できます。

(図4) 「単語登録」のよみの欄に“漢直よみ”を入力した状態
16_fig4.jpg

 このとき、“漢直よみ”が普通の単語の“よみ”と衝突しないことを必ず確認してください。問題なければ、品詞や登録先辞書を選択して、登録を終えるだけです。

 登録が終わったら、すぐに「漢索窓」を見ながら何度か打ってみてください。正しく変換できるかどうかを確かめながら、打ち方の練習をやっておくと無駄がありません。その漢字を「漢索窓」に表示したままにしておいて、ちょっとした空き時間に打ってみたり、実際に打たなくても指を動かしながら脳内で“エアー漢直”したりするのも、効果的な練習だと思います。

 同音語をまとめて登録するのは効率的です。ただ、まとめて登録すること自体はいいのですが、そのときに一番必要なものだけを練習して、そのほかは登録するだけにして、練習はしないでおくのがいいと思います。似たようなものをまとめて練習すると混乱しやすくなるからです。その日は「登録した」という事実だけを記憶(もしくは記録)に留めておいてください。

 後日、その言葉を(普通の“よみ”で)入力する機会があったとして、「これは前に登録した」と分かりさえすれば、「漢索窓」で打ち方を調べるだけで、そのまますぐに練習することができます。登録済みの言葉を二重に登録する無駄を省くことにもなります。

 よく、「辞書を育てる」などと言いますが、こうやって少しずつ打てる漢字が増えていくのは、辞書だけでなく自分を育てることでもあります。今まで打てなかった漢字が打てるようになるというのは、大袈裟に言えば自己の能力の拡大です。この快感は漢直をやってる人にしか味わえないでしょう。たぶん、何らかの脳内物質が……などと、無駄を省く話から無駄話になってしまいそうなので、今回はこのへんで終わりにします。


 この記事は漢直 Advent Calendar 2015のために書いたものです。過去のブログ記事の内容と重複した部分があることを御了承ください。

(*2) ローマ字テーブルをインポートする その前に、現在のテーブルの内容をエクスポートしておくことをおすすめします。

(*2) 「単語登録」を起動 「ツール」→「プロパティ」→「キー設定」→「編集...」でショートカットを設定しておくと便利です。

(*3) 「漢索窓」をダブルクリック キーボードから手を離したくなければ、「漢索窓」をアクティブにして[Enter]を打ってください。それも面倒だと思ったら、秀丸エディタで選択した文字列を漢索窓へ送り込む小技をぜひどうぞ。

「仮名入力|漢直」問題

 前々回はローマ字テーブルに漢直を入れる方法を紹介しましたが、仮名入力ユーザーにとっては、あまり興味の湧かない内容だったろうと思います。そこで今回は、仮名入力を使っている方々のための方法を紹介してみます。

 仮名入力と漢直の間にも壁があります。仮名入力ユーザーから見ると、入力方法を全部白紙に戻さねばならず、しかも仮名が2ストローク以上になってしまうのが大きな障壁になるはずです。これでは漢直に乗り換えるメリットはないでしょう。

 その壁の裏側には漢直ユーザーがいて、「漢字は今まで通り直接入力して、仮名だけ1ストロークにできないか?」などと言って頭をひねっています。しかし、ほぼすべてのキーは漢字の1ストローク目に割り当てられていて、仮名入力のために使える余分なキーなんてありません。

 この壁は、難攻不落の城壁のように見えますが、実は抜け穴があるのです。

「仮名は1ストローク、漢字は2ストローク」(*1)は実現できる

 まず、仮名入力ユーザーと漢直ユーザーのどちらにとっても仮名の2ストローク入力は不要なので、2ストローク化の対象を漢字に限ります。

 次に、簡単な実験をします。この上の一文に含まれる漢字の部分を仮名入力モードのまま漢直のつもりで打ってみます。(以下の例では仮名配列はJIS仮名と親指シフト、漢直はG-Codeを用いていますが、他の仮名配列や他の漢直でも同様のことが試せます)

(表1)漢字とストロークの対応表(G-Code)

漢字ストローク
JIS仮名親指シフト
仮名 ふもなさ 2そちひ
入力 れさみし んひめて
漢直 りりきにつ いいせく.
不要 しねゆこ てね8へ
らつ つ.
対象 るつせる ほ.,ほ
漢字 りりきおて いいせ6か
しこ てへ

 (表1)を見ると、熟語のストロークは意味不明の文字列になっています。しかし、漢字1文字だけの「化」「限」や、熟語を分解した漢字1字分のストロークをみると、別の漢字に変換されそうな“よみ”になるものがいくつかあります。たったこれだけの例で判断するのは早計ですが、単漢字のストロークが意味のある単語の“よみ”と衝突しやすいことは充分に分かります。

 そのようなわけで、とりあえず漢直で打つのは「2文字以上続く漢字の文字列」に限ることにして、話を進めます。

 さて、日本語として意味をなさない「ふもなさ」「れさみし」などの読みは、仮名漢字変換辞書の“よみ”として使われていないことは容易に想像できます。したがって、これらの未使用の“よみ”を使ってユーザー辞書に登録すれば、確実に「仮名」「入力」などに変換できることになるわけです。

漢直用のユーザー辞書の作り方

 (表1)のストロークを“よみ”として漢字の文字列(熟語)をユーザー辞書に登録するだけです。(以下の例は、Google日本語入力を用いた場合です。お使いの仮名漢字変換システムに合わせて適切な品詞名や品詞コードを選んでください。また、通常のユーザー辞書とは別の辞書に分けることができる場合は、漢直用のユーザー辞書を追加することをおすすめします)

(表2)熟語の登録例(JIS仮名・G-Code・Google日本語入力)

よみ単語品詞
ふもなさ 仮名 名詞
れさみし 入力 名詞サ変
りりきにつ 漢直 名詞サ変
しねゆこ 不要 名詞形動
るつせる 対象 名詞
りりきおて 漢字 名詞

(表3)熟語の登録例(親指シフト・G-Code・Google日本語入力)

よみ単語品詞
2そちひ 仮名 名詞
んひめて 入力 名詞サ変
いいせく. 漢直 名詞サ変
てね8へ 不要 名詞形動
ほ.,ほ 対象 名詞
いいせ6か 漢字 名詞

 “よみ”の中身が変なだけで、登録方法は通常と全く同じです。(この漢直用の“よみ”を、これ以降は“漢直よみ”と呼ぶことにします)

 試しに、(表2)や(表3)の単語を登録して、実際に入力してみてください。

(JIS仮名の場合)

〔入力〕
まず、ふもなされさみしゆーざーとりりきにつゆーざーのどちらにとってもふもなさの2すとろーくれさみしはしねゆこなので、2すとろーくかのるつせるをりりきおてにかぎります。

〔変換結果〕
まず、仮名入力ユーザーと漢直ユーザーのどちらにとっても仮名の2ストローク入力は不要なので、2ストローク化の対象を漢字に限ります。

(親指シフトの場合)

〔入力〕
まず、2そちひんひめてゆーざーといいせく.ゆーざーのどちらにとっても2そちひの2すとろーくんひめてはてね8へなので、2すとろーくかのほ.,ほをりりきおてにかぎります。

〔変換結果〕
まず、仮名入力ユーザーと漢直ユーザーのどちらにとっても仮名の2ストローク入力は不要なので、2ストローク化の対象を漢字に限ります。

 JIS仮名の場合は、正しい漢字に変換されるでしょう。しかし、親指シフトの場合には、正しく変換できない部分があるかもしれません。この問題の回避方法は、来週の「親指シフトに漢直をじわじわ混ぜていく方法」で説明しますので、しばらくお待ち下さい。

【注意】
 “漢直よみ”を暗記する必要は全くありません。登録時には、打鍵の位置を確認するために見ないわけにはいきませんが、それ以外の場面では、なるべく無視するようにしてください。

 この例文では、「入力」や「対象」の打鍵数は減りますが、「仮名」や「漢字」などの打鍵数が増えていまいます。(ただし、「かな/カナ/仮名/哉」・「感じ/漢字/幹事/監事」などと、人名の「かな」さん・「かんじ」さんの打ち分けができることはメリットといえるかもしれません)

 メリットの有無を一概に決めることはできないので、ユーザーが直接入力した方がいいと思った単語を、その都度、自分で登録していくのが最良の方法だろうと思います。

 上の例では「品詞」が名詞(サ変動詞)となる2文字の熟語しか取り上げませんでしたが、漢字1文字で動詞となる場合は“漢直よみ”が同じ種類の既存の動詞の“よみ”と衝突しなければ(*2)登録しても大丈夫です。

(表4)動詞の登録例(JIS仮名・G-Code・Google日本語入力)

よみ単語品詞コメント
れさ 動詞五段ラ行 はいる
れされ 入れ 動詞一段 いれる

略語登録や短縮登録などとの違い

 ここまで読んで、「特殊な“よみ”で辞書に登録する手法は昔からあった」と思う方もいることでしょう。確かにその通りですが、それを単漢字や略語などではなく、通常の品詞として登録するところがミソなのです。

 品詞の情報を加えることによって、本来の仮名に“漢直よみ”を混ぜて打っても、文法的に適切に処理されて正しく変換されるようになるのです。

 普通の“よみ”とは異なる“漢直よみ”を使って登録するので、(わざわざ無理な連想を考えたりしない限り)必然的に無連想式になるわけで、漢字と運指を直結させる身体的な記憶が形成されやすいというメリットもあります。また、同じ漢字の打ち方は他の単語の中でも共通なので、一度身につけた漢字の打ち方は、組み合わせて使う他の漢字の打ち方を習得する際の支えにもなります。

漢字の打ち方を調べる方法

 登録するには漢字の打ち方を調べる必要があります。とはいえ、ストローク表の中からさがすのは手間がかかって面倒です。こんな時には「漢索窓」が役に立ちます。これはWindows用の「漢直Win」という入力ソフトに付属しているツールですが、単体でも利用できます。T-codeやTUT-codeなどの主な漢直のテーブルが入っていて適当なものを選ぶことができます。

 打ち方を調べたい文字列をコピーして「漢索窓」のウインドウをダブルクリックするか右クリックすると(*3)、漢字と打鍵図が表示されます。(ダブルクリックで上書き、右クリックで追加されます)

(図1)「漢索窓」の表示例(G-Code)

09_fig1.jpg

※G-Codeの打鍵図では、2ストロークは「赤:第1打鍵」「緑:第2打鍵」、3ストロークは「青:第1・2打鍵(連打)」「黄:第3打鍵」となっています。

 意味不明の“漢直よみ”を単語登録の“よみ”として入力するときには、この打鍵図を見ながら打つと簡単です。また、登録した単語の打ち方を忘れたときは漢索窓で調べるようにすると、打ち方を直接指で覚えることができます。

 このように、必要に応じてユーザー辞書に登録していくことで、少しづつ漢直を混ぜていくことができます。機械的に一括処理をすると、思わぬところで“よみ”が衝突するおそれがあるので、手作業で登録して(正しく変換できるかを確認しながら)、じわじわと増やしていくことをおすすめします。

 今回は、主にJIS仮名配列を想定して書きましたが、他の仮名配列(NICOLAやTRON)など(*4)でも基本的に同じやりかたで登録や変換が可能です。(ただし、仮名漢字変換システムによっては、句読点などの記号を“よみ”として使えない場合があります)


 この記事は漢直 Advent Calendar 2015のために書いたものです。過去のブログ記事の内容と重複した部分があることを御了承ください。

(*1) 「仮名は1ストローク、漢字は2ストローク」 これは以前、増田忠士さんが使っていたフレーズですが、その当時は漢字のストロークを個別に登録して単漢字変換する方法だったと記憶しています。漢字1文字毎に変換キーを叩かなくてはならないのが本来の漢直のリズムとは異なっていたので、私はしばらく試しただけで常用するには至りませんでした。

(*2) “漢直よみ”が同じ種類の既存の動詞の“よみ”と衝突しなければ 例えば、「限」の“漢直よみ”は「しこ」なので、動詞(ラ行五段)として登録すると、既存の「凝(しこ)る」と衝突します。

(*3) 「漢索窓」のウインドウをダブルクリックするか右クリックすると 秀丸エディタユーザーで、マウスを使うのが面倒だと思った方は、昨日の記事を御覧ください。

(*4) 他の仮名配列(NICOLAやTRON)など 私は今年の8月からNICOLA+G-Codeを常用しています。同時打鍵をDvorakJで特殊なローマ字にしてGoogle日本語入力に送り込み、ローマ字テーブルで仮名にしたものを漢字に変換するという少々マニアックな設定をしています。詳細は12月15日12月16日の記事に書いてあります。

「親指漢直」の外側

 勢いで「親指漢直」の練習に突入してしまって、その外側をきちんと説明していなかったことに、最近気づいた。

 「親指漢直」という言葉を見たり聞いたりした人は、十中八九、マイナーな親指シフト方式と超マイナーな(なんだか難しげな)漢直の掛け合わせをイメージするに違いない。もしかすると、専用の親指シフトキーボードが必要なのだと思ってしまう人がいるかもしれない。

 つまり、普通のJISキーボードでローマ字入力やJIS仮名入力を使っている大多数の人は、ほとんど自分とは無縁の話だと思ってしまうだろうということだ。

 ところが、実はそうではない。ローマ字入力やJIS仮名入力でも、今まで使っていなかった「親指でシフトする」キー操作を追加することで、いろいろなこと(「親指漢直」は、その中のほんの一例に過ぎない)に応用できるのだ。もちろん、普通のJISキーボードのままでいい。

普通のJISキーボードで親指シフトする

 ここで、漢直のことは一旦忘れて、普通のJISキーボードを使って親指でシフトすると、どんなことができるかを考えてみよう。

  • ローマ字入力を親指でシフトする
     親指シフト打鍵によって、母音の後に“n”をつけたり、子音を二重化したりすれば、撥音(「ん」)や促音(「っ」)の打鍵が楽になるだろう。下の表では左右の親指シフトを区別していないが、同側シフトとクロスシフトを使い分ければ、さらに別のパターン(例えば拗音の短縮など)にも利用できる。

    単独打鍵(従来と同じ)
    1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 - ^ \
    q w e r t y u i o p @ [
    a s d f g h j k l ; : ]
    z x c v b n m , . / _
    親指シフト打鍵(英字以外は小指シフトと同じ)
    ! " # $ % & ' ( ) 0 = ~ |
    qq ww en rr tt yy un in on pp ` {
    an ss dd ff gg hh jj kk ll + * }
    zz xx cc vv bb nn mm < > ? _

     このやり方を極めていくと最終的には「M式」のように体系的な方式にまとまるのだろうが、普段の英字配列のままでローマ字入力を使いたい人には、この程度までなら使ってみる気になれるのではないかと思う。

  • JIS仮名入力を親指でシフトする
     まず、小指シフトを親指シフト(クロスシフト)にするだけでも、かなり楽になるだろう。さらに濁音を同側シフト、半濁音をクロスシフトにすれぱ、小指の負担がかなり減らせるのではないか。

    単独打鍵(従来と同じ)
    同側シフト打鍵(濁音)
                     
                 
             
               
    クロスシフト打鍵(半濁音以外は小指シフトと同じ)
       
                       
                       
               

     もっと合理的な仮名配列があるという人もいるだろうが、普段のJIS仮名のままで少し打ちやすくしたいという人には受け入れやすいのではないかと思う。

 どちらも、“読み”の入力をほんの少し楽にするために作ったものだが、表をざっと見ただけで規則性が頭に入るだろう。今まで通りの打ち方でも入力できるし、親指でシフトする打ち方でも入力できる。余裕のあるときに新しい打ち方を試してみて、楽だと思ったら少しずつ楽な方に移行すればいい。

そこで「親指漢直(いろいろ)」ですよ。

 一般的なJISキーボードの親指の位置にある[無変換][space][変換]のうちの二つを左右の親指シフトキーに使ったとしても、どれか一つは未使用だ。未使用のキーがあったら「漢直に使えるかも」と考えてしまうのは漢直使いの習性のようなものである。

 そのようなわけで、上記の例を試すなら、第三の親指シフトキーを使って「親指漢直(ローマ字)」や「親指漢直(JIS仮名)」も試してみようと考えているところだ。同様にして「親指漢直(TRON)」や「親指漢直(M式)」も試してみる価値がある。もしかすると「親指漢直(NICOLA)」よりも打ちやすい方法があるかもしれない。

2015年8月23日

 今日アップしたブログに合わせて、このページのサブタイトルを〔親指漢直(NICOLA)篇〕に変更する。練習を始めて三週間になるが、実はあまり速くなっていない。それでも、たまにG-Codeで入力すると仮名の2ストロークが重いと感じることはある。

 来月は〔親指漢直(JIS仮名)篇〕だ。ルールが単純明快なので、多分こっちのほうが僕には向いているような気がする。

2015年8月18日

 ローマ字入力の場合、仮名漢直のように“漢直読み”を混ぜて変換することはできないが、ローマ字テーブルに漢直用のエントリーを加えることならできる。当然、既存のローマ字と衝突しないように漢直の第1打を親指シフトにする必要がある。

 左右の親指シフトキーの割り当てはDvorakJでやるので具体的なキーを気にする必要はない。文字キーは英字配列に依存するので、少なくともQwerty配列用とDvorak配列用の2種類の漢直用のテーブルを作っておかねばならない。既存のローマ字テーブルをエクスポートして、それに漢直用のテーブルを追加したものをインポートするという手順になる。

 導入方法はかなり面倒になるが、Google日本語入力のローマ字テーブルで設定可能なものであれば何でもよい。例えば、AZIK・SKY配列・花配列系・月配列系などと組み合わせることも可能なはずだ。

〔単語登録〕

2015年8月16日

 打ちにくいと思うたびに“漢直読み”で登録してきた単語が200語を越えた。この程度では中途半端なので、もっと語数を増やしてから公開した方がいいような気もするが、そうすると、辞書を見て「こんなに覚えなくてはならないのか」と思ってしまう人がいるかもしれない。単語登録は自分でやってもらった方がいいのではないだろうか。

〔単語登録〕, 半端

2015年8月12日

 「おやゆび」がどうも打ちづらかったので漢直読みを辞書に登録。慣れていないせいかもしれないが、シフト打鍵が続くときは漢直の方が楽な気がする。これまで通り「おやゆび」でも変換できるので、楽だと思う方で打てばよい。

〔単語登録〕親指

2015年8月8日

 アルファベットの全角大文字を入力しようとして[SHIFT]で打つと仮名になってしまう現象が発生。ローマ字テーブルに次のようなダミー行を入れて解決したけれども、全角小文字は半角英数モードで入力した後に全角変換するしかなさそうだ。

A	A

――と思ったら、普通に打って[F9]を叩いたほうが簡単だった。

〔単語登録〕現象

2015年8月6日

 だいぶ親指シフトには慣れてきたが、変換ミスを見過ごして確定したときに、間違っている文字だけ打ち直したくてイライラする。そこで、親指シフトには使っていない[変換]キーを漢直用にしてみた。DvorakJの設定で第三の同時打鍵には'õ'を先頭に付け、ローマ字テーブルにG-Codeの定義を追加した。Qwerty配列用のテーブルの行頭に'õ'を入れるだけの簡単な作業。

 どうせなら、3ストロークの連打を短縮してしまおうと思いついて、中段の[tab]を第三の同時打鍵('õ')、上段の[変換]を第四の同時打鍵('ö')にして、[変換]との同時打鍵を3ストローク短縮入力に使うようにした。いちいち同時打鍵するのは面倒だが、一字だけ打つときにはちょうどいい感じだ。

〔単語登録〕行頭

2015年8月2日

 “「親指漢直」始めました。”に書いたように、最近また親指シフトの練習をしている。

 Perlで機械的に作った辞書には余分な漢字も入っているので、つい漢直で打ってしまう。今はその方が楽だし速いのだが、そんなことをやっていては練習にならない。そこで、漢直用の辞書を全部削除した。本当に必要な単語だけをこつこつ登録していこうと思う。

 Trulyのキーボードを使っているので、左親指は[無変換]、右親指は[space]としているが、通常のキーボードでは右親指は[変換]の方が打ちやすいだろう。そうすると真ん中の[space]が別の目的に使えることになる。ここに何かを入れるとすれば、やはり「Picasso」しかない。

 ただし、先行入力によって入力内容を変えることはできないので、単純に仮名文字列の短縮入力のような形になるだろう。Trulyの中央にある[変換]と[tab]を使って、そのうち試してみようと思う。

〔登録単語〕練習, , , 通常, 入力, 単純, 短縮,


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20年前の宿題

 この難問にぶつかったのは、かれこれ20年ほど前の漢直オフの席上だったように記憶している。まだパソコン通信の時代で、Windows 95が出るか出ないかという頃の話だから、NIFTY-Serveのキーボード会議室(FKEYBORD)だったかもしれない。

 親指シフトを使っているライターの方からの「漢直をやってみたいが仮名が2ストロークになるのは困る。何とかならないか」という要望を聞いて、何とかならないだろうかと考えてみた。しかし、「仮名は親指シフトで漢字は2ストローク直接入力」というのは、ちょっと無理な話だ。普通に考えれば、親指シフトモードと漢直モードを切り換えるとか、漢直の打鍵を何か別のキーでシフトするとかしなければならないだろう。

 それを実際に試したのは、1999年の12月。キー入力をフックしてIMEの未変換文字列に文字を送り込む「漢ナビ」という自作ソフトを改造して、仮名を(無変換/変換で)親指シフト入力し、スペースとの同時打鍵を漢直の第1打鍵とするように設定していた。

12月 1日

 発作的に親指シフトの練習を始めてから一ヶ月あまりが過ぎた。今では仮名の入力にはG-Codeを使わず、親指シフト+漢直+仮名漢で入力できるようになっている。漢字の打鍵は少し重くなったが、予想していたほど気にならない。たまに親指シフト抜きのG-Codeを使ったときに、漢字を直接入力しようとして、ついうっかりスペースを同時打鍵してしまうほどだ。

「G-Code」日記(第41回)

 しかし、その半年後には、こんなことを書いているので、あまり使いやすくなくて、やめてしまったようだ。

 以前、親指シフトとG-Codeの組み合わせを試したことがある。仮名の入力を楽にしようと思ったからだ。親指シフトは普通通りに(無変換/変換キーを親指シフトキーとして)打鍵し、漢字はG-Codeで(第1打鍵をスペースと同時打鍵して)直接入力する。確かに仮名の入力は楽になったが、漢字の入力が少し重くなることと、G-Codeで仮名と記号を割り当てた中段・上段の左右交互打鍵が遊んでしまうのが難点だった。

「G-Code」で速記を (2000-06-12)〕

 おそらく親指シフトユーザーにとっては、漢直の第1打を親指でシフトするぐらいは何でもないことだろう。ところが、それまで漢直のリズムに慣れていた僕には、その違いが大きかったのだと思う。

仮名漢直という抜け道

 先日、「そこで仮名漢直ですよ。」を書いたときには、もちろんこの宿題のことが念頭にあった。最初は親指シフトでも試してみようとしたけれども、いくつか難点があったのでJIS仮名を使って実験してみたのだ。

 2文字以上続く漢字(熟語)のストロークを仮名表記にすると、既存の「読み」と衝突することはめったにない。仮名漢直は、その「読み」を使ってユーザー辞書に登録することで仮名入力と漢直を併用する方法だ。だから、読みの中に句読点が入っていると期待通りに変換されないおそれがある。

 「読み」の中に句読点やカンマ・ピリオドが入っていても正常に変換できるかどうかを試してみたところ、結果は以下のようになった。

IME 辞書への登録 入力時の打ち分け 変換時の扱い
Google日本語入力
(1.13.1641.0)
二者択一(※1) 制限あり(※2)
Microsoft IME
(10.1.7601.0)
二者択一(※1) 制限あり(※2)
ATOK 2015
(試用版)
不可 (不可)

(※1) 「。」か「.」、「、」か「,」のどちらか一方しか使えない
(※2) 「単漢字」、「独立語」、「短縮よみ」等の特定の品詞でしか変換できない

 登録できても打ち分けられないか、打ち分けられても登録できないかのどちらかしかない。これは困った。

 しかし、Google日本語入力のローマ字に漢直を入れる場合は、オプションで(句読点「,.」、記号「[]/」などと)設定しておけば、ローマ字テーブルで設定した通りに句読点や記号が打ち分けられる。それなら、親指シフトの仮名配列をローマ字入力として設定してやればうまくいくのではないかと思い付いた。

 宿題の面白い答えがひとつ見えてきた。この続きはまた後で。

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